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闇祓いと死喰い人は対立関係ではなかった?行政・司法と立法の関係

闇祓いと死喰い人

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今回も、ハリーポッターシリーズの深掘りのお話です。

テーマは、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』から登場するようになった闇祓いと死喰い人について考えてみました。

闇祓い


闇祓いは、魔法使いの政府「魔法省」に所属する対テロ特殊部隊の隊員です。

現実の世界では、警察組織の特殊部隊と同じような位置付けです。


闇祓いとは?

闇祓い(ラテン語:Aurora)は、魔法省の「魔法法執行部」の「闇祓い本部/闇祓い局」に所属する闇の魔法使いに対応する捜査員です。

闇祓い本部/闇祓い局は「局長」がトップで、魔法法執行部「部長」の部下ではありますが、魔法大臣の直属で活動することもあり、組織内でも個人の判断が優先されています。

闇祓いになるためには、魔法省の採用試験を受けた後、経歴から性格までの細かな適性検査、採用後最低3年間の訓練課程を得た後でなければ資格が与えられない狭き門です。

「闇の魔術に対する防衛術」はもちろん、「変身術」「呪文学」「魔法薬学」で成績が優秀な学生しか採用されず、普通の成績ではなることができない仕事であるとマグゴナガル先生が語るシーンがあります。
子どもから大人へ、理不尽さと組織というとのを描いた 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ


闇祓いの仕事内容

闇の魔法使いの捜査・逮捕、および公的施設や重要人物(魔法大臣やマグルの首相)の護衛が主な仕事です。

他の部署にはない仕事内容に、闇の魔法使いの殺害があります。

これは、ハリーが生まれる前にヴォルデモート卿の活動が盛んだった1970年代、魔法法執行部長バーテミウス・クラウチ・シニアによって、「許されざる呪文」の使用と犯人の殺害の権限が与えられたためです。

その後、ヴォルデモート卿の失脚から復活後までは、公的な権限で殺害が許可されることはありませんでした。
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闇祓いの強さ

闇祓いの強さを、物語でも実力が語られる人物が活躍した時代で分けてみました。

・ムーディ時代
ヴォルデモート卿と死喰い人が勢力を拡大していた時代、当時の局長はガウェイン・ロバーズという人物なのですが、人物が詳しく描かれてはいません。
代わりに、伝説の闇祓いアラスター・ムーディが活躍した時代ともいえます。
当時は、ネビル・ロングボトムの両親フランク・ロングボトム、アリス・ロングボトムが所属していました。
この時代は、死喰い人との戦いが激化していて、多くの死喰い人を殺害し、ムーディ1人で「アズカバンの半分を埋めた」伝説も残ります。
闇祓いの実力が最も高かったのは、この時代です。

・ドーリッシュ時代
ヴォルデモート卿の失脚から復活まで、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で魔法大臣に就任したルーファス・スクリムジョールが局長を務めた時代です。
スクリムジョールの実力が描かれていないため、めちゃめちゃ疲れる魔法テストN.E.W.T試験の成績がすべて「優.O」だったドーリッシュが活躍した時代です。
ヴォルデモート卿の失脚で平和が続いていたためか、優秀な闇祓いのドーリッシュは『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』でダンブルドアを連行する際に簡単に気絶させられ、『ハリー・ポッターと死の秘宝』ではネビルの祖母オーガスタ・ロングボトムを連行しようとして、聖マンゴ魔法疾患傷害病院に送られる重傷を負わされています。
おそらく、闇祓いが最も仕事ができなかった時代なのでしょう。
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・キングズリー時代
キングズリー・シャックルボルトもドーリッシュ時代の闇祓いではありますが、ヴォルデモート卿が復活してからも活躍した姿が描かれています。
物語のクライマックス、ホグワーツの戦いでは不死鳥の騎士団側の総指揮を取り、多くの犠牲者を出しながらも死喰い人の勢力を滅ぼす活躍を見せます。
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死喰い人


死喰い人は、ヴォルデモート卿を支持する反政府組織、反社会組織の構成員のことです。


死喰い人とは?

死喰い人(英:Death Eaters)は、ヴォルデモート卿を支持する闇の魔法使いの中でも、実力を認められ腕に闇の印を刻まれた人物を指します。

1970年代には、不死鳥の騎士団の20倍の勢力がありましたが、ヴォルデモート卿の復活後は多くても20人くらいが確認できる程度です。


死喰い人の活動内容

死喰い人の活動目的は、ヴォルデモート卿の掲げる「純血史上主義」を実現することです。

活動内容は、魔法省への潜入と掌握、巨人や狼人間・吸魂鬼など味方勢力の拡大、闇祓いや不死鳥の騎士団の排除です。

物語後半では、ダンブルドアの暗殺とハリー・ポッターの拘束が優先されていました。


死喰い人の強さ

闇祓いが時代によって実力に差があるように、死喰い人の実力も同じように差があります。

対立するムーディ時代の闇祓いと争った当時から、No.1の実力者がベラトリックス・レストレンジです。

当時の死喰い人の中で、ベラトリックスとともにアズカバンの刑務所に服役したメンバーには夫のラバスタン・レストレンジ。

ムーディに成りすましホグワーツに潜入したバーテミウス・クラウチ・ジュニア。

伝説の闇祓いムーディを1度は破りリーマス・ルーピンを殺害したアントニン・ドロホフ、死の呪文を乱射するソーフィン・ロウルと実力者揃いです。

一方で、ヴォルデモート卿の失脚後に死喰い人の地位を隠して暮らしていたルシウス・マルフォイ、ピーター・ペティグリュー、コーバン・ヤックスリーらの実力はいまいちに描かれています。

さらに、ヴォルデモート卿の復活後に死喰い人に加わったドラコ・マルフォイ、ビンセント・クラッブ、グレゴリー・ゴイル、アミカス・カローとアレクト・カローの2人の兄妹は全く良い活躍がありません。



対立関係とはいえない闇祓いと死喰い人


ある時期には、お互いに命を奪い合った闇祓いと死喰い人ですが、単純な対立関係にあるとはいえません。

というのも、魔法省という政府に所属する闇祓いと反社会組織の死喰い人では立場が違います。

死喰い人は、「純血史上主義」という思想を持つ集まりで、対立関係にあるのは「平等主義」を掲げるアルバス・ダンブルドアハリー・ポッターの不死鳥の騎士団だからです。


不死鳥の騎士団+元闇祓い×死喰い人+闇祓い

ヴォルデモート卿が復活し、魔法省を「純血史上主義」が支配すると、闇祓いはそのまま組織に残り不死鳥の騎士団を反社会組織として摘発する者、組織を去り不死鳥の騎士団に加わる者に分かれています。



闇祓いは行政・司法で死喰い人は立法

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現代の民主主義では、立法・行政・司法の三権分立が基本とされています。

ハリーポッターの世界観では、魔法省に行政の役割があり、ウィゼンガモット最高裁に司法の役割がありますが、最高裁が魔法省の1組織でもあるため、行政と司法の役割が曖昧に描かれています。

立法は、日本国内では衆議院参議院に役割があり、「○○主義」のような国のあり方を主張するのは議会に参加する政党の役割です。

魔法省に所属する闇祓いは、あくまで行政と司法の職員で法律によって役割が与えられている形になります。

一方、死喰い人の「純血史上主義」や不死鳥の騎士団の「平等主義」は法律の元になる思想です。

三権分立に置き換えると、政党に違い死喰い人は立法の立場ですので、法律を作って闇祓いを支配することも、法律を破って闇祓いに摘発されることもあります。

立場の違いが、闇祓いと死喰い人が対立関係ではない理由になるのではないでしょうか?



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