本当に本が読みたくなる読書のブログ

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ヒロシ流キャンプスタイルは「自由である」こと〜『ヒロシのソロキャンプ』ヒロシ

ヒロシのソロキャンプ〜自分で見つけるキャンプの流儀

著者 ヒロシ
出版社 株式会社学研プラス
分類 実用書
出版日 2020/8/18
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい


今回は、お店に並んでから間もない本を取り上げてみます。

読書と同じかそれ以上に好きなことがあります。

それは、アウトドア!

そして、お笑い!

デビューされた当時から笑わせていただき、今はキャンプの豆知識を学ばせていただいているソロキャンパー ヒロシさんのキャンプへの価値観が詰まった1冊です。

芸人からソロキャンパーに…


もし『ヒロシのソロキャンプ〜自分で見つけるキャンプの流儀』の表紙だけを見かけた10代の方は、ヒロシさんをプロのキャンパーと思われるはずです。

現在は、独自のキャンプブランドを展開し、YouTubeで人気のキャンプ番組を配信するヒロシさん。

実は、ピン芸人としてブレイクされた時期もあったんです。



ソロキャンパー ヒロシ

ヒロシです

レトロな音楽とともに、降りかかった不幸を笑いに変える「自虐ネタ」でブレイクしたお笑い芸人ヒロシさんは、今の20代後半から30代の方にとって忘れられない存在です。

ヒロシさんの著書やエピソードでは、自虐ネタが生まれたのはヒロシさんの登り下りの激しい人生にあったとあります。

2004年から2005年の『R-1ぐらんぷり』の前後が、芸人ヒロシにとって何度目かのピークだったはずです。

ブレイクしたことで得た注目とお金。

テレビのビジネスの世界、週刊誌のネタ、思い描いていた暮らしとの違い。

生き方に思い悩んだヒロシさんが見つけたのは、子どもの頃に好奇心を沸き立たせてくれたキャンプでした。

2015年にヒロシさんのキャンプ風景を配信し始めたYouTubeチャンネル「ヒロシちゃんねる」は、今では85万人の登録者数を誇る国内トップのアウトドアチャンネルになっています。


他の本の紹介

ヒロシさんの登り下りの激しい人生。

思い悩んだ「生き方」は、本という形で生きづらい世の中に暮らす私たちのお手本にもなってくれます。


ヒロシです。2』

『ネガティブに生きる。ヒロシの自虐的幸福論』

『働き方1.9 君も好きなことだけして生きていける』


優しい自然の写真と「自由」という価値観


『ヒロシのソロキャンプ〜自分で見つけるキャンプの流儀』は、ヒロシさん自身が撮影した写真も楽しめ、自然の中にいることを想像してしまいそうな1冊です。

ヒロシが「わがままに書いた」という本の構成

・はじめに p2〜p9
・第1章 ヒロシの全キャンプギア p12〜p68
・第2章 実践!いざソロキャンプへ p69〜p102
・第3章 ソロキャンプをもっと楽しむ p103〜p116
・おわりに p117〜p119

『ヒロシのソロキャンプ〜自分で見つけるキャンプの流儀』は、3つの章でキャンプの価値観とスタイルに迫るシンプルな構成です。

第1章では、キャンプギアや取扱店を詳しく紹介してくれます。

第2章は、基本的なテントの立て方やアウトドアの基礎知識、焚き火やブッシュクラフトまで実践的なキャンプのお話をまとめられています。

そして、第3章はキャンプ好きとヒロシファンにとっては待ち焦がれたキャンプの価値観のお話です。


☆☆☆とても読みやすい

『ヒロシのソロキャンプ〜自分で見つけるキャンプの流儀』は、ヒロシさんのトークのような話し言葉で書かれ、目を休め楽しませてくれる写真の多い、とても読みやすい1冊です。

小学校の学生さんも楽しめる内容なのではないでしょうか?と思います。



キャンプの価値観を語る本


我が家が本格的にキャンプを始めてから、3年が経ちます。

キャンプ雑誌で役に立つ豆知識を見つけ、以前紹介ささていただいたキャンプ飯の本で美味しい料理を考える。

キャンプ先で見かけた他のキャンパーの工夫を真似てみたり、現地であれこれ考えながら新しい方法を思いつく。

キャンプをしていると、頭を使うことが多く、いろいろなことを思いつくものです。

そこで知りたくなったのは、「キャンプとは何か?」というキャンプの価値観

この本はキャンプ初心者向きの本でも、ソロキャンプの一般ハウツー本でもない。ただのソロキャンプ好きのヒロシのキャンプスタイルを覗いてもらうだけの本になっている。自分勝手に載せたい写真を載せ、書きたい文章を書いただけの、これまで僕が出した本の中でもいちばんわがままな本に仕上がった。なんせ、キャンプには自由を求める僕が書いたキャンプ本なのだから。
2020年7月 ヒロシ
・はじめに p3



キャンプギア、焚き火、キャンプスタイルへのヒロシさんの価値観


今年はほとんど行けなかったキャンプ、忘れてしまいそうになるキャンプの価値観を「キャンプギア」「焚き火」「キャンプスタイル」の3つに分けて、ヒロシさんの答えを読んでみましょう。


使ってこそ価値がある〜キャンプギアへの価値観

道具選びはキャンプの最初の大きな楽しみだ。失敗することもあるが、その失敗すら楽しんでほしい。自分好みのキャンプが変わると、使う道具も変わっていく。道具選びの楽しみは続くのだ。
・第1章 ヒロシの全キャンプギア p28〜p29

キャンプを続けていると、次々と新しいキャンプギアを試したくなります。

思いつきで買ったキャンプギアも、とても役に立つこともあれば、いまいちだったこともあります。

キャンプギアについて、ヒロシさんはこう考えます。

今回、改めてお金をかけなくてもキャンプは楽しめると伝えたくて、キャンプに使える格安道具を集めてみた。たとえ格安道具で始めるキャンプでも、昔の僕ほどダサくはならないだろう。格安道具でもいいからまずはキャンプに出かけ、たくさん悩んで楽しんでほしい
・第1章 ヒロシの全キャンプギア p68

「まずはキャンプに出かけ、たくさん悩んで楽しむ」

キャンプギアは、キャンプに使ってこそその価値があります。

道具を揃えて満足感に浸ったり、キャンプ場でいい道具を並べて優越感に浸るより、格安道具でも工夫して楽しむこと。

キャンプギアの価値は、そうして積み上げられていくのかな。


焚き火と男女の個性〜結果と安心なのか過程と挑戦なのか?

ぼんやりと燃え上がる焚き火。

TV番組の『冒険少年』で、出演しているタレントの方が行う様々な火起こし。

私たちもそうなのですが、焚き火について男女で意見が分かれることもあります。

どちらかというと、女性は「確実に火が起こせること」と「安心して使える薪や炭などの燃料」など、実用的な焚き火を大切にしています。

一方で男性は、「火起こしまでの過程」や「自然の中での薪集め」「薪割り」といった、焚き火までの過程を大切にしているように思えます。

その疑問に、ヒロシさんはこう答えていました。

太古の昔、男は狩りに出かけ、女は洞窟で火を守ってきた。生死をかけてマンモスを狩って洞窟へ帰ると、女が火とともに出迎えてくれる。
中略)
そういえば、「わざわざ拾わなくても買った薪のほうが簡単でいいのに」という女性は多いように思う。これだって、火の番をしてきた女性は、焚き火の大切さを知っていても、それに飽きたからではないだろうか。だから、男と違って楽に火を熾したくなるのではないだろうか。
・第2章 実践!いざソロキャンプへ p78〜p79

やっぱり焚き火の価値観には、性別の影響もあったんだ。

さらに焚き火に想いを馳せるヒロシさんは続けます。

僕は、焚き火は人間の一生に寄り添うのと同じだと思っている。
・第2章 実践!いざソロキャンプへ p89〜p90

男性のヒロシさんもまた、焚き火までの過程を大切にされ、そこにロマンを感じられているのでしょう。

かっこをつけ、焚き火を子育てにたとえたが、僕は独身だ。子育てはよくわからない。
・第2章 実践!いざソロキャンプへ p91

こういう自虐ネタを取り入れた書き方も、ヒロシさんの本が好きになれる理由でもあります。


キャンプスタイルは自由、自分なりの工夫が楽しみ

キャンプスタイルというと、キャンプで何を楽しむかで違いがあります。

答えの出ないテーマなのかなとも思います。

私は、「暮らしの延長線上にある開放感」かな。

何か特別なことをしなくても、天気の悪い日や寒い季節に高性能な装備で出かけなくても、お昼ご飯を食べるように出かけ、普段眠るように寝る。

キャンプが暮らしの延長線上でありたいな。

自分にとってベストなら
それが正解
買い換える、工夫する、諦める………どの対応が正解かなんて誰にもわからないが、自分なりに「なんとかしたい」と考えるひと時すらワクワクする。ソロキャンプは自分で工夫するのも楽しみだ。
「他人に聞くな!悩め」といいたい。
・第2章 実践!いざソロキャンプへ p102

ヒロシさん自身にも、答えにたどり着いていないようです。

それよりも、キャンプに行く、それが大切。


キャンプの行き着く先は…?


とりあえず行ってみて
不便さと付き合って
新しい道具や工夫で乗り越えて
本当にそれは必要なのかと悩んで
1つの物事にいくつもの機能を求める
そうやって無駄を減らしていくと
道具は少なく
穏やかな時間は多くなる


キャンプは、初心者から中級者、上級者からプロになっていくにつれてどんどんシンプルになっていくのかもしれません。

もしかして、生きることもそうなのかも?

ヒロシさんのキャンプスタイルから人生を学べる1冊でした。

それでは、巻末の言葉で締めくくらせていただきます。

全てが死ぬほど欲しかった
他人が羨む自分になりたくて芸人になった
あれから25年
今はひとり焚き火をみてる
これが俺の最高の贅沢
・おわりに p119

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