本当に本が読みたくなる読書のブログ

読書好きのための本当に読みたい本が見つかる書評ブログです。小説、実用書、ビジネス書ジャンルを問わず紹介。読書にまつわる豆知識のお話、文章の書き方のお話もありますよ。

推理小説・ミステリー小説とは?推理小説の定義と3つの条件

推理小説・ミステリー小説とは?

読書の豆知識


推理小説・ミステリー小説とは?

今回の読書の豆知識は、推理小説・ミステリー小説の定義とストーリーに欠かせないミステリーの3つの条件から、読者家 花水由宇(hanami yu)なりの答えを見つけてみましたよ。

推理小説・ミステリー小説の定義とは?


推理小説(英:detective story,mystery story)とは主として犯罪に関係する秘密が、論理的に解明されていく過程の興味に主眼をおいた小説と定義されています。

江戸川乱歩による推理小説の定義

日本国内では、文豪 江戸川乱歩の「主として犯罪に関する難解な秘密が、論理的に、徐々に解かれていく経路のおもしろさを主眼とする文学」という見解が「推理小説とは?」の答えとされています。

日本の推理小説の基礎を作った江戸川乱歩の示した答えは、推理小説の定義のひとつの答えとして現代でも大切にされています。


推理小説とミステリー小説の違い


謎解きがテーマの小説を紹介される場合、推理小説とミステリー小説どちらのジャンルに分けようか迷いますよね。

推理小説というのは大まかな分け方で、謎解きがテーマの小説全般を扱うジャンルは推理小説に含まれるとされています。

推理小説の中でも、本格ミステリー小説・日常ミステリー小説・新本格ミステリー小説が「狭い意味でのミステリー小説」といえます。

文学賞や出版社の公募では細かな違いが大切ですが、読者目線では推理小説とミステリー小説は同じ意味で使われています。
本格ミステリ小説の中に含まれる日常ミステリ小説 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ




ミステリーの3つの条件「謎」「伏線」「論理的解決」


推理小説とミステリー小説で扱われる「ミステリー」は、具体的にどんな条件があるのでしょう?

有名ミステリー作家の道尾秀介さんや、伊坂幸太郎さんをデビュー当時から支える編集者 新井久幸さんは『書きたい人のためのミステリー入門』の中でミステリーの条件を3つにまとめられています。

新井久幸さんによると、ミステリーの3つの条件は「謎」「伏線」「論理的解決」にあることとされています。

謎とは、ほとんどの場合、辞書の説明にある「犯行の動機や方法」「犯人」である。しかし、これらがあまりにも平凡だったり、あからさまに誰かを指し示すようではつまらない。
誰だろう?なぜだろう?どうやったんだろうという疑問を抱かせるから、読者は興味を持ってくれる。ミステリーを牽引する最大の力は、これらの謎だから。
新井久幸『書きたい人のためのミステリー入門』p15


ミステリーでなくてはならないのは、何といっても

犯行や事件が起こるまで読み進めた段階では、疑問しかでてこない。

犯行が不可能な現場を作り出す密室トリック。

登場人物全員にアリバイがあるアリバイトリック。

同時に違う場所で事件が起こる時間差トリック。

読者にとって、見当もつかない驚きのトリックで生み出される謎がストーリーに引き込まれる大きな理由といえます。


伏線

謎解きの手がかりとなる伏線がないと、ミステリーにはならない。伏線がなければ、「推理」できないからだ。「伏線を張る」とは、解決の根拠や手がかりとなる事実・出来事を、事前に提示しておくことを指す。
中略)
印象的に手がかりを置き、解決の段になって、「ああ、そうだったのか。そういえば、ちゃんと書いてあった」と思わせてこその伏線である。
新井久幸『書きたい人のためのミステリー入門』p18~p20


伏線は、謎解きに欠かせない証拠や理由をさり気ない表現でストーリーの中に「置いておく」方法です。

伏線回収という言葉はミステリーに限らず、漫画やアニメ、ドラマでも使われていています。

張り巡らされた伏線が、謎解きの段階になって、「そういえば!」と思い出すくらい自然に結びつく伏線回収が読者の気持ちを揺さぶってくれます。

本当に本が読みたくなる読書のブログで取り上げさせていただいた作家さんの中では、伊坂幸太郎さんの描くストーリーは伏線回収が見どころだと思いますよ。
伊坂幸太郎~伏線回収とストーリーのリンクが見せる伊坂ワールド - 本当に本が読みたくなる読書のブログ


論理的解決

いくら手がかりがきちんと示されていても、それらが有機的に組み合わさり、一連の推理を形成しなければ意味がない。探偵が犯人を特定しても、勘や曖昧な根拠では誰も納得してくれない。
論理、というと難しそうに聞こえるかもしれないが、要は、「○○だから、誰々だ」という理屈が通っているかどうかである。
新井久幸『書きたい人のためのミステリー入門』p21


証拠も揃わないうちに犯人が自白してしまったり、突然DNA鑑定で揺るがない証拠が出てしまっては推理小説としては成り立たないでしょう。

どんでん返しが見どころといっても、突然新しい登場人物が「犯人でした」と現れたり、トリックが超能力で成り立ってしまってはミステリーとはいえないはずです。

客観的な証拠を積み重ね、他に当てはまる人物をアリバイで外し、トリックの謎を紐を解くように解決しながら、1つの道筋を立てた推理を突きつけ犯人を追い詰める。

謎解きの醍醐味ですよね。

状況証拠を積み重ねた推理を展開する作家さんは、日常ミステリーの坂木司さんが1番に思い浮かびます。
坂木司〜日常ミステリーで広がる世界観 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ



謎・伏線回収・論理的解決のあるストーリーが推理小説・ミステリー小説


つまりミステリーというのは、〈謎があって、解決するための伏線がきちんと張られていて、その手がかりを適切に論理的に組み立てれば、唯一無二の真相に辿り着く〉、というタイプの物語だと思ってもらえればいい。
p22


推理小説・ミステリー小説とは?
定義だけでは抽象的で、文学賞の募集要項では専門的過ぎた疑問の答えを出させていただきますね。

推理小説・ミステリー小説とは、謎・伏線回収・論理的解決のあるストーリーの小説とまとめさせていただきます。


参考にした本


『書きたい人のためのミステリー入門』新井久幸
www.yu-hanami.com

『読書の価値』森博嗣
www.yu-hanami.com

『読書する人だけがたどり着ける場所』齋藤孝
www.yu-hanami.com

『超・戦略的!作家デビューマニュアル』五十嵐貴久
www.yu-hanami.com




にほんブログ村 本ブログへ