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ハリー・ポッターと死の秘宝で分霊箱を破壊できたのは奇跡?

ニワトコの杖の所有権と「ダンブルドアの分霊箱破壊計画」


映画『ハリー・ポッターと死の秘宝』が地上波で再放送されてから、改めて原作を読み返すとあることに気が付きました。
それは、ハリーたちが分霊箱を破壊しヴォルデモート卿を滅ぼすことができたのは「偶然が重なった影響」がかなり大きいのでは?というものとです。


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ダンブルドアの分霊箱破壊計画の真相

ダンブルドアの分霊箱破壊計画


ダンブルドアの分霊箱破壊計画」
(1)ニワトコの杖の所有権はダンブルドア
(2)分霊箱の3つをハリーが破壊
(3)ハリー自身をヴォルデモートが破壊
(4)ナギニとヴォルデモート自身をホグワーツの戦いで破壊

史上最も偉大な魔法使いアルバス・ダンブルドアは、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で信頼するセブルス・スネイプによって殺害されました。
後のストーリーで、ダンブルドアとスネイプの間で入念に練られた計画だったことが明かされます。
ダンブルドアが命をかけて立てた計画を、「ダンブルドアの分霊箱破壊計画」と呼ばせていただきます。

目的は分霊箱の破壊、条件はニワトコの杖

ハリー・ポッターと謎のプリンス』で、分霊箱の呪によって余命がわずかとなったダンブルドアは分霊箱の破壊を信頼できる者に託す必要に迫られます。
分霊箱の行方と破壊方法は、推理力と未来を予測する力に長けるダンブルドアの予想では「困難でも達成できる」と判断したのでしょう。
ただ、問題になるのは死の秘宝の1つニワトコの杖の所有権の問題です。


(1)ニワトコの杖の所有権はダンブルドア

ダンブルドアの分霊箱破壊計画」では、ダンブルドアはスネイプの死の呪文アバダケダブラを受け、ニワトコの杖の所有権を持ったまま亡くなる計画でした。


(2)分霊箱3つをハリーが破壊

分霊箱は「トム・リドルの日記」「マールヴォロ・ゴーントの指輪」「サラザール・スリザリンのロケット」「ヘルガ・ハッフルパフの金のカップ」「ロウェナ・レイブンクローの髪飾り」「ナギニ」「ヴォルデモート自身」、そして予期せぬ分霊箱「ハリー・ポッター」8つです。
この中で「トム・リドルの日記」「マールヴォロ・ゴーントの指輪」は既に破壊されているため、「サラザール・スリザリンのロケット」「ヘルガ・ハッフルパフの金のカップ」「ロウェナ・レイブンクローの髪飾り」の3つをハリー、ロン、ハーマイオニーが破壊する計画です。


(3)ハリー自身をヴォルデモートが破壊

ハリー・ポッターと死の秘宝』の回想で、ハリー自身が8つ目の分霊箱になっていることをダンブルドアは見抜き、「死ぬべき時に死ねるよう生かしたのか?」とスネイプの抗議に真っ向から「左様じゃ」と告げています。
残酷ですが、8つ目の分霊箱になったハリー自身ごとヴォルデモートによって破壊させるのは「ダンブルドアの分霊箱破壊計画」に欠かせないことだったようです。


(4)ナギニとヴォルデモート自身をホグワーツの戦いで破壊

ダンブルドアの分霊箱破壊計画」通りに進むと、ホグワーツの戦いの最終局面で分霊箱はナギニとヴォルデモート自身の2つになります。
ヴォルデモートは、ハリーを殺害したと確信した時点でナギニの保護魔法を解除するミスを犯しています。
そして、最終局面では組分け帽子がグリフィンドール生のネビルが持っています。
ここで、組分け帽子からグリフィンドールの剣を取り出したネビルがナギニを破壊し、ヴォルデモートはスネイプが暗殺する。
ハリーの命は失われる可能性がありますが、ヴォルデモートは滅びることになります。




ニワトコの杖の所有権の流れ


ニワトコの杖は、「所有者に勝利したり、武装解除呪文で奪い取る」ことで所有権が移ることが明かされ、持っているだけでは杖から所有者お認められないとされています。

52年間ダンブルドアが所有

ニワトコの杖の存在が明かされるのは、シリーズ最終章ですが、実はアルバス・ダンブルドアが52年間も所有者でした。


ハリー・ポッターと謎のプリンス』でドラコ・マルフォイに所有権が移る

ハリー・ポッターと謎のプリンス』の終盤、ハリーとともに分霊箱の隠された洞窟を訪れたダンブルドアは、ヴォルデモートの残した毒薬の罠で重傷を負いホグワーツ天文台に戻りました。
息を切らしたダンブルドアは、ハリーに「セブルスを呼ぶのだ」と告げ天文台で待つことにします。
ところが、先に天文台を訪れたドラコ・マルフォイによって武装解除の呪文エクスペリアームズを受け杖を弾き飛ばされてしまいます。
この時点で、ニワトコの杖の所有権はマルフォイに移ります。


ハリー・ポッターと死の秘宝』上巻でハリー・ポッターに所有権が移る

ハリー・ポッターと死の秘宝』上巻、映画版Part.1でマルフォイ家に連行されたハリーは館を脱出する際の決闘でマルフォイから強引に杖を奪います。
このときに奪ったのは、「ユニコーンのたてがみとサンザシ」のマルフォイ自身の杖ですが、マルフォイが知らずに所有権を持っていたニワトコの杖の所有者に選ばれます。


ニワトコの杖がハリーのものになったのは偶然?

ハリーがニワトコの杖を所有する条件


ニワトコの杖の所有権は、当事者同士が知らない間にダンブルドア→ドラコ・マルフォイ→ハリー・ポッターへと移っていますが、物語のストーリー上、偶然の出来事が重なっているのでは?と考えてしまいます。

「ハリーがニワトコの杖の所有者になるには」
①ハリーとドラコが対決
②ハリーがドラコから杖を奪う

この2つの出来事が重なるには、ハリーとドラコが直接対決する必要があります。
ハリー・ポッターと死の秘宝』の中で、2人が対面した場面はわずか2回……。


マルフォイ家での出来事

1度目は、保護呪文で守りを固める前にヴォルデモート卿の名前を言ってしまったことで人さらいに捕まり、マルフォイ家に連行される場面です。
屋敷しもべ妖精ドビーの活躍でマルフォイ家を脱出する時、ドラコから杖を奪い取ったことでニワトコの杖の所有者に選ばれます。


必要の部屋での遭遇

もしマルフォイ家の出来事が起こらなかったとしたら、次にハリーとドラコが直接対決するのはホグワーツの戦いで「ロウェナ・レイブンクローの髪飾り」を巡り必要の部屋で起こった戦いです。
ここでドラコを武装解除するか、力づくで杖を奪い取らなければ、ニワトコの杖の所有者はドラコのままです。


ヴォルデモート卿がニワトコの杖の所有権を持つ可能性はもっと低い


ニワトコの杖がハリーのものになる可能性もかなりギリギリですが、ヴォルデモートがニワトコの杖の所有権を持つ可能性もかなり低いでしょう。

ヴォルデモート卿は杖の所有者をスネイプ先生と勘違い

ヴォルデモートは、歴史や物事を詳しく調べずに行動する特徴があります。
ハリーが誕生し自分が敗れることになる予言、第1作の賢者の石の出来事も準備を怠らなければ企みを成功させることもできたでしょう。
ニワトコの杖についても、ダンブルドアを殺害したスネイプを所有者と勘違いして殺してしまいます。


ドラコ・マルフォイから杖を奪う可能性は?

もし、ヴォルデモートが部下の死喰い人からダンブルドア暗殺の報告を詳しく聞き、ドラコがダンブルドア武装解除したことを分析していたら……。
こちらも、「前の持ち主を殺した者がニワトコの杖の所有者になる」と思い込んでいるヴォルデモートは、ドラコよりもスネイプから杖を奪おうと考えるでしょう。





もし、ニワトコの杖の所有権がハリー以外だったら


ニワトコの杖の所有権がハリーに移る可能性は、偶然が重なった結果でもあります。
もし、ニワトコの杖の所有権がハリー以外だったら、物語の結末はどうなっていたのでしょうか?

ニワトコの杖の所有者がダンブルドア先生のまま→「ダンブルドアの分霊箱破壊計画」

ダンブルドア先生の計画通り、ニワトコの杖の所有権を持ったまま亡くなった場合、「ダンブルドアの分霊箱破壊計画」が成功する可能性が高くなります。
おそらく、禁じられた森でヴォルデモートがハリーに死の呪文アバダケダブラを使っても、ダンブルドアに忠誠を誓うニワトコの杖は分霊箱を破壊するでしょう。
ダンブルドア自身が「彼(ハリー)は死ななければならない」と語っていることから、ハリーも巻き添えで命を失う可能性もあるでしょう。
もちろん、原作ではハリーの身体には母リリーの残した「護りの魔法」があるため、ヴォルデモート自身が生きている限り、死の呪文の効果は受け付けないという設定もあります。
「護りの魔法」については、また別の機会でまとめてみますね。


ニワトコの杖の所有者がドラコ・マルフォイのまま→「ダンブルドアの分霊箱破壊計画」

もし、ハリーとドラコが直接対決せずドラコがニワトコの杖の所有者のままでも、「ダンブルドアの分霊箱破壊計画」の通りになるでしょう。
こちらの場合、ドラコは人の命を奪うことにためらうようになっているため、ハリーは助かり分霊箱だけが破壊される可能性もあるのではないでしょうか?


ニワトコの杖の所有者がヴォルデモート卿になる→ヴォルデモート卿の勝利

ハリーよりも可能性が低いヴォルデモートが、冷静な判断力でニワトコの杖の所有者になったとしたら、魔法界には暗黒の時代が訪れることになるでしょう。


だから「奇跡」と言った

死の秘宝の偶然


ヴォルデモートから死の呪文アバダケダブラを受けたハリーの意識の中で、ダンブルドア先生は「奇跡が起きたのじゃ」とハリーに語りかけます。
この奇跡の中には、偶然が重なり、ニワトコの杖の所有権がハリーに移ったことも含まれているように聞こえてなりません。





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考察ページは、【ネタバレ】にご注意くださいね。

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