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ツナグ 辻村深月 想いは伝えられる環境があるウチに伝えよう

ツナグ

想いは伝えられる環境があるウチに伝えよう

著者 辻村深月
出版社 新潮文庫
分類 小説


今回はベストセラー作家の辻村深月さんの代表作『ツナグ』を取り上げます。

2012年に松坂桃季さん主演で映画化されたので、小説を読んだことのない方にも知っている方は多いと思います。

映画では、樹木季林さんがおばあさん役を、桐谷美玲さんと橋本愛さんが女子高生役を務めていました。
主役の渋谷歩美役の松坂桃季さんは『ツナグ』で日本アカデミー賞も受賞していましたね。

映画も素晴らしいですが、小説はより繊細

小説の『ツナグ』では映画版では取り上げられていないシーンも多くあります。
小説を読んでいた私は、行方不明になった恋人日向キラリと再会を望む営業マン土谷功一の物語では土谷の気持ちが汲み取れるほど表現されていますが、キラリ側の気持ちも汲み取って描かれているのはやはり小説版でした。
私は土谷功一と日向キラリの物語が好きなので、もっと良いシーンになる場面が多いのになぁと思いました。
そこは、映画なので仕方ありませんか。

結局ツナグのテーマは何だったのか?

『ツナグ』のテーマは、想いは「伝えられる環境」ウチに伝えようということではないでしょうか?
物語で主人公の渋谷歩美が高校生をしながら取り組むツナグ、残された者と行ってしまった者を再び回り合わせる能力のある者です。
物語の中では、残された者と行ってしまった者両方が再び回り合うことで現実では伝えきれなかった思いを伝えることができています。
現実にありそうですが、公には起こらないことですよね。
本当なら、「生きている間に伝えておかなきゃならなかった」こと、「伝える環境が突然なくなってしまった」ことです。

伝えないと伝わらない

やはり想いは言葉や行動で実際に相手に伝えなければ、伝わらないものです。
「きっとわかってる」は、言葉を変えれば「伝えたつもりになっている」ことでしょう。
自分目線でしかなくて、相手に伝わっているかは相手しかわからないんですね。
実際に会える、生きているような「伝えられる環境」が突然なくなることは現実にはよく起こりますよね。
そして、後悔もしますね。
そんな時ツナグが居てくれたら希望にもなりますよね。

辻村深月さんの『ツナグ』では、その後悔を登場人物たちの目線で体験させてくれました。
登場人物たちが会えなくなった相手と再会したい立場も親子、恋人、友人とそれぞれ違います。
読み手によって自分に近い登場人物たちの目線で物語に入っていける辻村深月さんの仕掛けなのでしょうね。

想いは「伝えられる環境」ウチに伝えよう、後悔しないために。

物語を楽しめて、現実のタメになる経験もできる辻村深月さんの『ツナグ』、絶賛です。

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