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世界情勢の「問題」もさかのぼりで「原因」がわかる本

日本と世界の今がわかる さかのぼり現代史

著者 祝田秀全、長谷川敦
出版社 朝日新聞出版
分類 一般教養
出版日 2018/12/30
読みやすさ ☆☆★読みやすい


今日は、一般教養のジャンルから、世界情勢を独特の構成でまとめられている1冊を紹介させていただきます。

さかのぼりの歴史書 著者2人の紹介


『日本と世界の今がわかる さかのぼり現代史』は歴史学者の祝田秀全さんが監修され、フリーライターの長谷川敦が執筆されています。


歴史学者 祝田秀全

祝田秀全(いわたしゅうぜん)さんは、世界史が専門の歴史学者さんで、現在は代々木ゼミナールで社会科の講師をされています。

『2時間でおさらいできる世界史』など、わかりやすい世界史の本を数多く執筆されています。


社会情勢のフリーライター 長谷川敦

長谷川敦さんは、ビジネス・教育・社会問題をテーマに執筆されているフリーライターの方です。

最近では、Webページで多くの記事を執筆されているようですね。



横(世界)と縦(時間)の歴史で描かれる構成


『日本と世界の今がわかる さかのぼり現代史』は、新しい出来事が最初に書かれていて、時代をさかのぼるという独特の構成の本です。


日本と世界をつなぐ本の構成

・はじめに p2〜p3
・本書の見方 p7
・MAPに見る現在の課題・論点 p8〜p11
・第1章 日本の今 p14〜p81
・第2章 世界と国際情勢 p84〜p193
・第3章 年代別さかのぼり近現代史 p196〜p217
・まとめにかえて p218〜p219
・現代史用語・人名さくいん p222〜p223

『日本と世界の今がわかる さかのぼり現代史』は、日本と世界、近現代史の3つに分けた3章構成です。


「さかのぼり」の読みやすさ

それぞれの章では、6〜8ページで1つのテーマを扱っていて、年表とコラムが添えられています。

本の読み方は、1回目は最初から最後まで読んで、詳しく知りたい内容は、章をまたいで関係する地域、同じ時代を比べるように読むと、テーマがわかりやすいように書かれています。

時間軸に沿って順番に書かれている歴史の本に慣れている人には、読み慣れないかもしれませんね。



歴史をさかのぼることで「問題」の「原因」がわかる


『日本と世界の今がわかる さかのぼり現代史』では、「今の問題」を解決するためには、歴史をさかのぼって「原因」を見つけることが必要と書かれています。


今の問題の原因を突き止める「さかのぼり」

現在の問題や事件には、必ずそうなった経緯、つまり「歴史」があります。なげそうなのかといった原因を探り始めると、10年前は?20年前は?というように歴史をさかのぼることになります。「今」を知るためには、さかのぼって「過去」を理解することが必要なのです。
・はじめに p2〜p3

私たちが抱える悩み事も、世の中が上手くいかない仕組みも、国と国との対立も、必ず「原因」があります。

その原因は、過去をさかのぼると理解できると書かれていました。


中国の世界進出は30年前から準備されていた

例えば、お隣の大国 中国は、周りの国の領海に人口の島を作り、日本の尖閣諸島にも公的機関の船で侵入を繰り返しています。

中国が周りの海を支配しようとする理由には、「第一第二列島線」と呼ばれる独自の防衛線があります。

この第一列島線は台湾やフィリピン、マレーシアの島、そして尖閣諸島を含んでいます。

さらに第二列島線は、沖縄本島はもちろん小笠原諸島も含む広い範囲です。

中国は、「一帯一路(いったいいちろ)」というユーラシア大陸からアフリカまでを経済と軍事力の影響下の置きたい政策があり、習近平主席によって2013年から取り組んでいました。

それまでの1990年代には、国内の生産量を上げ基礎づくりをしていた時期があります。

さらに前の1970年代後半から1980年代は、経済を自由化しても民主化は取り締まる厳しい政策を取っています。

2000年代になって、世界的な経済成長を遂げ、2010年代には周りの国を支配しようとする中国。

・国民の考え方を統一 1970〜1980年代
・国内経済の基礎づくり 1990年代
・経済の世界進出 2000年代
・政治と軍事の世界進出 2010年代

歴史をさかのぼると、中国が今周りの国を支配しようとしているのは、実は30年も前から準備していたことがわかります。

参考) ・第2章 世界と国際情勢 p112〜p115


今の問題を分析する考え方を作る

「その問題が起きた原因」と「その問題が及ぼす影響」を大まかにでもつかみとることができれば、時間軸と空間軸の2つの軸で物事を考えることができるようになります。時間軸を縦軸に、空間軸を横軸にとればわ頭の中に世界情勢を読み解く「地図」が完成します。
・まとめにかえて p218〜p219

世の中にある「問題」の「原因」を歴史という時間軸で見つけて、「影響」を世界情勢という空間軸で比べる。

世界情勢を扱うほど影響力のない私でも、役に立つことがあるかもしれません。

例えば、職場のコミュニケーションが上手くいかない「問題」があったとします。

その「原因」は、当事者の人が過ごしてきた歴史であったり、当事者同士の人間関係にあるのでしょう。

その問題は、どんな「影響」があるのでしょうか?

こうして考えてみると、考え方の「地図」を作ることは、多くのことに応用できるのかなぁと思えてきました。



テレビやネットのニュースを整理する考え方を作るために読む本


テレビやネットでニュースがあふれていて、同じような内容だったり、とんでもニュースだったりすることが多い現代。

出来事を「知る」だけではなく、どんな影響があるのかを「考える」ことが大切になってくるはず。

情報を整理する考え方を作るために、最近の歴史で練習しておくのもいいことだと思う私でした。



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