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小川糸〜周りの人の暖かさを描く作風

小川糸さんの紹介


今回の作家さんは、『食堂かたつむり』『ツバキ文具店』で有名な小川糸さんを紹介させていただきます。

苦労を積まれたデビューまで、その経験で培われた価値観を「どんな人生の転機でも見守ってくれる人はいる」暖かい作風で表現される魅力的な作家さんです。


小川糸さんの来歴


山形県で生まれ育った小川糸さん。

進学先の大学では、文学部国文学科で万葉集などの古典を専門に勉強されています。

大学卒業後はマーケティング会社に就職されましたが、本の世界にいたいという気持ちが強く編集プロダクションへ転身。

その後もやはり小説を執筆したい気持ちは変わらず、会社を退職され執筆活動をを続けます。

転機が訪れたのは1999年、書籍の映画化を手がける出版社 株式会社リトル・モアの雑誌『リトルモア』に掲載された「密葬とカレー」で小説家デビューを果たします。

この頃、作曲家の水谷公生と結婚されプライベートもともに順調と思われる暮らしを送られます。

小川糸さんが世の中に知られるようになったのは、2008年のことです。

2006年のポスラ文学賞に応募した『食堂かたつむり』が編集者の心に響き、2年間かけて出版。

若い読者に注目された『食堂かたつむり』は、80万部を超えるベストセラーとなりデビューと同時にベストセラー作家の道を歩みだしました。



小川糸さんに迫る


経歴でも触れたように、小川糸さんの小説家てしての歩みは順風満帆とはいえない苦労の連続でした。

作品掲載というデビューから、およそ10年間の苦労を経た念願の初出版。

出版社や文学賞への作品応募と落選、作家としての活動休止の経験は、「主人公が突然訪れた転機を乗り越える」という作風に現れているのかもしれません。



小川糸さんの作風


小川糸さんが書かれた小説の中では、『食堂かたつむり』や『ツバキ文具店』と続編の『キラキラ共和国』が人気です。

他にも『喋々喃々』、『つるかめ助産院』、『あつあつを召し上がれ』などに共通しているのは人生の転機が訪れた主人公が優しい人たちに囲まれ壁を乗り越えるというとても暖かかなれるストーリーです。

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悲しさや苦しさを乗り越えた幸せ

小川糸さんの小説というと、失恋や失業など大きな転機に動揺する主人公の姿が描かれます。

悲しさや苦しさの感じ方は、その方の受け止め方や経験で違いはあるでしょう。

小川糸さんの作品に登場する主人公たちは、とてもストレートに悲しさや苦しさを感じて、心に大きな傷を抱えています。

物語の出来事や、他の人との触れ合いを通して悲しみを受け止めて人生の転機を乗り越える姿はとても綺麗だなあと思えますよ。


地域の人との暖かい触れ合い

もう1つ、小川糸さんの作風を上げるなら周りの登場人物との触れ合いです。

本当に身近にこんな人がいたらなぁと思える、暖かい人物像が描かれていますよ。



小川糸さんの代表作


小川糸さんの小説は、数えられるだけで13作、エッセイや翻訳を加えると30作品以上出版されています。

その中で小川糸さんといえばコレ!と私が思う代表作を3作品選んでみました。


食堂かたつむり

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食堂かたつむり』は、私のブログで何度か取り上げさせていただいている小説です。

東京で料理人をする倫子は、ある日突然 外国人の恋人に財産と家財道具を持ち出され失意の底に落ちてしまいます。

唯一残された財産の「おばあちゃんの糠どこ」とともに故郷の東北に帰郷した倫子。

母ルリコの人脈や、学校の用務員さんをしていた熊さんの手を借りて「食堂かたつむり」は開店。

1日1組に心と想いを込めた料理を通して、地域の人たちの暖かい想いに触れる倫子。

物語の最後に込められた小川糸さんのメッセージに涙します。


ファミリーツリー

長野県の自然豊かな町で暮らすリュウ(流星)。

1年に1度だけ長野県を訪れる、幼馴染で遠い親戚の少女リリー。

会うたびに大人になり、そのままでもある心に惹かれた2人は恋に落ち新しい命が紡がれる。

レビューでは厳しい評価を受ける『ファミリーツリー』ですが、素朴な少年少女の心を描いた作品として、小川糸さんの作風と思える物語です。


ツバキ文具店

こちらも小川糸さんの人気作品『ツバキ文具店』。

舞台は神奈川県の鎌倉、多くの人が憧れる町です。

亡くなった祖母が営んでいた文具店と代書屋、仕事を引き継いだ雨宮鳩子。

誰かの思いを手紙に綴る代書屋の仕事を通して、鎌倉で暮らす人々と心を通わせる日々が訪れます。

本屋大賞を受賞して欲しかった作品です。



映像化された小説『食堂かたつむり


2009年に出版され、小川糸さんといえば『食堂かたつむり』といわれるほど人気になりました。

映画化は2010年と翌年のこと、もしかしたら映画を見てから小説を読んだ方も少なくないのかもしれません。

映画では主人公の料理人 倫子に柴咲コウさん、母ルリコに余貴美子さん、熊さん にブラザートムさんとハマり役ばかりの顔ぶれです。

『ツバキ文具店』も2017年にドラマ化されていて、小川糸さんの人気作品は映画化やドラマ化されやすい物語でもあります。



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