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どの時代でも通用する生き方の教科書 漫画『君たちはどう生きるか』 吉野源三郎

漫画『君たちはどう生きるか』 吉野源三郎

著者 吉野源三郎羽賀翔一
出版社 株式会社 マガジンハウス
分類 漫画、児童書、実用書


今回は「世界一受けたい授業」で取り上げられ、1時は本屋さんで品切れにもなった吉野源三郎さんの『君たちはどういきるか』を紹介します。

毎日の学校生活で悩みが尽きない「コペル君」、コペル君の悩みを一緒に考え、ヒントを与えてくれる「おじさん」
このおじさん、凄いです。

おそらく生きていたら、今140〜150歳、明治生まれの方ではないかと思いますが、今私たちの悩みのヒントになる考えを当時持っていたんです。

もしかしたら、悩みの本当のヒントというのは時代を越えてと変わらないものなのかもしれません。

それでは、どうぞ!



読みたくなったキッカケ


2017年10月末に放送された「世界一受けたい授業」でたまたま目にしたからです。

その日はたまたま番組を見ていて、生き方や働き方の実用書を執筆する斎藤孝さんが吉野源三郎さんを紹介していました。

漫画と齋藤孝さんの解説で物語は進み、吉野源三郎さんの子どもの頃のあだ名「コペル君」と「おじさん」のやり取りが印象的でした。

大正から昭和にかけてのエピソードで、おじさんの語る教訓がとても現代的ー現代的というより、古くからあって今でも通じる考え方だなぁと思い、すぐに本屋さんで注文しましたよ。


吉野源三郎さんの紹介

経歴

吉野源三郎さんは1899年に生まれ、1981年まで活躍された児童文学の作家さんでもあります。

今では著作よりも、岩波書店を発展させた経営者として有名なのではないでしょうか?

吉野源三郎さんは東京帝国大学の文学部で哲学を学ばれた後、東京大学図書館に就職されました。

お若い頃から本一筋だったんですね。

その後は、岩波書店で活躍され明治大学教授にまでなっています。

吉野源三郎さんは平和主義者としても活動していて、戦時中は逮捕もされています。

確かに今回取り上げた『君たちはどういきるか』の考えでも、1人の人間と社会がどうあるかを説いているので、「お国のため」の考えが強い当時は世の中に受け入れられなかったのかもしれません。

他の本の紹介

『人間の尊さを守ろう』

君たちはどう生きるか』小説版


本の構成と読みやすさ

本の構成

1,変な経験 p24〜
ものの見方について(おじさんのノート) p48〜
2,勇しき友 前編 p54〜
3,勇しき友 後編 p76〜
真実の経験について(おじさんのノート) p96〜
4,ニュートンの林檎と粉ミルク p106〜
人間の結びつきについて(おじさんのノート) p136〜
5,貧しき友 p146〜
人間であるからには(おじさんのノート) p164〜
6,ナポレオンと4人の少年 p180〜
偉大な人間とはどんな人か(おじさんのノート) p204〜
7,雪の日の出来事 前編 p226〜
8,雪の日の出来事 後編 p252〜
9,石段の思い出 p276〜
人間の悩みと、過ちと、偉大さとについて(おじさんのノート) p292〜
10,凱旋 p300〜
11,春の朝 p320〜


羽賀翔一さんの漫画がほとんどを占め、エピソードを伝える漫画と漫画の間に「おじさんのノート」と呼ばれる教訓のページがあります。

小説版と見比べたのですが、「おじさんのノート」はどちらも内容は同じでした。

読みやすさ

今まで私が紹介した本の中で「最も読みやすい本」です。

それは、エピソードを漫画でわかりやすくイメージすることができ、そのエピソードへの教訓を活字で記載しているためです。

おそらく、読書を全くされない方でも負担なく読めるはずですよ。



3つの気づき、人間とはどう生きるか?

自分が中心か世の中が中心か

コペルニクスのよつに、自分たちの地球が広い宇宙の中の天体の一つとして、その中を動いていると考えるか、それとも、自分たちの地球が宇宙の中心にどっかり座りこんでいると考えるか、この二つの考えた方というものは、実は、天文学ばかりのことではない。世の中とか、人生とかを考えるときにも、やっぱり、ついてまわることなのだ。
子供のうちは、どんな人でも、地動説ではなく、天動説のような考え方をしている。子供の知識を観察してみたまえ。みんな、自分を中心としてまとめ上げられている。
中略)
それが、大人になると、多かれ少なかれ、地動説のような考え方になってくる。広い世間というものを先にして、その上で、いろいろなものごとや、人を理解してゆくんだ。
しかし、大人になるとこういう考え方をするというのは、実は、ごく大体のことに過ぎないんだ。人間がとにかく自分を中心として、物事を考えたり、判断するとい性質は、大人の間にもまだまだ根深くのこっている。
中略)
たいがいの人が、手前勝手な考え方におちいって、ものの真相がわからなくなり、自分に都合の良いことだけを見てゆこうとふるものなんだ。
ものの見方について(おじさんのノート) p48〜

人間として生きていけること

コペル君!「ありがたい」という言葉によく気をつけてみたまえ。この言葉は、「感謝すべきことだ」とか、「お礼をいうだけの値打ちがある」とかという意味で使われているね。しかし、この言葉のもとの意味は、「そうあることがむずかしい」という意味だ。「めったにあることじゃあない」という意味だ。
自分の受けている幸せが、めったにあることじゃあないと思えばこそ、われわらは、それに感謝する気持ちになる。それで、「ありがたい」という言葉が、「感謝すべきことだ」という意味になり、「ありがとう」といえば、お礼の心持ちをあらわすことになったんだ。
ところで、広い世の中を見渡してらその上で現在の君をふりかえって見たら、君の現在は、本当に言葉どおり「ありがたい」ことではないだろうか。
人間であるからには(おじさんのノート) p164〜

間違いも「自分の行い」と認めること

では、人間だけが感じる人間らしい苦痛とは、どんなものだろうか?
中略)
一筋に希望をつないでいたことが無残に打ち砕かれれば、僕たちの心は目に見えない血を流して傷つく。やさしい愛情を受けることなしに暮らしていれば、僕たちの心は、やがて耐えがたい渇きを覚えてくる。
しかし、そういう苦しみの中でも、一番深く僕たちの心に突き入り、僕たちの目から一番つらい涙を絞り出すものはー自分が取り返しのつかない過ちを犯してしまったという意識だ。自分の行動を振りかえってみて、損得からではなく、道義的な心から、「しまった」と考えるほどつらいことは、おそらくほかにはないだろうと思う。
そうだ。自分自身そう認めることは、ほんとうにつらい。だから、たいていの人は、なんとか言い訳を考えて、自分でそう認めまいとする。
しかし、コペル君、自分が誤っていた場合にそれを男らしく認め、そのために苦しむということは、それこそ、天地の間で、ただ人間だけができることなんだよ。
人間の悩みと、過ちと、偉大さとについて(おじさんのノート) p292〜

『君たちはどういきるか』まとめ


『君たちはどういきるか』、私は人間として当たり前に生きられているのかなぁ?と考えるきっかけになる1冊でした。

中でも、「人間の悩みと、過ちと、偉大さとについて(おじさんのノート) 」は、今での自分の悩み、過ちを思い起こさせられます。

大人自身が自分を見つめ直すために読んでもいいですが、子どもたちに読ませてあげたいと思いますよ。

番組は忘れてしまいましたが、夕方のNHKラジオで教育関係の専門家の方が『君たちはどう生きるか』を義務教育の教科書にする案が話題になっていると話していました。

自分の子ども、親戚や友人のお子さん、先生をされている方は生徒さんにもいいのではないでしょうか?

小説版は時代を感じる言い回しになっており、子どもたちにはむずかしいかもしれません。

漫画版でしたら、エピソードは漫画になっていますから物語と教訓が記憶に残りやすいと思いますよ。


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