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歴史的な出来事と地域で学び直せる戦国史の教科書

図説 一冊で学び直せる戦国史の本

著者 後藤武
出版社 株式会社 学研プラス
分類 実用書
出版日 2019/12/31
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい


今日は、花水(hanami)にしては珍しく解説書を紹介させていただきます。

藤武士さんが書かれた、戦国時代の解説書『図説 一冊で学び直せる戦国史の本』はとても詳しく、わかりやすい1冊です。

こういう本を学校の教科書にした方がいいのになぁと思います。

社会科の一般教養の執筆者 後藤武士さんの紹介


著者の後藤武士さん。

コンビニや本屋さんの一般教養、雑学書コーナーでよくお見かけするお名前です。


藤武士さんは教育評論家

著者の後藤武士さん。

お名前から、「いかにも歴史学者」と思っていましたが、肩書きは教育評論家、世相評論家でした。

歴史の専門家ではないから、後藤さんの書かれた本はわかりやすいのかもしれませんね。


藤武士さんの本の紹介

藤武士さんは、日本史や世界史の他に国語にまつわる本も書かれていました。

『読むだけですっきりわかる戦国史藤武


『読むだけですっきりわかる国語読解力』藤武


『読むだけですっきりわかる政治と経済』藤武




『図説 一冊で学び直せる戦国史の本』は時代全体を見渡せる構成と図解と相関図がわかりやすい


『図説 一冊で学び直せる戦国史の本』は、1つの時代を地域別・年代別のまとめた構成と歴史的人物の立場や関係を相関図でまとめていて、とてもわかりやすい解説書です。


時代全体を見渡せる構成

・実はわかりにくい戦国時代ーまえがきにかえて p2〜p3
・戦国時代国名地図 p10〜p11
・足利氏略図 p12〜p13
戦国史年表 p14〜p22
・第1章 戦国史をつかむ p24〜p36
・第2章 関東騒乱と応仁の乱 p38〜p58
・第3章 群雄割拠の時代の始まり p60〜p76
・第4章 瓦解に向かう室町幕府 p78〜p98
・第5章 近畿と西国の猛者たち p100〜p124
・第6章 東の戦国武将たち p126〜p150
・第7章 革命児 織田信長の夢 p152〜p180
・第8章 豊臣秀吉の光と影 p182〜p208
・第9章 戦いの時代に幕が下りる p210〜p229
・令和の人々はなぜこうまで戦国に惹かれるのか p230〜p231
・索引
※参考文献 40冊

150年にもわたる日本の戦国時代。

本の中では、戦国時代の始まりと終わりの前後の時代も入れて9章に分けられています。


地図と相関図でわかる出来事

初心者が歴史を学ぶ上で大きな障害になるのが、テーマ別の表記ゆえの時系列の前後なのだが、戦国時代はそもそも各地域の時系列の独自性が強いゆえに、年代別の表記と説明が難しい。
中略)
本書では、それらの障害を取り除くべく、極力年代順の表記を心がけている。また、それぞれが独自に進行していゆ地域と地域の歴史をどこでリンクさせているかにおいても考慮がなされている。
・実はわかりにくい戦国時代ーまえがきにかえて p2〜p3

藤武士さんも書かれているように、時系列が前後したり、各地で同時に色々なことが起こっているのが歴史の難しいところです。

『図説 一冊で学び直せる戦国史の本』は、地域と時代を合わせて、図解されているのはとてもわかりやすいですね。

歴史の人物も相関図で解説されていて、その人がどんな役割と立場にいたのかがすぐにわかります。

☆☆☆とても読みやすい1冊だと私は思います。



キッカケは『麒麟が来る』


歴史の本を改めて手に取ったキッカケは、なんといっても大河ドラマ麒麟が来る』です。

戦国時代の大河ドラマは大好きなんですよ。

そして、私が学生の頃に読んだ教科書よりも、現代の最新の本の方が新しい見解が書かれています。

例えば、昔の教科書では織田信長は「すぐキレる」「パワハラが多い」ことが書かれていましたが、同年代の戦国武将に比べてキレやすかったわけでも、パワハラが酷かったわけでもないようです。

麒麟が来る最大の見せ場、本能寺の変では最新の情報を元にストーリーが描かれるのかなぁと期待しています。


歴史は「何」より「何故」が大切


本の内容というより、麒麟が来るについて語ってしまいました。

ここで、私の歴史観を書かせてくださいね。


歴史の授業より時代劇と漫画が役に立った

ここで、歴史好きの花水(hanami)は中学校の社会科の成績は4か5でした。

でも、勉強はほとんどしていません(テストの前に配られたプリントを解く程度)。

歴史は、時代劇と漫画で覚えていたんです。


出来事を覚えるより「何故」そうなったかを知る

関ケ原の戦い」は日本人なら誰でも知っている戦国時代の出来事です。

関ケ原の戦いが起こったのは、1600年と覚えやすく、当事者の片方が徳川家康というのも覚えやすいですよね。

では、関ケ原の戦いは何故起こったのでしょうか?

私と同じ年代に歴史の授業を受けた方は、答えられる方が少ないはず。

答えは、豊臣秀吉が亡くなった後の当時の政権争いで、自分の周りの基盤を固めようとするトップの徳川家康を失脚させるための出来事でした。

家康と対立する石田三成は、豊臣秀吉が生きていた頃は天下人に1番近い場所で優遇を受けていました。

同じような立場にいたり、政権の中心大阪に近い戦国武将が集まり、反徳川家康派の「西軍」がつくられていきました。

三成が立ち上がるように家康がフェイントを仕掛けたといわれていましたが、どうやら家康側にとっては「突然の出来事」だったと本には書かれています。


「何をしたか?」より「何故したか?」

例えば、織田信長の政策で有名なのは「楽市楽座」です。

楽市楽座というネーミングもポジティブで、商売をする人目線の政策に思えます。

実はこれ、現代でいうなら商売をしていい場所、商売の業種の「規制緩和」です。

経済で規制緩和が起こると、競争が起こります。

商売をしていい場所の規制緩和が起こると、成功できそうな都会に人が集まります。

商売の業種の規制緩和が起こると、価格競争が起こります。

信長は、商売をする人に競争をさせて、成功する人を増やす政策を取ったのでした。

その結果、豊かになった都市部では税金がたくさん集めやすくなり、織田家の経済を支えることにつながったわけです。



令和と戦国、変わることと変わらないこと

政治や芸能、スポーツや経済においてさえ二世がもてはやされ、階層の固定化が顕著な時代。「ワーキング・プア」「働いたら負け」などという言葉に代表されるように市井の人々の閉塞感もまた大きい。
中略)
やり場のない理不尽への憤り、持って行き場のない悲しみわ目指そうにも努力しようにも見えない道標や目標、これらの溜めに溜めた想いが、堰を切ったように解放され、アンシャン・レジームを押し流す。このダイナミスクこそ、令和の社会に生きる人々を惹きつけてやまない戦国時代の醍醐味といえよう。
・令和の人々はなぜこうまで戦国に惹かれるのか p230〜p231

経済格差に高齢化社会、そしてコロナ禍。

暗いニュースを歴史的な人物はどう解決したのでしょうか。

そこに、令和の現代でも通用する方法が見つかるかもしれません。



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