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鎌倉が舞台!人の巡り合わせを描いた小説『鎌倉ごちそう迷路』

鎌倉ごちそう迷路


著者 五嶋りっか
出版社 スターツ出版株式会社
分類 小説、青春小説
出版日 2017/7/28


久しぶりの小説の紹介コーナー。

『DESTINY 鎌倉物語』で再び注目を集めた鎌倉。

素敵なロケーション、古くからの街並みが織りなす不思議な空間は物語の舞台にピッタリの世界観。

小説では、小川糸さんの『ツバキ文具店』が鎌倉へ戻って家業の文具店を継いだ女性の物語がドラマ化もされて有名ですね。

今回は鎌倉を舞台にした五嶋りっかさんのデビュー作品、『鎌倉ごちそう迷路』を紹介させていただきますね。

鎌倉で出会う素敵な登場人物


『鎌倉ごちそう迷路』の主な登場人物は3人。

20代の女性目線で描かれる、人と人の素敵な出会いが魅力的な作品です。


竹林潤香(たけばやし じゅんか)

鎌倉で暮らす26歳の女性。

3年勤務した横浜のデザイン事務所を退職し、現在無職の暮らしを堪能中。

憧れの鎌倉で暮らしながら、忙しかった仕事の日々で気づかなかった鎌倉の魅力に触れ、自分のやりたいこと探しを始めることに。



鎌田倉頼(かまた くらより)

サラサラのロングヘアを縛った、中性的な魅力のある男性。

「カフェ大仏」の従業員のような不思議な存在でありながら、どこか雲のように掴みどころのない空気を纏う。

ふとしたキッカケで潤香に、名前をモジった鎌倉さんというあだ名をつけられる。


大仏(おさらぎ)

鎌倉さんよりも、本名が鎌倉らしいカフェ大仏のマスター。

カウンターと数席のこじんまりとしたキッチンで作務衣に前掛け、藍染の手ぬぐいで白髪混じりの頭を覆い、人気料理を振る舞う。



湘南の海岸でトンビが作ってくれた巡り合わせ


物語の始まりは、仕事の日々から解放された潤香のランチタイム。

トンビにお弁当を奪われ、シャツを汚されてしまった潤香。

通りがかりの、芸能人と見間違うほど整った鎌田倉頼に連れられるまま、穴場ともいえるカフェ大仏を訪れることに………



日常の中で非日常的な鎌倉の世界観


カフェ大仏を訪れたことがキッカケで、今まで気がつかなかった鎌倉の魅力にハマっていく潤香。

鎌倉という場所は、そこで暮らしている人が行き交う日常であって、新しい気づきもある非日常でもあった。



キーワードは笑顔、居場所がテーマの暖まる物語


鎌倉の魅力と人が織りなす魅力を描いた『鎌倉ごちそう迷路』。

キーワードは、義務的な日常で忘れてしまった本当の笑顔。

通勤に疲れ、自分のやりたいこと探しを始めた潤香が出会う誰かの笑顔。

誰かの笑顔に共感できることは、自分も笑顔を取り戻していることなのかもしれません。

笑顔を取り戻した人にできる、その人の居場所がテーマの物語。






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