イスラム文化に触れる1冊を紹介~アフガニスタン敗れざる魂
著者 長倉洋海
出版社 新潮社
分類 ノンフィクション
出版日 2002/4/25
読みやすさ ☆☆★読みやすい
前回に引き続き長倉洋海さんの『アフガニスタン敗れざる魂』の2回目の紹介です。
今までとは逆に先に内容の紹介、そして後に著者と構成の紹介をしてみましたよ。
著者の長倉洋海さん
本の構成
構成
序章
第1章 情報の洪水
第2章 二つのテロ
第3章 信仰の大地
第4章 パキスタンとパシュトゥン人
第5章 ムジャヒディンの思い
第6章 割れたモザイク国家
第7章 タリバーンの正義
第8章 届かなかった声
第9章 メディアと私の報道
第10章 故郷の風景
終章
あとがき
本の構成は序章の長倉洋海さんがアフガニスタンを訪れることとなったキッカケ、マスードさんとの出会いからアフガニスタンを襲った戦火と物語のように時間の流れに沿って進みます。
文章に独特の表現方法があり、語り口調で書かれた文章は長倉洋海さんが実際に話しているように長い文章は句読点で短く区切られています。
まるで、ゆっくりと語りかけるようでした。
随所にある写真が本の世界がリアルに感じる
写真家の長倉洋海さんの作品では、おおよそ1章の中の1段落で1つの場面を取り上げています。
写真集ではなく本ですので1章に数枚ですが写真が載っていて、これが文章と結びついてリアルな生活場面を伝えてくれます。
私自身は物語は文章から想像する楽しみがありますが、ドキュメンタリーでは写真があることで本の中の世界が実在するとリアルに感じることができますよ。
異文化を理解する大切さ
イスラム教が過激な思想なわけではなかった
この本を読んでいたためか、最近のイスラム過激派のテロのこともどんな人物たちがテロを起こしているのかを理解しやすくなりました。
例えば、もう昔の話になりましたがオウム真理教の事件を覚えていますか?
彼らも一応は仏教の一派を名乗っていますし、インドの神様を拝んでもいました。
オウム真理教が海外でテロを起こしていたとしたら、「日本の過激な宗教組織によるテロ」と報道されてしまいますよね。
日本を知らない方から見ると、どう思われるのでしょう?
「日本で信仰されている宗教によるテロ」
こう思われても仕方がありませんが、実際は違いますよね。
日本人だからこそ理解できるのでは?
異文化を理解する上で宗教と文化を知ることは欠かせないと思います。
私たちの日本には新興宗教も含めて、なかなか理解しがたい考え方の人もいますが宗教がらみの殺人事件が毎日起きているかと言えば、そうではないですよね。
私たちは自分が実際に入って信仰する場合以外では、他の人の宗教には寛容なのではないのでしょうか?
私も身近ではない宗教の方がいても、「こうした考え方の人もいるんだ」程度にしか思っていません。
もちろん宗教に入ることを強要したり嫌がらせをする方には嫌悪感がありますが………。
ところが、1歩日本を出ると宗教の違いだけで殺人も差別も当たり前に起こっていますよね。
その点では、イスラム教や身近ではない宗教の考え方や地域独特の文化を理解しやすいのかなぁとも思います。
異文化を知る大切さ
自分の暮らしとは異なる宗教や文化が受け入れられるかは別として、知って理解しておくことは、この先の自分の考え方の参考にもなることではないかなぁと思いますよ。
そして、今まで接したことのない海外の方と今後関わるときの準備にもなりますしね。
昔と違いインターネット上で多くの方と関わる機会の増えた今だからこそ、海外の文化や宗教を知っておくことは大切なことだと思います。
本の内容というより異なる宗教や文化のお話になってしまいました。
ですが、長倉洋海さんの伝えたいことは
「自分たちの生活が当たり前で、他の文化は次元の違う世界」ではない!
ということなのではないでしょうか、私自身もそう感じていたので大切なことと思いお伝えすることにしました。