アルスラーン戦記10 妖雲群行
著者 田中芳樹
出版社 株式会社光文社(初版 角川書店)
分類 ファンタジー小説、ヒロイック・ファンタジー
出版日 2016/5/20(初版 1999/11/30)
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
異世界を創り出す小説家 田中芳樹、人気作品とともに紹介 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ
日本の名作ファンタジー小説「アルスラーン戦記」シリーズは、第二部の3作目『アルスラーン戦記10 妖雲群行』を紹介させていただきます。
アルスラーン戦記10 妖雲群行の登場人物
物語の第二部に当たる『アルスラーン戦記10 妖雲群行』からは、前作から活躍するファランギース、アルフリード、ジムサ。
ジムサとつながりのあるブルハーンの4人の登場人物を紹介します。
ファランギース
長い黒髪をなびかせ、神秘的な緑色の瞳ですれ違う人を立ち止まらせるほどの美貌を持つ女性神官。
パルス軍のギーヴ、シンドゥラのラジェンドラ二世国王をはじめ多くの異性が想いを受け流し、パルス屈指といわれる弓と舞うような華麗な剣技を振るう。
神官の立場上、国内や海外情勢を一歩引いた目線で見つめ、アルスラーン王の目指す国のために巡検使として国内の不穏な動きを探るため各地を奔走する。
アルフリード
パルスの騎馬民族ゾット族の次期族長。
立場に似合わない勝ち気で親しみやすい性格と、少女らしさが抜けない陽気な清々しさを持った女性。
4年前にアルスラーン一行の軍師ナルサスに窮地を救われたことがきっかけで、ナルサスを慕いパルス王都エクバターナで暮らす。
パルス東部を覆う暗雲
北部にダルバンド内海、南部に外界があり東西に大陸公路が走るパルスでは、防衛は古くから東西を重視していた。
西のディジレ川はミスル国に接する砂漠地帯、東のカーヴェリ川はチュルク国へ続く山岳地帯とシンドゥラ国との国境になっていた。
パルス東部は、トゥラーン、チュルク、シンドゥラと国境を接する不安定な地域でもあり、北東部にはかつて暗黒の時代を築いた蛇王ザッハークが封印されたデマヴァント山がそびえていた。
パルス東部の山岳地帯に築かれたペシャワール城塞は、国境防衛の役割の他にも大陸公路の治安維持も担う重要拠点のひとつとされていた。
パルス歴325年、暑い季節盛夏四旬節
パルス歴325年6月、東の要所ペシャワール要塞に春の冷気が残りながら、王都エクバターナには夏至の近づく最も暑い季節盛夏四旬節が訪れようとしていた。
公衆浴場に人が集まり、ビールの醸造所では納品のたびに発注を受け付けるほど活気づいていた。
パルス各地、中でもデマヴァント山が近い東部地域では、かつて蛇王ザッハークの元で人を襲い沸き立つ欲望を満たしていた有翼猿鬼や鳥面人妖が目撃されるようになる。
トゥラーンを越え、チュルクとシンドゥラの遠征の目的が果たされたアルスラーンの元にも暗雲のように湧く不穏な知らせが届けられていた。
変化の訪れ方
大きな野望を抱く英雄には、栄光と没落という大きな変化が訪れる。
小さな幸せを望む者には、暮らしや仕事の変化が訪れる。
望みの大きさ、世の中に与える影響の大きさだけ変化も大きく見えてしまうが、実は感じている人にとっては、変化というものは大きなものと受け取るのかもしれない。
パルス国内で起こる緩やかな変化も、国外の英雄に訪れる急激な変化も、同じものなのかもしれない。