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異文化を学べるドキュメンタリー イスラム文化に触れる1冊を紹介 第1回

イスラム文化に触れる1冊を紹介~アフガニスタン敗れざる魂


著者 長倉洋海
出版社 新潮社
分類 ノンフィクション

おはようございます。

北国は昨日の暖かい陽気から一転、長袖が必要な気温になりました。

しばらく雑記が続きましたが、本の紹介をはじめますね。

今回は1回目で本の内容と、ドキュメンタリー『アフガニスタン敗れざる魂』の主人公でもあるアフガニスタンのアマハッド・シャー・マスードさんの人がらを取り上げてみますね。

2回目では著者の長倉洋海さんの紹介と、本の全体の感想をお伝えしていきます。


マスードさんのことを知るキッカケ

以外にもキッカケは戦国武将だった


アフガニスタン敗れざる魂』の主人公的な登場人物でもある、アマハッド・シャー・マスードさんのことを知りたいと思ったキッカケは戦国武将に関する雑学本からでした。

もう手放してしまった1冊ですが、『桶狭間の戦い』や『三方ヶ原の戦い』など戦国時代の合戦を細かく取り上げた本の中にマスードさんの名前もありました。


桶狭間の戦い』並みの大逆転に興味がわいた当時の私


雑学本で取り上げられていた項目は織田信長が約3000の軍勢で今川義元20000〜30000の軍勢を打ち破った『桶狭間の戦い』の項目だったと思います。

現代では軍勢の数は織田信長側はもう少し多く、今川義元側は自由に動かせる軍勢は10000以下であったとも言われていますが………。

その項目の海外の戦争の例でマスードさんが当時指揮していた2000のゲリラ部隊が、ソビエト連邦の100000以上を撃退したとありました。

「知られていないだけで、すごい天才の司令官なのではないか?」
と興味本位でマスードさんに関する本を探していた時に出会ったのが、長倉洋海さんの『アフガニスタン敗れざる魂』でした。


主人公のマスードさんの人物にふれる

アマハッド・シャー・マスード


アマハッド・シャー・マスードさんは、アフガニスタンで活躍した政治家で武装集団の司令官でもあります。

マスードさんの所属する勢力が政権を持った時には、国防大臣、副大統領の経験もあります。

現在のアフガニスタン政権では、マスードさんの死後に「アフガニスタン国家英雄」の称号を受けているそうです。


経歴

マスードさんは1953年にアフガニスタンで生まれ、カーブル工業大学工学部建築学科で学者を目指していましたが、1973年のソビエト連邦アフガニスタン侵攻で夢半ばで政治運動に関わるようになりました。

その後は反ソビエト連邦の武装集団の司令官として活躍し、ソビエト連邦側からは「アフガニスタンの獅子」と恐れられていました。

1992年に首都カブールをソビエト連邦から奪還した後は政権の要職についていました。



戦争のことだけではなかったマスードさんの人間味あふれる人がらにふれる


マスードさんの人がらを知ってもらえる部分を紹介しますね。

「」のお話はマスードさんが直接、長倉洋海さんに語った内容です。


一般人に優しい真面目な司令官︎

司令官のひとりが、メロンを満載したトラックを止めて、荷台から4つ抜き取った。それを偶然、目にしたマスードは、その司令官から、武器を取り上げて営倉につないでしまった。マスードは、戦士が武器や地位を利用して、市民から搾取するのを嫌い、見逃さなかった。p73 第4章 パキスタンとパシュトゥン人

この話、例えば日本の警察や自衛隊の方々には当然の規律でしょう。

ですが、海外のいわゆる武装集団ではどうでしょうか?

おそらく程度の差はありますが、略奪は当たり前に起こることといえます。

マスードさんの組織でも実際に起こっていたようですが、現場に足を運び細かなことに目を配る、それが一般人目線で目を配るマスードさんのような司令官は当時の武装集団では珍しかったのではないでしょうか。


1人の人として当たり前の感覚︎

「仲間が次々死んでいくことをどう思う?」とマスードにたずねたことがあった。
彼は、聖戦で死ねば天国に行くことが約束されています、それはイスラム教徒にとだて名誉なことです、と前置きして、
「ただ………、きのうまで一緒食事をしたり、笑っていた友がいなくなれば、心にぽっかり穴があくような寂しさを覚えます」と静かに語った。 p92 第5章 ムジャヒディンの思い


イスラム教徒の方が戦死した場合には、天国に行けると言われています。

マスードさんももちろん、聖戦で戦死すると天国に行けると言っています。

ですが、それはあくまで宗教上の話。

人として仲間が死ぬことを当たり前に悲しむ感覚を持った人だと、このひと言で十分に伝わってきました。


世界の流れを見ていた広い視野

イスラムの精神は大切なよりどころ。だが、解釈は時代に応じて、少しずつ変えていかなければならない部分もある」
マスードは語った。
「ここでは(マスードの解放した地区)女性たちは何も強要されてはいません。しかし彼女たちは習慣を捨てることができず、自発的にチャドリ(スカーフ)を身につけてしまうのです。つけてはいけないと命令を下すことはできません。それではタリバンと同じことになってしまいます。アフガニスタンでは、不幸なことに女性たちは特殊な文化のもと、何世紀も抑圧されてきました。アフガニスタンでは現在、80パーセントの女性が非識字者です。何より大切なのは教育です。教育の機会が与えられなければ、女性は自分を解放することはできません」p123 第7章 タリバンの正義


まだ戦争の中にある国で、それも女性の地位が他の地域とは異なるイスラム教の地域で、女性の自立と教育の大切さに気づいていた方はいたのでしょうか?

きっとマスードさんがタリバンから解放した地区では、女性や子どもが生き生きと自分を持って暮らしていくことができていたのでしょうね。



1回目はマスードさんの人柄に触れてみました。

アフガニスタンの獅子」と戦争を描いたアニメのような通り名があるマスードさん、通り名のとおり戦争の強さを思い描いてしまいますが、『アフガニスタン敗れざる魂』からは人間味あふれる男性像が思い描けます。

作中にはマスードさんの写真も多く載っていて、「笑顔が優しそうな中東のおじさん」といった風貌でしたよ。

今回はマスードさんの人柄にふれてもらったところで、第2回は作者の長倉洋海さんと本の内容を取り上げますね。

お楽しみください。

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