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叙情的と叙事的の文章表現の違い

叙情的と叙情的の違い

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風景が目の前に広がるような叙情的な描写、小説について書いていると、叙情的と叙事的という文章表現を見かけます。

見た目はそっくりなのですが、叙情的と叙事的では文章の役割も表現も全く違います。

今回は、実際に本に書いてある文章を例に叙情的と叙事的の違いをまとめてみました。

叙情的とは?

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叙情的(英:lyrical)は、「感情や気持ちなどが、じんわりと外に現れるような雰囲気や文章」という意味があります。


じんわり外に現れる文章

叙情的な文章表現は、登場人物の気持ちを表現して読者の心を揺さぶるシーンに多く使われています。

また、季節感や風景を感じられるシーンでも使われる文章表現でもあります。

坂木司さんは、「日常ミステリ」というジャンルの作品で章ごとに四季の変化を描いています。

10月に入ったとたん、急に寒くなった。ついこの間まで夏の顔をしていた空はいきなり高さと青さを増し、かろうじて生き残っていた蝉は、その鳴き声と共にあっけなく姿を消した。
坂木司『先生と僕』p175

事実を伝えるだけなら、「10月に入ったとたん、急に寒くなった」だけで読者は10月のシーンと理解できます。

この文章からは、登場人物の秋が来て楽しいというより、賑やかだった夏が終わる寂しい気持ちをうかがい知ることができます。


小説や詩集は叙情的

文章で描かれた「作品の世界観やストーリーを楽しむ」小説は、ほとんどの場面で叙情的な文章表現が使われています。

詩集は、さらに「芸術的な表現を楽しむ」作品でもあるので、ほとんど全てに叙情的な文章表現で描かれていますよね。



叙事的とは?

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叙事的(英:epic,narrative)は、「事実をありのままに述べ記す」とあります。

ありのままに述べる

叙事的な文章表現は、事実や情報をできるだけ客観的に伝えたいときに使われます。

ホリエモンこと堀江貴文は、多くの方に知られている実業家です。

あらかじめ言っておくが、実は、日本は地理的に見て、世界で最もロケットの打ち上げに適した場所なのだ。
なかでもISTが本拠地とる北海道・大樹町は、世界的に見てもロケットに最高に向いている町なのである。
堀江貴文『ゼロからはじめる力』p13

ご自身のロケット事業について書かれた本からは、「日本が世界有数のロケット打ち上げ場所であること」「その中で北海道・大樹町がロケットの打ち上げに向いていること」の2つがコンパクトにまとめられています。


ビジネス書や実用書は叙事的

ホリエモンさんの本はビジネス書、ノンフィクションのジャンルの本です。

他にも、仕事や暮らしで役立つ情報が書かれた実用書も読者さんに「情報を伝える」役割があるので叙事的な文章表現で書かれています。



叙情的と叙事的は正反対?

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「作品の世界観やストーリーを楽しむ」小説や、「芸術的な表現を楽しむ」詩集は「感情や気持ちなどが、じんわりと外に現れるような雰囲気や文章」で叙情的に描かれています。

「情報を伝える」役割のビジネス書や実用書は、「事実や情報をできるだけ客観的に伝える」叙事的な文章表現で書かれています。

叙情的と叙事的な文章表現は、辞書では反対の意味があります。

実際は、文章に与えられた役割で使い分けられていました。



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