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第33回山本周五郎賞にはリアルな世界観の5作品がノミネート

第33回山本周五郎賞ノミネート作品


毎年5月は、ストーリーと登場人物重視の山本周五郎賞が発表されます。

2020年の山本周五郎賞にも、人気の5作品がノミネートしていますよ。

山本周五郎賞とは?


山本周五郎は、明治から昭和にかけて時代小説・歴史小説のジャンルで活躍された日本を代表する文豪の1人。

登場人物の心の変化を鋭く描いて、心理描写でストーリーを描く作風は、当時の作家さんの中で際立っていたといわれています。

山本周五郎の作風にちなんだ「ストーリーと登場人物の構成」に注目した文学賞が、山本周五郎賞の特徴でもあります。



第33回山本周五郎賞ノミネート作品


第33回山本周五郎賞には、寺地はるなさん、赤松利市さん、宇佐美まことさん、早見和真さん、柚月裕子さんの5作品がノミネートされています。


『夜が暗いとはかぎらない』寺地はるな

『大人は泣かないと思っていた』、『今日のハチミツ、あしたの私』の著者 寺地はるなさんの作品が初のノミネート。

閉店が決まってた「あかつきマーケット」から、ある日マスコットキャラクター「あかつきん」が姿を消した。

大阪の隣町 あかつき町では、困った人を助け、悩んでいる人に寄り添う「あかつきん」。

彼はなぜ、そして誰のために動きだしたのでしょう。


『ボダ子』赤松利市

バブル投資の成功
豊かになった暮らし
愛娘を苦しめる病気
阪神大震災
倒産と転職
そして職場でのいじめ

大西浩平という自分が体験した、事実を元にした「生きた」世界が広がっています。


『展望塔のラプンツェル』宇佐美まこと

虐待から逃れるために、限られた行動を起こした5歳児の石井壮太。

暴力で埋め尽くされた家庭から出て見えた世界、そこはさらに酷い貧困と暴力が溢れる街。

荒んだ多摩川市に暮らすカイとナギサ。

自身も荒んだ暮らしを経験した2人は、街をふらついている子どもを保護することに。


『ザ・ロイヤルファミリー』早見和真

競馬がテーマの物語を私は知りませんでした。

女性死刑囚の犯した事件の真実に迫るサスペンス、『イノセント・デイズ』の著書 早見和真が描く競馬の世界。

馬主の社長 山王と圧倒的な強さの競走馬、表舞台には現れなくても影で競馬を支える調教師と厩舎職員のリアルな仕事を描いた物語。


『暴虎の牙』柚月裕子

2020年3月に出版された、柚月裕子さんの人気警察小説「孤狼の血シリーズ」の完結作が早くもノミネート。

広島を舞台にした、県警暴力団対策課 大上章吾と閉ざされた刑務所から二人世の中に解き放たれた暴力団幹部 沖虎彦の決着は…。

ファンの方も楽しみに、そして完結することが惜しまれる作品ですね。



明るいストーリーのノミネート作品は?


今回ノミネートした5作品は、わりとシリアスなテーマの作品が多いように思えます。

そんな中で寺地はるなさんの『夜が暗いとはかぎらない』は、冒頭から終盤まで心を暖めてくれるストーリーでした。

読者さんの気持ちを暖めてくれることは間違いありませんね。



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