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「ロマン」を価値観に集う5人のギャングの物語、伊坂幸太郎『陽気なギャングの日常と襲撃』

陽気なギャングの日常と襲撃 伊坂幸太郎


著者 伊坂幸太郎
出版社 祥伝社
分類 ミステリー小説
出版日 2008/5


伊坂幸太郎さんの代表作というと『グラスホッパー』や『マリアビートル』が有名ですよね。

以前、紹介させていただいた『陽気なギャングが地球を回す』も、ファンの間では有名な作品です。

私も知らなかったのですが、大沢たかお
さんと佐藤浩市さんが出演した映画にもなっているんですね。

今回は『陽気なギャングが地球を回す』の続編、『陽気なギャングの日常と襲撃』を紹介させていただきます。



陽気な5人のギャングの日常

成瀬

市役所に勤務する公務員の成瀬。

職場では、若手を安心させる冷静沈着な上司の姿。

強盗団では、細かな作戦を立てるリーダー的存在。

彼には生まれつき必ず嘘を見破る力があった。


響野

茶店を経営する、成瀬の高校からの友人響野。

響野が入れるコーヒーは不味く、カウンターでは相手が返事をするまもなく話し続けるお喋り好き。

銀行強盗のときには、限られた時間の中で人質にとって、「特に役にも立たない話題」で演説をする決まりになっていた。


久遠

スリの名人の強盗団のルーキー。

動物を愛し、銀行強盗で手に入れた資金でニュージーランドの羊に会いにいくことを楽しみにしている青年。

彼の直向きさと、他人との心の距離感を気にしない爽やかさが大活躍することに。


雪子

普段は派遣事務員として、大手企業に勤務するシングルマザーの雪子。

体の中に埋め込まれたかのようなコンマ1秒も狂わないな時間管理で、強盗団のドライバーを務める。


祥子

響野の妻で夫の「内容のない話題」に唯一ツッコミを入れてくれる祥子。

銀行強盗4人の実行犯を支える強盗団のサポーターだけではなく、喫茶店を訪れるお客さんの抱える悩みもサポート。



銀行強盗から離れても交差する5人の物語は


5人の強盗団が、暮らしの中で知り合う人々。

市役所の相談センターで、市民の苦情を受け付ける成瀬。

茶店のカウンターで、お客さんと付き合う響野。

時間を持て余す暮らしをしている久遠。

事務員として働きながら、年ごろの男の子を育てる雪子。

頼りになるとはいえない夫と、小さな喫茶店を支える祥子。

個性的で、ありきたりな日常とアウトローな世界の狭間で生きる彼らに出会う人もまた、暮らしの中に訪れた「あちら側の世界」を垣間見ることに。



強盗団のロマンと日常


響野の台詞に始まった強盗団のポリシー。

「そこにロマンはあるか」

誰も傷つけず。

欲望に走り過ぎず。

隙のない作戦で、鮮やかに大金を手に入れる5人の強盗団。

アウトローの世の中では、少数派で、多くは人を傷つけ、欲望のままに、その結果ところどころがほつれた隙間から、犯罪の痕跡があらわになる。

そういう犯罪は、ロマンではない。

彼らの美学は、そう語るのでしょう。


テーマはお節介と親切


『陽気なギャングの日常と襲撃』は、成瀬、響野、久遠、雪子、祥子たち5人の強盗団の「日常」を描いた物語。

銀行強盗の仲間内だけではなく、世の中とのありきたりな接点もある5人。

「ロマン」を共通の価値観にする彼らは、「そこに美しさのない」行為を見過ごしては置けないのでしょう。

それぞれの主人公が出会った人へのお節介。

小さなお節介も、大きくなると親切に………

この物語のテーマになるのではないでしょうか?

まだ読んだことがない方は、ぜひ1作目の『陽気なギャングが地球を回す』から読むことをお勧めしますよ。

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