本当に本が読みたくなる読書のブログ

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加賀恭一郎が向き合う家族とは?『赤い指』東野圭吾

『赤い指』

赤い指 (講談社文庫)

著者 東野圭吾
出版社 株式会社講談社
分類 ミステリー小説
出版日 2006/7/25
読みやすさ ☆☆★読みやすい
日本を代表するミステリー作家 東野圭吾さんの紹介 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ

東野圭吾さんのミステリー小説の代表作「加賀恭一郎シリーズ」、7作目の『赤い指』を紹介させていただきます。

物語の舞台は、6作目の『嘘をもうひとつだけ』と同じ時系列か少しだけ進んだ2000年代前半。

加賀恭一郎シリーズが「新参者シリーズ」と呼ばれる直前の作品です。

『赤い指』の登場人物


「加賀恭一郎シリーズ」の主人公 加賀刑事。

前作『嘘をもうひとつだけ』の間に刑事経験を重ねた30代半ばの敏腕刑事。

加賀恭一郎(かが きょういちろう)

練馬警察署、捜査一係の刑事。

堀の深い顔立ちと鍛え上げた体格とは反対に、柔らかな言葉遣いと時おり見せる笑顔は「刑事らしくない」印象を与えている。

不規則な仕事とひとり暮らしで外食が多く、焼き鳥とコーヒーが好物。

刑事の経験を重ね、「どういう死を迎えるかは、どう生きてきたかによって決まる」という考えを持つ。


松宮脩平(まつみや しゅうへい)

警視庁 捜査一課の若手刑事。

加賀恭一郎の年の離れた従兄弟。
母ひとり子ひとりの家庭を恭一郎の父 隆正が支えていたこともあり、入院した隆正のもとに度々訪れている。

父親の見舞いに訪れない恭一郎に不満を抱く。


金森登紀子(かなもり ときこ)

都内の病院に勤務する30代の看護師。

入院中の隆正を担当し、細かな配慮と体調管理を怠らない。

1日に1手ずつ将棋の対戦相手になっており、「なかなかの強敵」と見込まれてる。


前原昭夫(まえはら あきお)

都内の一戸建てに妻と子ども、高齢の母親と暮らす40代後半の会社員。

仕事の疲労と家庭の心労で、心身の衰えが気になっている。


前原八重子(まえはら やえこ)

昭夫の妻、直巳が生まれてからは他のことに興味を持つこともなく子育てに励む。

直巳の教育方針で夫 昭夫と意見が合わず、度々口論になっている。


前原直巳(まえはら なおみ)

昭夫と八重子のひとり息子。

小学校高学年で不登校になって以来、中学校には通わず自分の部屋でゲーム漬けの日々をおくる。

思春期とともに、両親のどちらとも向き合わずに過ごしていた。


前原政恵(まえはら まさえ)

2年前、認知症を患い介護を続けていた夫と死別。

身の回りのことは自らこなしていたが、怪我を機に息子の昭夫家族と同居する。

70歳を過ぎてからは歌を口ずさみ、家族が誰かを思い出せないなど物忘れが進んでいる。


田島春美(たじま はるみ)

政恵の長女、政恵とともに父親の介護に携わっていた。

昭夫家族が同居を始めてからも、平日は政恵に食事を届け話し相手になっている。

息子以外に関わりを持とうとしない昭夫と八重子を快く思っていない。


春日井忠彦(かすがい ただひこ)

行方不明になった7歳の小学生、春日井優菜(かすがい ゆうな)の父親。

妻 奈津子とともに、都内のマンションで暮らす。


春日井奈津子(かすがい なつこ)

行方不明になった春日井優菜(かすがい ゆうな)の母親。

夫と共に娘の行方を探している。


加賀隆正(かが たかまさ)

加賀恭一郎の父親。

警察官を定年退職後、自宅でひとり暮らしを続けながら警備会社に勤務していた。

シングル家庭の甥 松宮脩平を経済的に支援していた。

かつては仕事一筋で、恭一郎とは妻が家を出てからは会話も成り立たない関係が続いていた。

肝臓と堪能に末期の癌が見つかり、都内の病室に入院している。

松宮脩平の仕事を気にかけ、1日に1手ずつ将棋の対戦を生きがいに過ごしている。



誰かの日常が物語の始まり……


都合よく物事が進むことは珍しく、暮らしの中では自分の都合とは全く反対に物事が進むことがある。

そこに何人もの人が関わるなら、誰かの都合通りに進むことは、まずないのだろう。


時間の流れが速くなり始めたデジタル過渡期

物語の舞台は2000年代前半。

携帯電話が普及し、ビジネス以外でも連絡手段としてメールが使われるようになる。

民間企業に限らず、警察関係機関でもパソコンを使いこなすことが求められ、世の中の仕組みが変わり始めたデジタル過渡期。

世の中の時間の流れが、少しずつ速くなり始めたのはこの頃からだろうか。



キーワードは家族


関わる人が仕事の損得の関係なら、損をしても不都合な関係から距離を置くこともできる。

そうならない関係は、家族。

今作『赤い指』は、ミステリー小説の醍醐味謎解きの他に、登場人物の家族どの向き合い方を見ることができる作品ですよ。




加賀恭一郎シリーズの紹介ページ


加賀恭一郎シリーズ)
1作目  『卒業』
www.yu-hanami.com
2作目  『眠りの森』
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3作目  どちらかが彼女を殺した
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4作目  『悪意』
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5作目  私が彼を殺した
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6作目  『嘘をもうひとつだけ』
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7作目  『赤い指』
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新参者シリーズ)
8作目  『新参者』
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9作目  麒麟の翼』
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10作目 祈りの幕が下りる時
11作目 『希望の糸』

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