小説が縦書きに限られる理由
今日の読書のお話は、「小説が縦書きに限られる理由」です。
実用書やエッセイでは、文字の大きさが大きな横書きの本も見かけます。
なぜ小説だけは、縦書きで文字も小さいのでしょうか?
今回は小説が縦書きに限られる理由に迫ります。
日本の書籍は縦書きが多い
幼い頃からそうだったので気にしたことはありませんが、日本国内で出版されている本は縦書きが多いことに気がつきました。
小説などの文芸作品はほとんどが縦書き。
ビジネス書や実用書でも、文字が多い本は縦書きではないでしょうか?
横書きの小説があっても面白い
エッセイやイラストや図解の多い実用書では、横書きの本も多く見かけるようになりました。
パソコンで書かれた文章やネットで読み物をする私たちにとって、横書きの方が暮らしの中で身近でもあります。
ふと、単行本の小説や文庫本も横書きがあっても良いのかなあと思います。
横書き主流の今、なぜ本の多くはなぜ縦書きなのか?
なぜ本の多くは縦書きなのでしょう?
手元の書籍や出版社のホームページで調べてみると、基準のような決まりは見かけません。
漢語の影響
本の縦書き、横書きの違いにはその国の文字が大きく影響しています。
日本は、漢字だけで書かれた「漢語」、漢字にかな文字が加わった「仮名交じり」と呼ばれる文章を経て現代の文字にたどり着きました。
この漢字を使う地域では、ほとんどが文章は縦書きで書かれてます。
もちろん、横にしても何ら困ることはありませんが、古くからの風習で慣れ親しんだ縦書きの形で本や新聞も出版され続けています。
戦前は右から読む横文字もあった
新聞や一部の本では、右から左へ読み進める横書きが使われたこともありました。
戦前の新聞や、今でも運送会社のトラックに書かれる社名で見ることができます。
馴染みのない私たちにとっては、右から左へ読み進める横書きはとても読みづらく感じますよね。
縦書きに異論!?横書きの小説でもいい作家さんもいる
私自身、幼い頃から縦書きの本に親しみがあります。
ですが、実用書やエッセイで横書きの本を読んでも「読みにくい」と思うことはありません。
縦書き、横書きにこだわらず「どちらでもいい」と思います。
小説が縦書きに限られる
サイズの次に、ぼくがびっくりしたのは、小説が縦書きに限られる、ということだった。
文芸作品は、ほぼ例外なく縦書きである。
中略)
僕はブログの文章をそのまま本にしたことがある。
この場合、もともと横書きだったものであり、本にするときも横書きにしてもらった。
読者から、「横書きで読みにくかった」という声は1つも届いていない。
エッセイでは、横書きのものが数冊ある。
しかし、やはりほとんどは縦書きだし、また、小説は例外なく縦書きである。
森博嗣『読書の価値』p191〜p192
『すべてがFになる』で一躍有名になられ、大学の先生と小説の世界を経験された森博嗣さんは作家さん目線で日本の縦書き文化を語られています。
どうやら、出版の段階で小説などの文芸作品は縦書き指定になるようですね。
読み書きは横書きなのに?
子供たちは、大人になったら、もう縦書きの文章など書かないのに、どうして縦書きの作文をさせるのか、と僕は不思議に思っている。
森博嗣『読書の価値』p194
こうして他の方の意見を聞いてみると、改めて縦書きの意味を考えてしまいます。
読書もそうですが、幼い頃書道を経験したことがあり、最近もたまに筆で字を書くためか、私にとって縦書きの読み書きは自然なことでした。
ですが、多くの方は小中学校で手書きの作文を書いてから縦書きの読み書きの機会はないのではないでしょうか?
本は横書き向き
横書きの書類や手紙は、紙を縦長で使う。
こうすることで、1行の長さを短くできるから、行の最後まで読んで次の行の先頭へ移るときに、視線の移動距離が短くなるため、読みやすくなる。
行を飛ばしたり、同じ行をまた読んだりというミスが減る。
だから、縦長のページというのは、そもそも横書きの文章に適したフォーマットの一環なのである。
森博嗣『読書の価値』p193
横書きの実用書やエッセイ、私は「読みやすい」と思います。
私にとっては縦書きと横書きで読みやすさは変わりません。
森博嗣さんの説明では、縦長の紙を閉じた本は横書きの文章に向いているとあります。
本の形を思い浮かべると、確かにそうなのかもしれません。
そして、仕事で目にする資料も横書きで文章が書かれた縦長の紙を閉じたものです。
横書きの本は、今の日本国内の文字の使い方に合った本なのかもしれません。
やっぱり日本文化だから?
出版の基準はないのに、小説が縦書きに限られる理由、それは私たち読者が求めているからでしょうか?
古くからの風習、日本文化だからと縦書きに限られるのは変なこだわりだとも思えます。
逆に今の時代に合っているからといって、全てを横書きに統一してしまいましょうというのは少し違うと思います。
日本の古くからの文化だから、「本は縦書きであるべき」というこだわりをやめてみてはということ。
横書きの小説があってもいいし、古い文学の復刻版が横書きとイラスト入りでも面白いと思います。
もちろん、縦書きのまま読み続けられる本があってもいいでしょう。
小説が縦書きに限られる理由はなかった
まとまりがなくなってしまいましたね。
日本の小説や文芸作品は、縦書きの本の形での出版に限られています。
理由があるかといえば、文字の文化の影響がある程度で出版に関する決まりはありませんでした。
特に決まりがないなら、縦書きだけにこだわることもりません。
作品に合った形式で出版してみても面白いのではと思います。