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信頼を問われる王子『アルスラーン戦記3 落日悲歌』

アルスラーン戦記3 落日悲歌

落日悲歌・汗血公路 ―アルスラーン戦記(3)(4) (カッパ・ノベルス)


著者 田中芳樹
出版社 株式会社光文社(初版 角川書店
分類 ファンタジー小説ヒロイック・ファンタジー
出版日 2012/12/20(初版 1987/9/25)
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
異世界を創り出す小説家 田中芳樹、人気作品とともに紹介 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ

初版から40年に迫る令和の今でも、読みつがれているファンタジー小説の名作「アルスラーン戦記シリーズ」。
改めて読み返してみると、気が付かなかった登場人物同士の関係や出来事の経緯が見えてくることもあります。
今回はシリーズ3作目、『アルスラーン戦記3 落日悲歌』の紹介です。

アルスラーン戦記3 落日悲歌の登場人物


アルスラーン戦記3 落日悲歌』からは、主人公アルスラーン一行の他、物語のキーマンにもなる登場人物が多く活躍します。
今回は、主人公のアルスラーンの他、女性神ファランギース、老将軍バフマン、双刀将軍キシュワードシンドゥラ王子のラジェンドラ、そして銀仮面の男ヒルメスの6人を紹介しますね。

アルスラーン

物語の主人公で、15歳の誕生日をむかえるパルス王太子
自身に仕える騎士ダリューンに武術を学び、宮廷画家の地位を約束した軍師ナルサスに政治と軍事を学びながら、胸に抱く「奴隷制度の撤廃」と父と母の救出とパルスの解放のため、困難な道に赴くことに……。


ファランギース

長年の修行で精霊の声が聞こえる女性神官。
ミスラ神に導かれ、アルスラーン一行で武術の腕を振るう。
長い黒髪をなびかせ、緑色の瞳が見つめた先の無法者には外れたことを見たことがない矢が放たれる。
同行者の流浪の楽士ギーヴをはじめ、言い寄る男たちを敵の刃をかわすようにやり過ごす日常をおくっていた。


バフマン

キシュワードとともに、パルス東方の要ペシャワールの城塞を守る万騎長。
ダリューンの伯父で大将軍ヴァフリーズとともに、剛直な道を歩んできた歴戦の老将軍として若い騎士の信頼を集めていた。
友人でもあるヴァフリーズから、パルス王族にまつわる、とある秘密を託されたことで積み上げた信念に迷いが生まれることに……。


キシュワード

老将軍バフマンとともにペシャワールの城塞を守る万騎長。
両手で二本の刀を使う変幻の剣技、両足で馬を操る姿から双刀将軍の異名を持つ。
敵に恐れられる反面、細やかな気づかいと配慮を欠かさない紳士的な人物で慕われている。


ラジェンドラ

パルスの南東シンドゥラ王子。
アルスラーンより10歳年上の24歳で、兄と国王の座をかけて対立していた。
シンドゥラ人らしい濃い小麦色の肌と愛嬌のある彫りの深い顔立ちで、笑うと白い歯が並んで見える大きな口は、一度開くと、しゃべる・飲む・食べる・歌う、一度でも面識のある相手にお世辞を並べると大忙し。
紳士的な人物の多いパルス人からは、軽蔑の意味を込めた言葉が並べられることも。


銀仮面の男ヒルメス

パルスへ侵攻したルシタニア軍で暗躍する謎の男。
一部のパルス人には、その正体が非業の死を遂げた前国王の息子ではないかと信じられている。
アルスラーンへの執着を銀仮面の下に置き、彼なりの正義のもと忠誠を誓うザンデらを従えパルスの覇権を狙う。




舞台は西アジアから南アジアへ

パルスを東西に走る大陸公路、東へ進むと岩山がそびえる乾燥した山岳地帯が広がる。
トゥラーン・チュルク・シンドゥラの3つの国と国境を接する要所には、赤い岩山の自然を活かした高く厚い城壁、深い堀がめぐらされ、余計な装飾は何ひとつないペシャワールの城塞が築かれていた。
ペシャワールの城塞を拠点に定めたアルスラーン一行は、とある理由から南東のシンドゥラへの旅へ向かう。
夏は長く耐え難い酷暑で砂塵が吹き荒れる一方、涼しい冬は夏の日照りでかれる寸前の花と緑を蘇らせる南国の地。
異国人には耐えられない辛さの、香辛料の効いた料理の香りが乾いた風とともに舞う、どこか南アジアの国を想像できる新しい舞台へ……。




パルス歴321年、物語の中でも時は進む


パルスを離れて始めての異国の地。
季節の変化とともに、人の暮らし、侵略者と立ち上がる者、暗躍する者の立ち位置も変わろうとしていた。
アトロパテネ会戦から1年、パルス歴は320年から321年へ進み、彼らの過ごす日々の中でも、確かな時が進んでいた。




信頼とは?


信頼とは、手を携える喜びを分かち合うこと、それだけなのだろうか?
友と友、戦友と戦友、君主と臣下、指導者同士、国と国……。
立場の異なる人同士の信頼とは?
15歳になったばかりのアルスラーンの心に、仲間との信頼が試される……。

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