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切れない糸 坂木司 それぞれの進む道の参考になる1冊

切れない糸

それぞれの進む道の参考になる1冊


切れない糸
著者 坂木司
出版社 創元推理文庫
分類 小説

私のイチ押しの作家さん、坂木司さんの“ひきこもり探偵三部作”以降の作品です。

『切れない糸』は東京の下町を描いたシリーズで、今作では主人公の大学生新井和也が家庭の都合から家業のクリーニング店を継ぐ物語です。

テーマは若者の進路の選択

今作『切れない糸』のテーマは「若者の進路の選択」と言って良いと思います。
最終の学校を卒業する時には、その後の人生をどのように歩んでいくかが悩むところですね。

今作の主人公の新井和也は大学卒業後の進路に全く興味がなく、かと言って家業を継ぐつもりもありませんでした。

そんな彼は家庭の都合で家業のクリーニング店を継ぐことになりました。
クリーニング店の古参シゲさんや、パートの梅本のおばちゃんに助けられながら駆け出しのクリーニング店の仕事にひたむきに取り組んでいきます。


醍醐味の日常の謎解き

もちろん坂木司さんの小説の醍醐味である謎解きもあります。
『切れない糸』の名探偵役は、同級生で気さくなカフェ店員の沢田直之。
坂木司さんの小説スタイルでもある、主人公が事件を持ち込むワトソン役、主人公に身近な人物が名探偵役で物語は進んでいきます。

私が“ひきこもり探偵三部作”から坂木司さんの作品に惹かれたところは、魅力的な登場人物たちがいることですね。
中でも、正直者で裏表のない主人公と少々影のある存在の名探偵役のコンビが周囲の登場人物と接する姿は、日常的な出来事を解決する身近な内容でありながら、自分も暮らしていく中で登場人物たちのような魅力的な人たちと関わっていきたい気持ちになります。


それぞれの進路という答え

そして、『切れない糸』のテーマでもある「若者の進路の選択」の答えは…。
「それぞれの選択」ではないでしょうか?

若者の方々は卒業や就職で今までの友人関係から、それぞれの職場へと歩んでいきます。
親しかった友人と別々の進路へ分かれて歩んでいくのは、寂しい気持ちになりますよね。

ですが、友人同士の友情は友情、それぞれの人生の選択はそれぞれの人生、そこを割り切ることが大人への門出。
『切れない糸』は、そう思わせてくれる1冊です。
そして書籍名の通り、友人同士の友情は『切れない糸』のように続いていくのだと感じます。

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