入れ替わりがテーマの小説が愛される理由
当然ですが、入れ替わりという小説や漫画、アニメや映画のジャンルをご存知でしょうか?
登場人物たちが入れ替わるシーンを作品の中心に沿えて、入れ替わりの理由や入れ替わりの解決を描く物語です。
『君の名は』の大ヒットから、1つのジャンルとして確かな地位を築きつつある入れ替わり小説。
今回は、入れ替わり小説の種類と代表作を調べてみましたよ。
入れ替わり小説とは?
入れ替わりがテーマの小説は、登場人物同士が身近な相手や全く知らない人物と心だけが入れ替わってしまう物語です。
最近、1番有名な入れ替わり小説はやはり数年前に大ヒットした『君の名は』ですね。
入れ替わりがテーマの小説
入れ替わりがテーマの小説は、主人公と身近な登場人物、あるいは今まで全く知らなかった誰かと体が入れ替わってしまう物語。
入れ替わりが起こった直後に見せる当事者たちの葛藤や、元々の立場ならではの目線で入れ替わった後に起こる出来事を解決するシーンが見どころでもあります。
『君の名は』新海誠
アニメや映画で人気の『君の名は』は、多くの方がご存知の入れ替わりの物語。
もちろん、小説版もあります。
入れ替わるのは東京都内に暮らす男子高校生 立花瀧、糸森町の女子高生 宮水三葉の2人。
ある日から、週に何度か全くの別人になっていることに気がついた立花瀧と宮水三葉。
どこの誰かは知らない相手、ふと訪れる入れ替わりを楽しんでいた2人ですが、入れ替わりは突然起こらなくなってしまいます。
その後、入れ替わりが起きた理由、入れ替わりを上手く使って困難を乗り越えて出会った2人の物語。
10代の方に支持され、根強いファンの方も多いようですね。
私も10代だったら、『君の名は』の世界観にハマってしまいそう。
『パパと娘の7日間』五十嵐貴久
甘酸っぱさが魅力の作品の次には、少し現実的な入れ替わり小説です。
『パパと娘の7日間』は、女の子なら誰もが入れ替わりたくないお父さんとの入れ替わり小説です。
主人公は、中間管理職の会社員 川原恭一郎、高校生の川原小梅の2人。
小梅の思春期もあり、数年間口を聞いていなかった2人は交通事故がきっかけで入れ替わってしまうことに………
父の職場で起こる数々の理不尽な出来事を体験する小梅。
恭一郎もまた、しばらく縁がなかった若者の恋愛に苦労します。
入れ替わりによって、お互いを知るきっかけになった気持ちが暖かくなる物語でしたよ。
『民王』池井戸潤
2015年にドラマ化された、池井戸潤さんの『民王』も親子での入れ替わりがテーマの小説です。
仕事はできても、プライベートは奔放で強引な性格で敵も多い総理大臣 武藤泰山。
勉強は全くできず社会常識に疎いけど、性格は優しくて周りに慕われる大学生 武藤翔。
親子で同じ男性でも、全く性格の違う2人がある日入れ替わってしまう物語。
泰山の側近や翔の親友だけに真実を明かし、入れ替わりのまま総理大臣と大学生を送ることになった2人。
総理大臣になった翔は、非常識な発言や仕事の出来なさで支持率が下がってしまうこともありました。
それでも周りに慕われる翔の性格もあって、かつての政敵が味方になってゆきます。
大学生になった泰山は、勉強は優秀なのですが面接官相手に横柄な態度を取り就職活動がピンチになることも。
それでも男気溢れる泰山の性格は、友達の関係でしかなかった女性に異性として意識してもらえることにつながります。
コメディのシーンが多いですが、入れ替わった2人の性格がお互いの悩みを解決した面白いストーリーでしたよ。
入れ替わり小説が愛される2つの理由〜相手を知りたい、今の悩みを解決したいという願望
『君の名は』の大ヒットは、入れ替わりというテーマだけではなく登場人物の気持ちの表現、謎解き要素のあるストーリーが1番ではないかと思います。
それでは、入れ替わりがテーマの小説が多くの方に愛される共通の理由は何でしょうか?
思いつくことを2つあげてみます。
相手を知りたい
入れ替わり小説では、入れ替わった登場人物がお互いの暮らしを相手目線で体験するシーンが見どころですよね。
『君の名は』や『パパと娘の7日間』のように、男性と女性が入れ替わる小説ではお互いの性別ならではの悩みにしどろもどろする場面はお約束のように描かれています。
こうした入れ替わりのシーンが楽しまれている理由は、相手のことを知りたいという私たち読者の願望があるのではないでしょうか?
今の悩みを簡単に解決したい
また、『民王』で描かれているように性格や能力の全く違う登場人物同士が入れ替わることで、元々の登場人物が持っていた悩みを簡単に解決してくれることも多いですよね。
私のように会社員をしている方なら、会社員ならではの。
子育て中のお母さんには、お母さんにしかない。
受験勉強に追われる学生さんにも、勉強と部活、恋愛の悩みや将来への不安があります。
その悩みを出来るだけ簡単に解決したい!
読者が持っている悩みに希望を持たせてくれるのが、入れ替わり小説が愛される理由なのではないでしょうか?
入れ替わり小説を通して世の中に希望を持てる
私たちが身近に接している相手でも、頑張って取り組んでいることや悩んでいることは実は聞いたり見たりしただけでわからないもの。
相手の立場を想像して、悩みを理解しようと近づくことができても、本当に全てを理解することはできません。
ご自身の抱えている悩みも、自分でしか解決できないことでもあります。
入れ替わりがテーマの小説は、登場人物同士が入れ替わることで、身近な人の暮らしを現実に体験しています。
入れ替わりが現実に起こることは、今の世の中ではありえないことでしょう。
それでも小説を通して、相手を知ることができたり、自分の中にしかない悩みにも希望が持てる。
入れ替わり小説が、多くの人に愛される理由なのでは?と思います。