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読書好きのための本当に読みたい本が見つかる書評ブログです。小説、実用書、ビジネス書ジャンルを問わず紹介。読書にまつわる豆知識のお話、文章の書き方のお話もありますよ。

冬は希望がわいてくる小説をおすすめしたい 2019年

冬におすすめの小説特集

実用書、思想と哲学・考え方の本、一般教養・サブカルと雑学の本、読書の効果と読書術の本、ビジネス書・政治と経済の本、エッセイとノンフィクション、小説の7つのジャンルから紹介させていただきます。

最終回の第7回は、恒例の小説の特集です。

冬におすすめの小説


冬におすすめの小説は、短編ミステリ2作品、社会小説2作品、日常ミステリ1作品、ある青年がお坊さんになるまでを描いた1作品を選んでみました。


阪堺電車177号の追憶』山本巧次

1つ1つのエピソードがとてもリアルで、世界観に入り込みたくなる作品が『阪堺電車177号の追憶』。

阪堺電車は、大阪の南側を走る大阪府民の足。

暮らしの中に敷かれたレールを通して、出会った人々の不思議な日常に触れる短編集です。


『エアー2.0』榎本憲男

夢のようで、夢だけでは終わらせたくない物語があります。

謎の老人から託された大穴馬券で突然5000万円を目の前にした作業員の中谷。

再び現れた老人は、人の感情を予想する市場システム「エアー」の運営を任せたいと申し出る。

国家予算を超える「エアー」の利益を元に、福島県原発事故で失った帰還困難区域の再生を目指す物語。

本当にこんなことが起こったら、そう期待させてくれる作品でした。


トップリーグ2』相場英雄

前作トップリーグは、東京都内の工事現場から発見された1億5000万円から暴かれた官邸の謎。

その後、若手新聞記者だった松岡直樹は編集長に、雑誌記者の酒井祐治は出版社を辞め塾の先生に転身していた。

政治の裏に隠された、5年前の事件のラストに迫る物語です。


『小説版 ボクは坊さん。』岡田裕蔵

映画化もされた「ボクは坊さん」。

24歳の若さで突然住職を継いだ若者のボク。

地域の人たちや親友、古くからの檀家さんに支えられ、お坊さんとして成長してゆく。

お坊さんというと、「初めから」お坊さんだったも思えてしまいますが、一般企業に勤める私たちのように苦労があって、努力も欠かせない。

お坊さんが見せてくれる、人間的な姿が描かれた物語。


『先生と僕』坂木司

www.yu-hanami.com

大ファンの坂木司さんの作品も取り上げさせていただきます。

日常ミステリのジャンルで、暮らしの中の謎に迫るシリーズを描かれる坂木司さん。

『先生と僕』、主人公は大学生の家庭教師とキレキレの推理を見せる中学生の探偵コンビ。

東京都内で起こる事件を助手役の記憶力と中学生探偵の推理力で次々と解決する物語は、日常ミステリファンを楽しませてくれること間違いなしです。

『笑うな』筒井康隆

時をかける少女』や『旅のラゴス』で知られる筒井康隆さん。

SF小説のジャンルで文学賞の受賞も多い作家さんが描く、少し古めの作品。

タイムマシンを開発した2人が、身近に起こった出来事の真相に迫る。

今の時代とは少し違う笑いの目線も、さらに面白く楽しめるお話です。


注目は『エアー2.0』


坂木司ファンの花水(hanami)としては、『先生と僕』をおすすめしたいのですが、今回は違う作品をおすすめしてみます。

福島原発事故の帰還困難区域という、とても深刻なテーマですが、そこに希望を持たせてくれる。

起こらなさそうで、数年先には起こっていそうな『エアー2.0』の世界観を楽しみたいですね。


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