お金の心理 与沢翼
著者 与沢翼
出版社 株式会社 宝島社
分類 ビジネス書
出版日 2020/5/7
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
実業家の与沢翼さんの『お金の真理』は、お金の機能と役割、お金持ちの基準とお金持ちになる方法が書かれた本です。
今回は、「お金の3つの機能」「お金の在処とお金を貯めるには?」「お金持ちの基準とお金持ちになるには?」の3つをテーマに、本に書いてある内容を紹介させていただきますね。
お金の3つの機能
「お金」とは、どのような役割があるのでしょう?
収入、貯金、購入と販売、投資、たくさん思い浮かびます。
与沢翼さんは、著書『お金の真理』でお金には「3つの機能」があると書かれています。
まず、初めに専門的な話をすると、お金には3つの機能があるとされています。1つ目が「価値の保存」。2つ目が「交換」。3つ目が「価値の尺度」です。
・第1章 お金とは何か? p77〜p80
お金の3つの機能
①価値の保存
②交換
③価値の尺度
ここでは、花水(hanami)自身が理解しやすいように飲食店にたとえてみます。
①価値の保存
1つ目は、「価値の保存」の機能。
世の中には、「価値」を金額で表せる便利な仕組みがあります。
10万円の紙幣と10万円分のお酒は、同じだけの価値があるとされています。
もしお金に1週間の期限があるとしたら、飲食店は売り上げを金を保存のきくお酒に変えて、設備が壊れたときにはお酒を売ったお金で修理代を支払わなければならなくなります。
お金に期限がないことで、価値をいつまでも保存する役割があります。
②交換
2つ目は、「交換」の機能。
飲食店では、提供される料理や飲み物、店員さんのサービスと交換でお金が支払われます。
支払われたお金は、お店の固定費に充てられたり、店員さんの給料、仕入れの費用でさらに交換されます。
お金に交換の機能がなかったとしたら、飲食店のお客さんは食事の代わりに「明日の魚と野菜を用意するよ」と品物を用意されたり、「1500円だから1時間半分働くよ」と厨房を手伝ったり………。
なんだか、やりとりがとても複雑になります。
お金にはものやサービスと交換できることで、世の中の仕組みを簡単にする役割があります。
③価値の尺度
3つ目は、「価値の尺度」の機能。
これは、時給が分かりやすいのではないでしょうか?
「この地域」で「こんな業種の仕事」を「このくらいの時間」すると時給1000円。
お金には、仕事という分かりづらい価値を金額でわかりやすくする役割があります。
お金の在処とお金を貯めるには?
花水(hanami)のように、平均年収付近の収入の方、少し少ない方、生活ができないほどの収入の方。
世の中にお金はないように思えます。
いつまでも増えないお金はどこにあるのでしょう?
お金の貯め方はあるのでしょうか?
備蓄と利益過剰金
個人の備蓄=貯金
あらゆる窮地を乗り切り、チャンスを生かし、自分らしく人生をまっとうするためには、備蓄という考え方を持ってください。
お金とはすなわち備蓄であり、その備蓄とはすなわちパワーです。この部分こそがお金持ちになるための基本的な土台です。
・第1章 お金とは何か? p84
備蓄というのは、私のように会社員をされている方にとっては貯金や投資信託などに預けたお金です。
同じように、大きな企業にも備蓄がり内部留保・利益過剰金と呼ばれています。
企業の備蓄=利益過剰金
内部留保は会計上、利益過剰金と呼ばれているもので、簡単に言えば「企業の儲けの蓄え」です。現金のままであることもあれば不動産などに姿形を変えていることもあります。
近年、日本企業が蓄えた内部留保は過去最大を更新し続け、2018年度は463兆円を超えました。これは欧米企業と比べるとかなり多く、対外純資産を見ても日本は世界一です。
・第1章 お金とは何か? p79〜p80
与沢翼さんによると、日本の企業はかなりお金持ちのようです。
会社員の立場の花水(hanami)は、単純に「給料を上げてほしい」と感じます。
実は、今回のコロナクライシスで日本の大企業が倒産して何万人も失業者が出なかったのは「利益過剰金」の蓄えがあったからといわれています。
給料は上げてほしいのですが、働いている企業が倒産してしまっては「働く場所」がなくなってしまう。
日本の大企業がケチだったことで、海外に比べて失業しなくていいメリットもありました。
貯金は何かをするための資金
企業にとっての備蓄、利益過剰金は「いざという時に企業を守る」ためのお金でした。
個人の備蓄、貯金や金融資産には他にどんな役割があるのでしょう。
私が言っている「貯金しなさい」は、貯金そのもので成功できるというのではなく、「軍資金」をつくりましょう、という意味です。
夢も希望もない現実を変えるための初動エネルギーとなる「まとまった」お金です。
・第3章 お金を作る p215
与沢さんは、個人の備蓄は「何かをしたい時の資金」として貯金をしましょうと書いています。
花水(hanami)の場合、飲食店を始めるための初期費用と半年分くらいの固定費を支払えるだけの備蓄を貯金で貯めた方がいいということなんですね。
お金の総量は変わらない
世の中は、リーマンショック以来の大不況が起こっています。
新しく「お金が稼げなくなった」というのはわかるのですが、「それまで稼いでいたお金」はどこに行ってしまったのでしょう?
私は投資をやっているので、社会に何か大きな変化が起きると「お金はこれからどう動くのか」と考えます。
つまり、業績が下がる会社があれば、逆に業績が上がる会社もあるわけです。今起きているのは変化にすぎません。転換期のお金というのはゼロサムになることが多いのです。
ゼロサムとは、プラスマイナス合計するとゼロになるという意味です。Aというグループがあり、そこにいる人たちが損をして貧乏になったとしたら、その分だけBというグループにいる人が得をしてお金持ちになっています。
このように、誰かにとってのピンチは別の誰かにとってはチャンスになります。
・第1章 お金とは何か? p93〜p95
「業績が下がる会社があれば、逆に業績が上がる会社もある」
今回のコロナクライシスでは、旅行業界や飲食店ではお客さんが減ってしまい業績が下がってしまいました。
さらに旅行業界に関係して、交通機関、飲食店に食材を販売していた生鮮食品の業界でも業績が下がっています。
反対にウーバーイーツのような出前はお客さんが大きく増え、アプリと電子決済サービスを組み合わせてテイクアウトを提供したマクドナルドも業績を伸ばしています。
「誰かにとってのピンチは別の誰かにとってはチャンス」
もし花水(hanami)が都内で飲食店を始めていたら、今回のコロナクライシスで破産していたはずです。
幸い、これからのことなので、今営業されている飲食店の取り組みを取り入れることもできます。
世の中にあるお金の総量が変わらないことは、誰にとってもチャンスがあることは確かです。
お金持ちの基準とお金持ちになるには?
「お金持ちの基準」というのが世界にはあるようです。
お金持ちとは?日本のお金持ちの数は?
富裕層=純金融資産1億円
超富裕層=純金融資産5億円以上
経済を研究・分析する世界のシンクタンクでは、「純金融資産1億円」が富裕層と定義されています。純金融資産5億円以上は、超富裕層と呼ばれます。
p251
誤解が生まれないように与沢さんの本では、年収1億円でも純金融資産の金額は1億円にならないことが前のページで解説されています。
いずれにしても日本は富裕層の数が意外に多く、2017年のデータによれば約118万世代もいます。これはアメリカ、中国に次いで世界で3番目の多さです。
・第4章 お金を増やす p251
世代は、同じ「財布」で暮らしている人たちのことです。
日本の世帯数は、2020年は4885万世帯でした。
参照:統計局ホームページ/日本の統計 2020−第2章 人口・世帯
日本人の2.42%が富裕層、「100人集まったら2人は1億円以上持っている」と言われると、多いのかなぁと思います。
お金持ちになるには?
日本のお金持ちは、花水(hanami)が思っていたよりも多いようです。
では、どうやってお金持ちになったのでしょう。
短期的に増えたお金を何かに再投資し、そこで利益が出たらまた再投資する。これを繰り返すことでお金を増やしていくのです。単純ですが、真のお金持ちになれる方法はこれしかありません。
・第4章 お金を増やす p238
「お金は増やすもの」
お金が増える→再投資する→増えた分を再投資する
与沢さんが実践しているように、お金持ちになるにはお金を使ってお金を増やす方法しかないようです。
まずは、元手になる貯金が大切なんですね。
誰にでもお金持ちになるチャンスがある
・生まれたときからお金持ちだった
・成功している事業を引き継いだ
・何かの分野で大成功を収めた
いつの時代も、お金持ちになれるのは「限られた人」や「天才」というのは変わらないのでしょう。
ですが、インターネットが普及した現代は「少し違う」と与沢さんは言います。
ドロップショッピングというものがあります。簡単に言うと、「商品の仕入れをしなくても自分でネットショップを開けるシステム」のことです。
また、別の例として、第1章でも言及した、文章による情報をコンテンツとして投稿し、こ」を有料化したnoteというサービスが基本では流行しているようです。
学歴を積んで年収を上げるという社会常識がもはや通用しなくなってきており、いつ誰にチャンスが転がり込んでくるかもわからない状況といえます。
・第4章 お金を増やす p252〜p254
例えば、初期費用がほとんどかからないYouTubeで人気が出て、有名人ではなかった人が何億円を稼いだことは知られています。
「学歴と経歴で年収を上げる」ことが通用しなくなり、「いつ誰にチャンスが転がり込んでくるかもわからない状況」なのは、少しだけ実感しました。
今は、大きな変化の中にあるのでしょう。
これからのため、まずできるのは備蓄を蓄える「貯金」なのかなぁと思う花水(hanami)でした。