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誰もが帰れる場所を作る〜「家族の好物をメニューにするカフェ」

若者のカフェはなぜ家族の好物がメニューなのか?〜ある日の夢の物語


昨晩、何だかドラマのような夢を見ました。

そこで、今日は書き下ろし小説風でお届けします。

夢のタイトルは、「家族の好物をメニューにするカフェ」。

家庭の事情で波乱の青春時代を過ごした青年の物語です。

父の暴力に苦しむ母と兄弟


雑居ビルと住宅が並ぶ都会の下町。

老舗とは言えないまでも、地域に昔からあるパン屋があった。

夫婦と2人の小学生の子どもたちが切り盛りしながら、毎日パンを焼く暮らし。

周りには明かせない悩みは、酒に酔った父親の暴力…



夜中に迷路のような街を抜け出す


母はある日、街を抜け出して新しい場所で母子3人で暮らすことを告げる。

酒に酔い寝静まる父を置いて、母と兄弟は街を抜け出す。

昔、堀だった水路が入り組む迷路のような街。

梯子をかけたり、雑居ビルの空中廊下を超えたり、3人はようやく駅にたどり着き新しい街を目指す。



新しい港街で生き別れになった3人


新しい街は、ほんの少し都会で適度な田舎の港町だった。

着いてからまもなく、前の家に大切な忘れ物をしたことに気がつく長男。

抜け出した道を辿り、かつて住んでいた街を訪れると怒りで我を忘れた父を見かけた。

父は、長男を怒りに任せて殴り続ける。

警察官が着いた頃には、長男の持っていた新しい街の身分証明書は奪われていた。

大切な忘れ物を見つけることができなかった長男が港町の家に帰ると、そこに母と弟はいなかった。

奪われた身分証明書で新しい家を知った父に追われ、逃げてしまったのだろう。

長男はそのまま新しい家で、どこかで巡り会うことを夢見ながら仕事についた。

ある日、新聞記事に目を疑う。

窃盗の容疑で母と弟が逮捕された。

名前は伏せられていたが、家族だけにわかる確かな情報が書かれていた。



働いたお金でカフェを出した長男


一生懸命に働き少年の時代を過ごした長男は、いつしか立派な若者になっていた。

若者になった長男は、海が見える港町の一角にカフェを出すことに決めた。

陽の光が全席に降り注ぐ、家族4人の好きなものをメニーにするお店。

カフェには、父、母、弟、そして自分の好きなメニーが並ぶ。

なぜ好きな食べ物をメニーにするのか?

カンブリア宮殿のようなインタビュー場面で、長男はこう答えた。


「いつ家族が揃っても食事ができるようにね」




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