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ひと昔前の恋愛小説の大特集 桜井亜美さんの作品3

ヴァーミリオン

著者 桜井亜美
出版社 幻冬舎文庫
分類 小説 *18以上かもしれません


『ひと昔前の恋愛小説の大特集 桜井亜美さんの作品』シリーズで桜井亜美さんの作品を取り上げていますが、今回がシリーズ最後です。

初めはデビュー作の『イノセントワールド』を紹介しようと思いましたが、読む方の年代が限られますし、最近の10代の方には好まれないかもしれないなぁとも思い、登場人物の男女どちらかが成人している作品を取り上げてみました。

最近の10代の方に好まれている恋愛小説を立ち読みしてみましたが、場面設定や登場人物の気持ちがかなり現実的に描かれている作品が多いですよね。

私が桜井亜美さん作品を読んでいた当時は、年の差恋愛や禁断の恋など非日常的な内容が多かったですよ。

それでは、今回は当時読まれていた1冊ヴァーミリオンを紹介しますね。

登場人物

臨床心理士の鮎美


主人公の鮎美は、臨床心理士の資格を持ち少年少女の心理カウンセリングの仕事につく20代の女性。

臨床心理士という大学院卒の高学歴な彼女にも、自分の少女時代には意外な面がありました。


夜の街の少年昴


現代でいう養育放棄、ネグレクトで家を出て夜の街で暮らす16歳の昴はいわゆる非行少年。

細身の腕に似合わない『∀』のタトゥー、家出と窃盗と大麻所持と暴力以外の犯罪に手を染めても罪悪感のわからない幼さ、まだ表の面がほとんどの少年の心を無理矢理大人の体に収めなければならない窮屈感のある年代の少年。


物語の始まり



物語の舞台は東京、非行少年の昴が大麻所持と窃盗で補導され、保護観察期間のカウンセラーとして鮎美が担当する場面から話は始まります。

夜の街に暮らす非行少年とカウンセラーになりたての女性、一見対照的な立場の2人には重なり合う共通点が………。

この共通点が物語のキーワードにもなっています。


世界観と価値観

社会人の女性と16歳の非行少年。

離れている年齢は7〜8歳で、自分の力で生活ができる女性と社会的にはまだ助けが必要な少年、違いがあるのは生きた年月と「社会的な立場」だけです。

日本の社会が作った生活の仕組みが生み出している違いだけで、受け止める感覚、相手への想い、生き物が大人として行う役割に違いはなく描かれています。


物語のキーワードは?


「依存」と「過去」、年齢違い今の立場も違う2人の共通点でもあります。

タバコ、薬物、そして人との関係の依存。

昴にとっては「今」、鮎美にとっては「過去」、時間の流れが異なるだけの家族との関係が物語のキーワードにもなります。

ヴァーミリオンには花が咲く風景の場面が他の作品に比べ多く登場します。

中でも際立って表現されているのがダリアです。

重なり合った立体的な花びらが美しいダリアの和名は「テンジクボタン(天竺牡丹)」、花言葉は「華麗」「不安定」、桜井亜美さんが意図的にダリアの名前を取り上げているのだと思いますが、物語の流れと重なるキーワードでもありますよ。


好まれる恋愛小説の傾向も時代によって変わっていくのでしょうか?

詳しくはわかりませんが、音楽の傾向は2回りほど年の離れた世代に共通するところがありますよね。

例えば『ゆず』や『19』が大流行した当時から、さらに2回りほど遡るとフォークソングの大流行時代になりますよね。

小説にもその傾向があるのか?

少し調べてみたくもなります。


ちなみに『イノセントワールド』はこちらです。

www.yu-hanami.com
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