お客様が神様でなくなる日
とある居酒屋に貼られた注意書きが話題を呼びました。
「お客様は神様ではありません」
警察沙汰になるほどの悪質なクレーマーから、態度が悪くて店員さんを嫌な気持ちにさせるお客さん。
日本のお店とお客の関係は、見直される時期に来たのかもしれません。
話題の投稿は正しいと思う
「お客様は神様ではありません」
とある居酒屋の張り紙が、日本のお店とお客の立場を改めて考えるきっかけになるかもしれないと話題になっています。
「どこかおかしい」
そう思っても、なかなか見直されなかったお店とお客の関係。
「いらっしゃいませ」と来店したお客さんに深々と頭を下げて、帰るときも頭を下げて「ありがとうございます」とお礼を言う。
いつしか、お金を払ったら何をしてもいいと勘違いするお客さんも増え、尊大な態度で従業員に接して、気に入らないことがあると暴言に暴力を振るう。
本当に神様なら、そんなことはしないはず。
いつからお客様は神様だったのか?
今では、過剰なサービスや理不尽なクレーマーの原因と言われる「お客様は神様」という価値観。
はじまりは、演歌歌手 三波春夫さんが1961年にご自身のステージ上で言われたこととされています。
その後、お笑い芸人のレツゴー三匹、「飛びます、飛びます」で有名な坂上二郎さんがネタとして披露されたことで流行。
その後1960年代後半から1970年代にかけて、商品を購入したりサービスを利用されるお客さんを神様のように敬う価値観が広まっていきます。
三波春夫さんは、大切な時間を使ってコンサートを訪れ、楽しい時間を共有してくれるお客さんを大切にしたい思いで語られたといわれています。
いつしか、お金を払う人が偉くて物を売ったりサービスを提供する人は下という誤った価値観で世の中に広まってしまいました。
世界中のお店とお客は対等、日本の「おもてなし」は少し変
本来、お店とお客はお金とモノやサービスを交換する対等な関係にあります。
お店とお客の関係は世界中の常識で、さらに良くしてもらったときに、お客は追加の料金チップを増やす。
例えば、宿泊料5000円+チップの相場1000円のホテルを利用すると、期待していたサービス以下でも6000円の料金がかかります。
サービスが期待以上だったり、設備に満足されたならチップを1500円に増やして6500円の料金を支払う。
対等な関係とは、そういうもので値段相当のサービスを受け取るだけでそれ以上は求めません。
日本では、高級ホテルの受付カウンターと街中のコンビニのアルバイトの学生さんも同じ言葉使い・接客態度のサービスが求められます。
高級ホテルの受付カウンターの方とアルバイトの学生さんでは、受け取れる報酬も変わります。
その分、自分磨きにかけられるお金も時間も違います。
そして、アルバイトの学生さんが言葉使い1つでも間違ったり、応対がおぼつかないと怒鳴ったりクレームを入れるお客さんも現れてきます。
世界中に「おもてなし」と絶賛されている日本のサービスは、実は世界中でも珍しいことだからでもあります。
料金は変わるのにサービスはいい。
いつしか日本の当たり前は、間違った方に向かってしまったのかもしれません。