九十歳 何がめでたい 佐藤愛子
著者 佐藤愛子
出版社 小学館
分類 エッセイ
出版日 2016/8/1
親しみのある毒舌、読者の気分をスッキリさせてくれる佐藤愛子さんのベストセラーエッセイを紹介。
今回の『九十歳 何がめでたい』では、もちろん佐藤愛子さんの毒舌も含みますが、中にはほっこりさせてくれる出来事もありますよ。
せっかくのベストセラーのエッセイの紹介。
今回は、『バッサリ編』と『ほっこり編』の2回に分けて詳しい内容をお伝えしますね。
1回目の『バッサリ編』ではお馴染みの内容から3つのエピソードを紹介。
世の中の出来事をバッサリと切る話題を取り上げて、少し私が思ったことを書いてみます。
話題のベストセラーを手に取って
読書家を自称している花水(hanami)ですが、『九十歳何がめでたい』に出会うまで佐藤愛子さんの人柄に触れる機会は全くありませんでした。
手に取った理由は、話題のベストセラーだったからでもあります。
読者さんのコメントでも、佐藤愛子さんと同年代の方から私の同年代の方まで幅広い年代の方が「面白い」とコメントしていたことも後押ししてくれました。
「九十歳」の佐藤愛子さんとは?
作家 佐藤愛子さんの経歴と作品は1つのページで書ききれないほどです。
ベストセラー作家 佐藤愛子さん
95歳になられるベストセラー作家さんの佐藤愛子さん。
経歴を全て書くと、書ききれないほどです。
作家さんとしての経歴では、1950年に『青い果実』で小説家デビューを果たします。
『青い果実』 は掲載された雑誌の文学賞を受賞し、1963年には芥川賞候補作を2作も発表。
その後、1969年に経営されていた会社の倒産と一家の苦労を描いたノンフィクション『戦いすんで日が暮れて』で見事に直木賞を受賞。
小説家としては、2014年に出版された『晩鐘』で引退されたとあります。
お父さんは作家の佐藤洽六さん、お兄さんも作家で詩人のサトウ ハチローさんと文芸家の家系なんですね。
現在でも、雑誌の連載やエッセイの出版は続けられる現役の作家さんです。
佐藤愛子さん、世の中のハイテク機器、論評する風潮、テレビ業界をバッサリ切る
今回は佐藤愛子さんのエッセイから、世の中をバッサリ切るエピソードを選んでみました。
九十歳の佐藤愛子さんがハイテク機器を切る
もう「進歩」はこのへんでいい。更に文明を進歩させる必要はない。進歩が必要だとしたら、それは人間の精神力である。私はそう思う。p21 来るか?日本人総アホ時代
これのお話は、銀行の申請がスマホでできることを詳しく説明された出来事が元になっているそうです。
佐藤愛子さんはスマホと新幹線の速さ、水道局の電話対応を取り上げていました。
この出来事を読んだ花水(hanami)も、ハッ!と思ったものがあります。
ネット通販の増加で、運送会社が人手不足になっている問題は1年前から続いていますね。
私もネット通販を利用することはありますが、あくまで欲しいものがあった時です。
即日の配達に間に合わないから、再配達に遅れたからとすぐクレームになりますね。
そんなに必要なら、自分で買いに行った方がいいんじゃないか?と思います。
便利になる反面、便利さを保つために苦労する人もいる。
それは自分に返ってくるわけですよね、仕事の忙しさとかで…
それなら世の中もう少しゆっくりしていて良いんじゃないかなぁと思います。
世の中の論評する風潮をバッサリ切る
登場人物の粗忽や間ヌケや失敗、悪戯や嘘や頑固さを笑えばいい。遠慮なく笑うためにマンガはあるのだ。いったいいつからマンガは人間を論評する場になったのだろう? p103 一億論評時代
ネット上に人気アニメ『サザエさん』の人物評価をする記事を目にした佐藤愛子さん、マンガやアニメに対する思いを語っています。
花水(hanami)は、マンガもアニメも大好き。
最近のマンガやアニメはストーリーが良くできているなぁと思います。
伏線の拾い方、登場人物同士のやり取りも現実に近い感じがして、少し出来すぎてもいますよね。
昔のアニメは死んだはずの登場人物が生き返るのも当たり前で、プロの人がプロではありえない失敗をして笑いを取るシーンも多くありましたね。
矛盾だらけでしたが、子どもなりに楽しめていました。
今はマンガは大人が読む時代なのでしょうか?
伏線を拾って、登場人物同士が現実的なやり取りをしないと受け入れれないのでしょう。
ストーリーを重視する作品が増えたためなんでしょうか?
名作『こち亀』のような、コメディマンガにはもう少し残っていて欲しいように思います。
面白くなくなったテレビをあっさり切る
「改めて橋下さんが東京では数字を持っていないことが証明された………」と。何を言っている。番組の失敗は構成者が視聴者をナメていたせいではないか。何が賞味期限切れだ。そんなことを考えるよりも、自分たちのいい加減な構成力を反省した方がいい。 p200 テレビの魔力
テレビ朝日に、橋下徹さんが出演する『日本の未来を真剣に考えてトークする』。
この番組を佐藤愛子さんは楽しみにしていたそうです。
橋下徹さんは『行列のできる法律相談所』の時も政治家の時もハッキリした物言いだったので、きっと佐藤愛子さんも興味のある人物だったんでしょう。
テレビ番組は当たり障りのない世間話の延長のような内容だったようです。
確かに最近はタイトルの内容からは、少し遠いテレビ番組が多い気もしますね。
私もテレビはBGM程度で本当に面白い番組やドラマしか真剣に見てはいませんが…。
このエピソードには、放送局側のスタッフにも少し同情します。
きっと橋下さんに過激な発言をさせてしまうと、クレーム対応に追われることを懸念していたのでしょうか?
逆にテレビで昔のように、裸の芸人が出てきて笑うところは笑って、評論家が熱いトークでぶつかるところは真剣にとメリハリのある番組を受け入れれる世の中に戻って欲しいと思いました。
1人の日本国民、1人のお客さん、1人の視聴者目線の親しみのある憎まれ口
花水も大好きな『九十歳 何がめでたい』は、九十三歳になられた佐藤愛子さんの豊かな人生経験を学べるビジネス書なのでは?とも思えます。
商売に使うビジネス書ではなく、働くことと生きていくことのヒントになるビジネス書のように感じます。
佐藤愛子さんにそんな偉そうなことを書くと、「何言ってるんだい」と怒られてしまいそうですね。
次回『ほっこり編』は少しほっこりする出来事を取り上げますね。
九十歳何がめでたい「ほっこり編」はこちら↓
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