ようこそ我が家へ
著者 池井戸潤
出版社 株式会社 小学館
分類 小説
出版日 2013/7/5
読みやすさ ☆☆★読みやすい
今日の小説は、池井戸潤さんの『ようこそ我が家へ』を紹介しますね。
昨年、嵐の相葉雅紀くん主演のドラマは私も全話見ていましたが、小説版『ようこそ我が家へ』は寺尾聰さんが演じたお父さん役の倉田太一が主人公。
ドラマとは違う視点で楽しめる作品ですよ。
登場人物
倉田太一
ドラマでは寺尾聰さんが冴えないお父さん役を演じていましたが、小説ではお父さん倉田太一が主人公。
ドラマとは違う視点で物語を楽しめます。
設定は変わらず銀行からナカノ電子部品へ出向した総務部長として、社内では営業部長の真瀬博樹とぶつかり、家庭では名無しさんから家族を守る大活躍。
原作の小説を読むと寺尾聰さんが倉田太一を忠実に演じていたことが伝わります。
倉田健太
ドラマの『ようこそ我が家へ』では嵐の相葉雅紀くんが主人公でしたが、小説では現代っ子らいし大学生。
設定がドラマとは異なり、まだまだ若さの溢れる青年。
小説では父倉田太一が疎いカメラや盗聴器などの電子機器の知識で父をサポートする役どころ。
西沢摂子
ナカノ電子部品の総務課に勤めるシングルマザーの西沢さん。
ドラマでは山口紗弥加さんが切れ者の総務課社員として寺尾聰さんが演じる倉田太一を支えていました。
小説でも頼りになる部下として営業部長の真瀬博樹とぶつかる倉田太一をサポートする役回りです。
真瀬博樹
ナカノ電子部品で営業部長を勤める真瀬博樹。
ドラマでの竹中直人さんの悪役ぶりはなかなかでしたね。
小説では下の名前は無く真瀬部長とだけ呼ばれています。
小説版はドラマとは違う視点で倉田太一が主人公、ライバル関係の真瀬博樹は重要な役どころです。
小説の真瀬博樹も竹中直人さんに負けないほどの悪役ぶりを見せてくれます。
名無しさん
もう1人の主人公でもある名無しさん。
登場シーンは少ないですが、物語の進行になくてはならない存在です。
名無しさんの正体は………。
物語の始まり
物語のはじまりは何も変化の感じない真夏のある日、倉田太一の仕事帰りに起きた。
電車での割り込みをする30代の男、自他共に認める温厚な倉田にも見過ごせず声をかけ注意をする。
慣れないことをして興奮が収まらない倉田を付け狙う影、名無しさんの復讐はここからはじまった。
世界観と価値観
小説版『ようこそ我が家へ』はドラマとは違う視点、父親でありサラリーマンでもある倉田太一が主人公。
サラリーマンではありますが、池井戸潤さんの作品に登場するバリバリ仕事をこなす凄腕の会社員とは少し異なります。
当時の銀行から取引先企業への出向は、銀行内の出世コースから外れた人事異動のようですね。
銀行内で出世できる一部の凄腕、競争に敗れ、あるいは競争に参加せず過ごす多くの会社員の内の1人の人生に焦点を当てた物語。
池井戸潤さんの作品の中では珍しく、周りにいるほとんどの人が主人公になる物語が、登場人物たちの暮らしを感じることができて親近感がわきますよ。
キーワードは正義、テーマは守るもの
『ようこそ我が家へ』のキーワードは正義、倉田太一のサラリーマンとしての正義が正しくあること。
聞こえは良いですが、組織の中で正しくあることって、社会に出てからは難しいことですよね。
成功や出世、アイデアを出して組織を改革することが称えられる世の中ではありますが、正しくあることを貫き通した倉田太一のサラリーマン人生は、尊敬されるものではないでしょうか?
そして、『ようこそ我が家へ』のテーマは守るもの。
何を守るかは登場人物によって異なり、竹中直人さんの印象の強い真瀬博樹にも守るものはあります。
それが、自分以外の何かであったり誰かであったりする時。
周りには綺麗に見えるのかもしれません。
書きたいことは多いですが、ネタバレ防止のためにこれくらいにさせていただきますね。
『ようこそ我が家へ』は既に相葉雅紀くん主演のドラマを見て、ストーリーを知っている方も多いと思いますが、改めて寺尾聰さんがお父さんを演じた倉田太一目線で読む小説版も面白い作品ですよ。
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