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住めなくなっても離れられない家と土地

家と土地というもの

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立て続けに訪れた台風で、大きな被害が出た千葉県のお話を目にしない日は、ここ数日ありません。

10日以上も電気のない暮らしを強いられた後は、壊れた自宅で迎えなければならない新しい台風。

北海道の地震でも話題になりましたが、自宅の損壊で保証されるかどうかは変わるといわれています。

不謹慎な話ですが、一戸建てに住んだことがない私は「壊れた家は売って引っ越しては?」と思うこともあります。

ですが、そう簡単に離れられないほど自宅と土地というものは日本人にとって大切にされてきたものでもあります。


古くから土地を大切にする日本人


「先祖代々の土地」「一生の買い物」といわれるように、日本人は土地や住宅をとても大切にしています。

その背景には、古くから土地を持てるのは特別という価値観があったり、他の国に比べて土地と住宅が高価な買い物という理由があります。


土地を持てるのは特別なことだった

日本人にとって、土地を持つというのは古くから特別なことでした。

その理由を探すと、古くは飛鳥時代にたどり着きます。

それまでは、日本人は国に縛られることなく好きな土地に暮らし、財力や武力のある人は多くの土地を支配していました。

飛鳥時代に起きた大化の改新の後から、土地は「制限付き」で国が与えるものとなりました。

その後も、江戸時代が終わるまで所有している土地に応じて住民税や所得税にあたる税金を納める時代が続きます。

政治が不安定だった戦国時代では、土地を離れる国民も多くいたそうです。


日本と世界の土地の価格

住宅地1㎡の価格は東京都で60万円、その他の大都市圏で20〜25万円です。

世界の大都市圏では、かなり地価が高いといわれている東京都。

他の国の地価と比べる方法で、「平均的な世帯年収:住宅価格の倍率」という指標があります。

例えば、年収500万円の国で新築住宅の価格が5000万円なら、住宅価格の倍率は10.0となります。

中国(香港) (19.4)
オーストラリア(5.9)
ニュージーランド(5.8)
シンガポール(4.8)
イギリス(4.5)
カナダ(4.3)
日本(4.2)
アメリカ(3.8)
出典: https://azukihousing.com/2019/05/07/fudousankakakurannking/

2019年の時点では、日本は住宅価格の高さで上位に入っていますが、中国のように際立つ高さでもありません。

ただ、アメリカやカナダのように国土の大きな国では地価が安い地域は土地代がほとんど気にならないほど低くもあります。

日本やイギリスなど国土が狭く人口が多い国では、「どこでも土地が高い」傾向にあるようです。



大切なものだから土地から離れられない


親から受け継いだ「先祖代々の土地」、ローンを組んで買った「一生の買い物」。

日本人にとって土地は、財産の価値に加えてとても大切なものでもあります。

大切なものほど、簡単に手放せないのが人間でもあります。

だから、暮らしている土地や住宅から離れることはとても嫌なことで、恐怖すら覚える方も珍しくはありません。

きっと歴史の古い地域に暮らす方ほど、土地と住宅への価値は高いのでしょう。

3代以上遡ると開拓民に行き着くといわれる北国の地域でも、暮らしている土地や住宅への愛着は根強いものです。



大切なのは、土地より人


日本国内で暮らしていて、資産としても、愛着の対象としても大切にされる土地と住宅。

もしかすると賃貸のマンション暮らしの花水(hanami)は、持っていないから価値がわからないのかもしれません。

ただ、思うことはあります。

先祖代々の土地、一生の買い物としての住宅。

それでも、変えられないのは家族だったり自分自身の命。

先日の台風15号の影響で、関東地方では壊滅的な被害があった地域もあります。

冷暖房が使えず、水も出ず、火も使えない。

命が脅かされる状況で過酷な暮らしを強いられるなら。

一度土地を離れるのも1つの方法なのかもしれません。




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