『大人のソロキャンプ入門』
著者 ヒロシ
出版社 SBクリエイティブ株式会社
分類 実用書、エッセイ
出版日 2022/4/15
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
今回は、アウトドアをされる方に熱狂的なファンの多いお笑いタレントのヒロシさんの本を紹介させていただきます。
前作の『ヒロシのソロキャンプ』に続く、ヒロシさんのキャンプ観からエピソードまでを綴られた、キャンプの入門書といえる作品ですよ。
ヒロシさんと著書の紹介
10代の方にとっては、ヒロシさんというとプロのキャンパーと思われていますが、実は10数年前に大ブレイクした芸人さんなんですよ。
『大人のソロキャンプ入門』の前に、著者ヒロシさんの紹介と出版されている本をまとめてみました。
キャンプ芸人ヒロシの経歴
九州出身のお笑いタレント ヒロシさんも今や50歳。
イタリアのノスタルジックな曲とともに照明が落ち、「ヒロシです」と語る「自虐ネタ」が懐かしく思えるほどです。
ヒロシさんの著書やエピソードでは、自虐ネタが生まれた背景には、登り下りの激しい人生にあったとあります。
2004年から2005年の『R-1ぐらんぷり』の前後でブレイクしたヒロシさんは、得られた知名度と収入とは裏腹に時間を失う忙しい日々を過ごされます。
忙しさの中、ヒロシさんが見つけた楽しみは、子どもの頃に好奇心を沸き立たせてくれたキャンプ。
今では、キャンプ好き芸能人の「焚き火会」を結成され、キャンプ番組やYou Tubeでキャンプの魅力を発信されています。
他の本の紹介
『ヒロシのソロキャンプ〜自分で見つけるキャンプの流儀』
www.yu-hanami.com
ヒロシさんがキャンプの魅力を綴られた本は、2020年に出版された1冊。
今回が2冊目の出版です。
他にも「生き方のヒント」を、本という形のお手本として私たちに届けてくれてます。
今のヒロシさんを知る上で欠かせない、九州で過ごした少年時代のエッセイです。
『ヒロシです。2』
芸能界デビューから現在までのネタの由来に迫る、ヒロシ大辞典と呼ばれる1冊です。
『大人のソロキャンプ入門』の構成と読みやすさ
『大人のソロキャンプ入門』は、キャンプ入門書としては270ページ6章構成と十分な文字数ですが、対話形式で綴られた文章はとても読みやすい内容です。
キャンプの魅力から技術までをまとめた6章構成
・はじめに p3~p9
・序章 なぜ、ひとりでキャンプなのか? p18~p31
・第1章 お金をかけずにキャンプを始める p34~p64
・第2章 キャンプ専門店以外の道具で自分のカラーを見つけ出す p66~p111
・第3章 キャンプでも好きなものを食べよう p114~p159
・第4章 火打ち石で色気のある焚き火を楽しむ p162~p212
・第5章 「脱ドームテント」で自然ともっと戯れる p214~p242
・第6章 ソロキャンプを一生ものの趣味にする p244~p270
『大人のソロキャンプ入門』は、キャンプ初心者の方へヒロシさんが体験を通した魅力を語る形で読み進めることができます。
序章と第1章ではキャンプをはじめるきっかけ、第2章はキャンプ道具選びのポイント、第3章はキャンプ飯についてお話が進みます。
第4章からは、エピソードに合わせた焚き火や自然の中だからできるブッシュクラフト、キャンプを継続するコツについて惜しみなく語り尽くしています。
対話形式で☆☆☆とても読みやすい
序章から第6章まで、キャンプ初心者の記者の「質問」、体験を元にした「ヒロシの解答」、読み手へ向けた「まとめ」の対話形式で書かれています。
本を読んでいるというよりも、トーク番組を見ているように読み進めることができ、☆☆☆とても読みやすい1冊のはずです。
ヒロシさんが語るキャンプとは?自由な体験を楽しむこと
ヒロシさんにとって、キャンプとは「自由な体験を楽しむこと」に尽きるようです。
キャンプは、「自由」であって、不便や失敗さえも「楽しむ」もので、「正解はない」ことなのです。
自由であること
自然を前にひとりなのだから、日常のしきたりを逸脱したっていいんです。三食全部カップラーメンでも、最初の一杯目からカクテルでも、誰も文句をいいません。それに、実世界だと、たった一、ニ年だけ先輩の人にも敬語で気を遣いまくるけど、樹齢一〇〇年の大先輩の木にハンモックを吊るして足を向けて寝たって、「俺に足を向けて寝るんじゃない!」って怒られないですから。自然の中に見を置いていると、人間がいかにちっぽけなことに悩んでいるのかを、リアルに実感できるんです。
序章 なぜ、ひとりでキャンプなのか? p29~p31
キャンプはまず、「自由である」ことが大切と書かれています。
職場の上下関係、ご近所の気づかい、先輩後輩の力関係が出てしまうなら、それは自由とはいえないでしょう。
ヒロシさんとともにキャンプを楽しむ「焚き火」は、集まりではあっても上下関係や気づかいはなく、それぞれが自分のスタイルを楽しむことを大切にされていると書かれていましたよ。
失敗も楽しい体験
キャンプに行ったことがある方なら、何度か失敗談をお持ちのはずです。
私にも失敗談がいくつかあって、ゴミ袋をテントの前に置いたままにしていたため夜中にキツネにいたずらされ、正体がわかるまで恐い思いをしたことがあります。
その出来事からは、ゴミ袋はあらかじめ収集場所に持っていくか、車の中に入れておくことにしています。
そんな失敗も、ヒロシさんによると「楽しい体験」のひとつと書かれています。
失敗したから語れる話題にもなり、次のキャンプへの教訓にもなるからです。
正解にこだわらないこと
多くの人は、仕事で市場調査とかライバル商品とか、自分の感性よりも現実を見なければいけないじゃないですか。せめて趣味は、市場とか他人の評価じゃなくて、自分の「好き」を大事にしたいです。そのうえで築くのが自分のスタイルだと僕は思っています。
第2章 キャンプ専門店以外の道具で自分のカラーを見つけ出す p100~p101
ヒロシさんが繰り返し言われていることに、「キャンプに正解はない」「正解にこだわらない」という考え方があります。
「正解にこだわらない」ことには、「ヒロシさんがやっているから良い方法だ」とは限らないという意味も含まれています。
ヒロシさんが愛用している実践的なキャンプ用品も、別のキャンプスタイルを楽しみたい方にとっては使い勝手が悪いこともあります。
キャンプ飯にこだわりたい人は、お手軽に好きなものを食べるヒロシさんのスタイルとは合わないのかもしれません。
誰かがやっているから、周りよく見られるからではなく、自分たちの「好き」がその人にとってのスタイルになる。
そのスタイルも、好みが変われば変わるもの、好きなことはひとつの方法にこだわらないようにというメッセージを受け取ることができましたよ。
自然の中では人は平等なのかもしれない
今の人は頭を使う仕事が多いですよね。本来は人間も動物だから、もっと体を使ったり五感を使ったりする存在なのに、デスクワークが多くなって、変な疲れが出ているのかもしれません。
だから、行き詰まったら野に行けばいいと思うんですよ。そうすると、力をもらえるから。僕、体調が悪いときでも、キャンプに行ったら回復するんですよ。自然には、そういう力があるんだと思います。
第6章 ソロキャンプを一生ものの趣味にする p268~p270
人は自然の中で生きている。
これは、私の教訓です。
寒がりが冬に暖房をたくさんつけても、冬であることに変わりはありません。
雨が降っていても、雲の上はいつも晴れています。
はるか大昔に比べていくら快適になったとしても、やっぱり人は自然の生き物なのではないでしょうか?
アウトドアで外で過ごしてみると、改めて実感することができますよ。
今キャンプに行きたい人、キャンプに行き詰まった人へ
『大人のソロキャンプ入門』は、キャンプをはじめようとされている方、キャンプをはじめたけど挫けそうになっている方へおすすめのキャンプ入門書です。
ソロキャンプはキャンプの楽しみ方の1つで、知識や技術はファミリーキャンプと大きな違いはありません。
キャンプに興味がある方、ファミリーキャンプに挑戦したあとも、夫婦の楽しみにしようとされている方におすすめの1冊です。