『ペンギンは空を見上げる』八重野統摩
著者 八重野統摩
出版社 株式会社東京創元社
分類 青春小説
出版日 2022/9/20(単行本2018/5/21)
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
今回紹介させていただく小説は、八重野統摩さんの『ペンギンは空を見上げる』です。
宇宙を夢見る小学生を描いた物語は、中学受験で出題されたこともある作品です。
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物語の始まりは新学期の始まる4月
雪解けで緑が見え始めても、桜の便りはまだ先の4月の北海道。
かつて月に降り立った宇宙飛行士アームストロングは、「1人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな1歩」と言い残した。
大人にとっては小さな日常でも、小学生にとっては大きな変化の春が始まろうとしていた。
『ペンギンは空を見上げる』の登場人物
『ペンギンは空を見上げる』は、朝見南小学校に通う主人公の佐倉ハル、転校生の鳴沢イリスを中心にストーリーが広がります。
ハル同級生の三好、祖父の哲じいも人間味が素敵な登場人物ですよ。
佐倉ハル
小学5年生で風船ロケットの打ち上げに挑戦し、将来はNASAやJAXAのエンジニアを目指す小学6年生。
努力しても叶わないことがあると知りながら努力を欠かさない直向きさと、それが裏目に出る意地っ張りで頑固な様子が同級生を遠ざけていた。
神様なんて、この広い宇宙のどこにもいないと達観しながら夢へ向けた準備を怠らない小学生らしくない日々を過ごす。
鳴沢イリス
腰まで届く流れる金髪をなびかせる澄んだブルーの瞳の少女。
日本人の父親とアメリカ人の母親とともに、
親の仕事の都合で世界各地を転校する小学校生活をおくる。
朝見南小学校の登校初日、少々不慣れに聞こえる日本語で、クラスメイトとの交流を拒絶する自己紹介でクラスを驚かせる。
三好
地域でも名の知れた和菓子屋みよしの跡取り息子でハルの同級生。
白い整った歯を見せる親しみのある人懐っこいさを見せ、商店街の子どもらしくクラスでも地域でも社交的な少年。
持ち前のあざとさと商店街で培ったコミュニケーション力で、頑ななハルの内面に入り込もうとする。
哲じい
佐倉ハルの祖父でさくらクリーニングの創業者。
「死ぬまで現役」を公言し、ボイラー室で日の出から夜までアイロンがけをする職人。
ハルの自分に妥協しない直向きさは、彼からの遺伝なのかもしれない。
『ペンギンは空を見上げる』の世界観
物語の舞台は、北海道の大都市札幌市近郊をモデルにした朝見市。
西に札幌市、東に江別市と隣合う郊外の街には、あすなろ商店街があり主人公 佐倉ハルと友人 三好は商店街の後継ぎとして地域とともに過ごしていた。
朝見市の商業の中心と呼ばれるあすなろ商店街は、2010年代から見て時代を感じる錆びついたアーケードの看板と行き交う人々の高齢化が物語るように、郊外の高齢化が進んでいた。
宇宙という、『果てしない世界』を夢見る少年の周りには学校の人間関係や地域の風習、大人の事情が行き交う『限られた世界』で覆われていた。
物語のキーワードは「壁」
世の中には壁がある。
年代の壁、人種の壁、経済の壁。
自分自身にも、パーソナルスペースと呼ばれる心理的な空間があり、その距離は人によって違う。
登場人物同士が相手の持つ壁と自分の壁を行き来する様子も、『ペンギンは空を見上げる』を読む醍醐味かと思います。
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