人を動かす安西先生の言葉
著者 遠越段
出版社 総合法令出版
分類 ビジネス書 実用書
出版日 2013/3/20
読みやすさ ☆☆★読みやすい
この春後輩ができた先輩社会人の方。
昇進された若手管理職の方向けに、後輩指導に役立つビジネス書を紹介させていただきますね。
安西先生の名言覚えてますか?
安西先生って?
「最後まで希望を捨てちゃいかん。あきらめたら、そこで試合終了だよ」安西光義監督 原作7巻
安西先生を知っていますか?
30代以上の方には安西先生を覚えていますか?と聞いた方が良いかもしれませんね。
90年代の名作バスケット漫画『スラムダンク』、主人公桜木花道の所属する湘北高校バスケットボール部を全国大会出場と王者山王高校を破るまでに導いた名監督です。
ふくよかな見た目と穏やかな人柄から『ホワイトヘアーブッダ』、『仏の安西』と慕われ、イジられることも多いおじさん。
実は、日本代表メンバーを経験し強豪大学の鬼監督を経験したベテランの指導者でもあります。
スラムダンクの中にしか実際しないことが残念です。
安西先生が現実社会に?
ベテラン指導者でもある安西先生が現実の世界で、コーチングやマネジメントの技術を教えてくれる。
そんな非現実的な本が今回取り上げる、『人を動かす!安西先生の言葉』です。
新年度が始まり、後輩を持つことになった若手の先輩、新しいプロジェクトリーダーに任命された方、昇進した中堅社員の方、これからコーチングを学んでいこうと思う方の心構えにもなる1冊になると思いますよ。
仮想の世界からも学べることはある
漫画や小説はあくまで仮想の世界。
仮想の世界ではありますが学べることはありますよね。
それは漫画や小説にも次の3つがあるからです。
・作家が考えた
・作家の経験を元にしている
・作家の取材によって得られた情報
実生活に近い小説や漫画は作家さんが、その世界で生きる方を取材した情報を元にしています。
そして、作家さんの『人としての考え』も込められています。
小説や漫画の名言通りに暮らせはしないでしょう。
ですが、小説や漫画の中でシュミレーションとして仮に体験することはできます。
そこが、小説や漫画の魅力でもあります。
後輩育成の主役は部下や後輩自身
私がコーチングを勉強するキッカケになった1冊
私も現在の職場では一技術者ですが、以前は若い人の多い職場でプロジェクトリーダーとして部下や後輩を育成する立場でもありました。
職場全体の年齢層が若く、真剣に新入社員の育成に取り組んでいた先輩も少なかった当時。
自分でコーチングを勉強した時期もありました。
全く知識もなく指導育成の右も左も知らない私が、コーチングを知るきっかけになったのが、この『人を動かす!安西先生の言葉』でもあります。
その安西先生の名言と名場面の一部を取り上げてみます。
苦手なことに取り組んでもらう動機付け
全国大会出場を前に、主人公桜木花道にとって苦手なシュートを身につけてもらう場面を取り上げています。
実際の後輩指導では、苦手な業務を身につけてもらう動機付けになるのではないでしょうか?
安西先生の指導方法を次のように取り上げています。
※画像が自分用のノートですので汚くてすみません。
①は先輩側の働きかけ、❷は後輩側の気持ちの変化です。
①現状を自覚してもらう
❶現状が不安になる
❷現状を打開したいと思う
②現状を打開した時のメリットを伝える
❸どうすれば良くなるかを知りたくなる
③具体的な方法を伝える
❹疲れや結果が出ないことに焦る
④ライバルを思い出させる、再びメリットを伝える
①では実際に苦手な業務を行い失敗をしてもらうことで、「自分は苦手なんだ」と自覚を持ってもらいます。
実際に失敗してもいないことは、後輩も「できてるかもしれない」と思っているはずですから。
実際に失敗を経験することで、❶現状が不安になり、前向きな後輩であれば❷現状を打開したいと思うはずです。
ここで後輩自身に「自分で何とかしたい」と自主性が生まれたらいいのですが、なかなかそうはいきませんよね。
そこで、②現状を打開した時のメリットを伝えて自主性が出るように誘導する必要があります。
結果、❸どうすれば良くなるのかを後輩が知りたくなったところで、③具体的な方法を伝えます。
❹後輩が気持が折れたり、なかなか結果につながらないことで焦りが出てしまった時には、④ライバル社員を思い出させてみるのも1つの方法ですし、②のメリットを別の方法で伝えるのも1つの方法です。
指導役の上司や先輩あくまでも部下や後輩の自主性を促すサポート役
先ほどの例で、実際の現場では即③の具体的な方法を教えるやり方を行いがちですよね。
その方が、即結果につながりますし余計なトラブルも防げます。
ですが、「部下や後輩に育ってほしい」と考えた場合には自主性を促してから方法を教えた方が適切な時があります。
自主性を持って新たな業務に取り組むことで、部下や後輩自身に責任も生まれますし、「なんとかしたい」という向上心も生まれます。
それは後々、自分で問題点を見つけ必要な時は相談してくれる部下や後輩に育っていくのではないでしょうか?
私は途中までですが、後輩のそんな姿を見て、「この本を読んでおいて少しはためになった」と思いました。