『豆の上で眠る』湊かなえ
著者 湊かなえ
出版社 株式会社 新潮社
分類 小説
出版日 2017/7/1
読みやすさ ☆☆★読みやすい
先月本屋さんでタイトルに惹かれ、あらすじを見てすぐに買った湊かなえさんの『豆の上で眠る』を紹介しますね。
湊かなえさんは、2009年の『告白』で本屋大賞を受賞し一躍有名に。
その後、『ポイズンドーター・ホーリーマザー』や『未来』が直木賞候補に選ばれる作家さんです。
湊かなえさんの描くリアルな登場人物
安西結衣子
神戸市内で1人暮らしをする安西結衣子は、幼い頃の心の影を持った大学2年生。
家でゲームをするのが好きなインドア派の結衣子は、小学校1年生まで一緒に過ごした姉の万祐子ちゃんと2年後に帰ってきたお姉ちゃんの違和感をいつまでも拭えずにいた。
安西万祐子
体が弱く家の中で暮らしがちな結衣子のお姉ちゃん。
女の子らしい容姿と優しい性格の万祐子ちゃんは外遊びやスポーツよりも読書が得意、布団の中で結衣子に本の読み聞かせをしてくれていた。
結衣子の記憶から離れない思い出が、アンデルセンの物語『えんどうまめの上に寝たお姫さま』。
結衣子の優しいお姉ちゃんは、2人で外に遊びに行った帰り、万祐子ちゃんが小学校3年生の時に誘拐されてしまう。
お姉ちゃん
結衣子が小学校3年生、万祐子ちゃんは小学校5年生の時に家族の元に帰ってくる。
だが、結衣子の元に帰ってきたお姉ちゃんと誘拐される前の万祐子ちゃんの違和感。
お姉ちゃんは本当に万祐子ちゃんなのか?
物語の始まり
神戸市内で暮らす結衣子は、元に実家の母が胃潰瘍で入院したと姉からのメールで知る。
深刻な病気ではなかったことから、すぐに帰省するつもりがなかった万祐子もバイト先の友人に促され新幹線に乗った。
相席したお婆さんの飼い猫に昔を思い出した結衣子は、実家の近くの駅でお姉ちゃんと幼い頃の記憶にある万祐子ちゃんを見かける。
夏の記憶を行き来するストーリー
結衣子の実家は兵庫県から岡山駅より西のバブル期以降に宅地造成された、郊外の住宅地。
田園と水路が多く、夏はべっとり空気が張り付くような蒸し暑さ。
『豆の上で眠る』の舞台は中国地方の内陸の地域でしょうか。
物語は実家に帰った結衣子の幼い頃の記憶の中を巡る数年間のストーリー。
物心ついた時から本を読み聞かせてくれた万祐子ちゃんの思い出。
神社でシェルターを作った帰りに居なくなった万祐子ちゃん、その後家族の生活は崩れ2年が過ぎた。
連れ去られたと思われた神社で突然発見された万祐子ちゃん。
病院で会った万祐子ちゃんも、家に帰ってきてそれからを共にした万祐子ちゃんも、結衣子にとっての万祐子ちゃんの思い出と違和感を感じずにいられなかった。
キーワードは「1粒」、テーマは「つながり」?
結衣子が幼い頃から読み聞かせてくれた『えんどうまめの上に寝たお姫さま』。
王子様のお嫁さん候補から、本物のお姫さまを見つけるためにお妃様が考えた方法は布団の下に1粒の豆を置いて、そこで寝たお嫁さん候補が気付くかどうか。
『豆の上で眠る』のキーワードは1粒の違い、幼い頃の万祐子ちゃんと2年後に帰ってきたお姉ちゃんの1粒以上の違い。
2年間の離れた時間で、幼い頃の記憶とは違う違和感が出るほどつながりは離れてしまうのか?
湊かなえ『豆の上で眠る』のまとめ
松たか子さん主演で映画化もされた『告白』でデビューした湊かなえさん。
『Nのために』は現在と過去の交差した謎解きストーリーで栄倉奈々さんが出演したドラマの方が記憶にある方が多いのではないでしょうか。
湊かなえさんの作品は全て読んでいませんが、時間を行き来する謎解きが想像力をかき立てますよね。
『豆の上で眠る』でも、安西結衣子の記憶の中の時間を行き来してピースを組み合わせていく謎解きは盛り上がりますよ。
後半で全てが明らかになるので、これくらいにしておきますね。
日常のミステリーは坂木司さんも面白いですよ↓
www.yu-hanami.com
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