本当に本が読みたくなる読書のブログ

読書好きのための本当に読みたい本が見つかる書評ブログです。小説、実用書、ビジネス書ジャンルを問わず紹介。読書にまつわる豆知識のお話、文章の書き方のお話もありますよ。

起業をしようと思う人が今読むためのビジネス書

『起業を考えたら必ず読む本』

起業を考えたら必ず読む本

著者 井上達也
出版社 株式会社 明日香出版社
分類 ビジネス書
出版日 2016/9/22(2023/7/20にポケット版)
読みやすさ ☆☆★読みやすい

今回は、いつか独立して起業をしようと思っている方。
もう、ご自身の事業を始められている方におすすめのビジネス書を紹介させていただきますね。

井上達也さんの紹介


「創業者が書いた起業の本はほとんどありません」と語る著者が、創業者の書いた本を届ける1冊。

老舗ITメーカーを創業した井上達也さん

著者の井上達也さんは、新卒から29歳まで株式会社日本デジタル研究所(JDL) に勤務後に独立。
経理ソフトの事業を立ち上げ、業務系クラウドシステムでは国内最大級のメーカーに成長させた敏腕起業家です。
現在、創業33年の株式会社フリーウェイジャパンの経営をされながら、起業を夢見るビジネスパーソンに心強いビジネス書を執筆されています。


井上達也さんのビジネス書の紹介

『決定版 小さな会社の社長の戦い方』
決定版 小さな会社の社長の戦い方

『会社を伸ばす社長の心得と法則』
会社を伸ばす社長の心得と法則 (ASUKA BUSINESS)

『ポケット版 起業を考えたら必ず読む本』
ポケット版 起業を考えたら必ず読む本 (ASUKA BUSINESS 2279-3)


『起業を考えたら必ず読む本』本の構成と読みやすさ


『起業を考えたら必ず読む本』は、8章の時系列で構成されたスキマ時間に読み進めやすいビジネス書です。

本の構成

はじめに p3〜p6
第1章 起業を思い立った時にすること p18〜p58
第2章 会社を辞める前にしておくこと p60〜p75
第3章 会社の設立、本に書かれていないこと p78〜p92
第4章 会社を作ってはじめにやること p94〜p129
第5章 起業後の会社経営とは? p132〜p176
第6章 起業家の失敗例を知る p178〜p197
第7章 熟年起業について考える p200〜p218
第8章 起業して成功するためのヒント p220〜p239
おわりに p240〜p241

本の構成は、私のような会社員が「起業を思い立った時」、「会社を辞める前」、「会社の設立」と「会社経営の始め方」を時系列で分けて書かれています。


☆☆★読みやすい

『起業を考えたら必ず読む本』とタイトルに書かれているように、今は会社員として勤務していて「起業を思い立った時」から読み始めることがおすすめされる本です。
仕事の休憩時間、通勤時間に少しずつ読み進めることに向いてた☆☆★読みやすいビジネス書です。




起業は夢なのだろうか?


会社員の中でも、世界企業や日本有数の全国企業で活躍されているひと握りの方を除く、私のように地方都市の中小企業で働く多くの方にとって、起業とは夢なのでしょうか?
景気が良くなり賃金が上昇しているのはひと握りで、多くの方が僅かな昇給が物価高に追い抜かれて厳しい暮らし。
節税や資産運用をしたくても、都合の悪い税制や社会保障費の増額で資産は減るばかり。
さらに、景気が良くなっても企業がコストカットの方針を取ると従業員の収入は突然減ることもあります。
ちょっと、夢のない愚痴になってしまいましたね。
それでも、今の暮らしに耐え「いつかは起業を」と思い描く方も少なくないはずです。
井上達也さんの『起業を考えたら必ず読む本』で、起業の方法を一緒に学んでみませんか?




老舗ITメーカーを創業した著者が教えてくれる、会社を辞める前の準備


私のように会社員をしている方が起業する場合、「会社を辞める前の準備」がその後を大きく左右すると書かれていました。
大切なポイントは、「会社員の私」と「起業した私」では、「信用」が大きく違うようです。
そこで、今からでも忘れず準備できることを3つ紹介させていただきます。

クレジットカードを作る

サラリーマンというのは、今の会社を辞めても次の会社に転職すれば、収入があります。
それに対し、社長はとんでもないほどの借金を抱えることになるかもしれません。売掛金が回収できないこともあります。金融機関は、そのことをよく知っています。だから信用がなきんです。
第2章 会社を辞める前にしておくこと p62

クレジットカード、私はポイ活目的でいろいろ紐づけして使っていますが、起業する前はもちろん、会社を辞める前に作っておく必要があるようです。
長年会社員をしていると実感が沸かないのですが、金融機関が会社員を信用するのは企業という組織で働いているからなんですね。


地銀と信金に口座を作る

たとえ会社が軌道に乗り、そこそこの会社になったとしても、メガバンクにとってあなたの会社は、まだまだ小さな存在です。そこをわきまえておきましょう。
一方、地銀や信用金庫から見ると、起業した後でも、あなたは大切なお客様かもしれません。
起業時には見た目のかっこよさよりも、将来お金を貸してくれるところ、大切にしてくれるところを優先させましょう。
第2章 会社を辞める前にしておくこと p70

会社員の方だけではなく、銀行口座は日本国内で暮らす方は幼い頃から持っているはず。
起業には、メガバンクではなく地方の○○銀行や○○信用金庫といった都市銀行の口座が欠かせないと書かれていましたよ。
特に細かなポイントでは、会社員のうちから定期預金や積み立てを行っておくのも審査基準に含まれていると書かれていました。


経理を身に着けておく

起業時に一番重要なのは、請求書のシステムです。次に経理や給与計算などのソフトになるでしょう。この3つは起業直後から必要になります。
第2章 会社を辞める前にしておくこと p72

3つ目の準備は、事業の経理です。
売上金の精算を行う請求書、税金の支払いや利益など幅広い処理が必要な経理、従業員を雇ったり家族経営をする場合の給与計算は起業直後から実践できなければならないですよね。
著者の井上達也さん自身が、経理ソフトの開発を担う会社を経営していることもあり、経理の処理の大切さを本心から語られています。


創業33年の著者が見た、起業の現実


起業には会社員の夢が詰まっていますが、同時に残酷な現実もあります。
ネットニュースのビジネス配信で見かける「起業した会社の9割が倒産する」というのは、どうやら本当のようです。
なぜ、会社が軌道に乗るのは狭き門なのでしょうか?
ご自身が創業者でもある井上達也さんの実体験、そして残念ながら倒産してしまった会社の例とともに本当の理由が書かれています。

起業の初期費用

当初の経営資金=1か月の生活費×経営が軌道に乗る○か月後
創業してから10年後に残っている会社は1割と言われています。起業家の倒産理由は身体的なことを除けば、利益が自分の生活費を越えられないためです。
第3章 会社の設立、本に書かれていないこと p79〜p80

起業した会社が潰れてしまうのは、「利益が自分の生活費を越えられないため」というシンプルな理由です。
井上達也さんの実体験を例にされていたことで、起業が成功した例でも起業してから数カ月は収入が0、さらに1年は設備投資の回収分の赤字が続き、その後利益が生まれるようになると書かれています。
その間の生活費を事業資金とは別に用意しておく必要があります。


自分で全部できる仕事

社長業とは、誰も助けてくれない孤独な仕事です。起業家はトラブルの時に自分自身でなんとかできるビジネスしかやってはいけません。もし、スキルを活かすために外注したいのなら、次のステップを踏んでください。
・知識を蓄え、自分でなんとかできるまでレベルアップする
・その上で効率を上げ、売上を加速させるために業者へ外注する
第1章 起業を思い立った時にすること p51〜p52

もう1つ大切なことは、起業された方自身が「自分自身でできるビジネスをする」ということ書かれています。
例えば、Webサイトの運営では①サーバーの契約②Webサイトの構成③コンテンツの作成④広告リンクの契約⑤SNSでの配信⑥収益の計算⑦経費と税金の支払い、いくつもの業務があります。
この中で、クラウドソーシングサービスを利用すれば、ほぼ全ての業務を外注することもできます。
ただ、外注先の撤退、トラブル発生時の追加料金など「自分自身でできないこと」には時間とお金がかかるのは明らかです。
井上達也さんの提案通り、「知識を蓄え、自分でなんとかできるまでレベルアップする」ことが最初の1歩なんですね。


軌道に乗るまでの時間

いくらいいものでも、みんなが知るまで、売れるまでには時間が相当かかるのです。
ではどの程度かかるかというと、1年半です。理由はわかりませんが、今まで行ってきたビジネスが立ち上がるまで何でも1年半でした。逆に2年経ってもダメなものはダメでした。
第8章 起業して成功するためのヒント p222〜p223

起業した会社が潰れてしまう理由で気になるのは、事業がどのくらいの期間で軌道に乗るかでしょう。
井上達也さんは、ズバリ「1年半」と書かれています。
今後、起業する際には1年半で軌道に乗るか、撤退するかが見極めのラインになりますよね。




改めて、起業の現実とは?


好景気の波が訪れようとしていると経済界の方は発表していますが、私のように地方の中小企業で働いている会社員にとっては、コスト増で勤務先が立ち行かなくなる危機感もあります。
会社員は、不安定な働き方ですよね。
そして、起業家の方もまた不安定な働き方という現実が井上達也さんの本を読んでわかりました。

今まで多くの起業の本を読んで、大きな夢を膨らませている皆さんには大変恐縮なのですが、ほとんどの本に『本当のこと』が書かれていません。
不思議なことに、創業者が書いた起業の本はほとんどありませんよね。どうしてだと思いますか?
それは……みんな倒産しちゃっているからなんです。会社を設立して10年後に残っている会社は1割、20年でその1割と言われています。そのくらい起業して会社を存続させることは難しいのです。
はじめに p3〜p6

これからの働き方をどう選ぶか、私自身と、このページを読まれている読者の方へ井上達也さんの言葉で締めくくらせていただきますね。
ちなみに、新しく購入した『ポケット版 起業を考えたら必ず読む本』も最新情報が書き加えられていて、とてもおすすめのビジネス書でしたよ。

ポケット版 起業を考えたら必ず読む本 (ASUKA BUSINESS 2279-3)

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