『強運の持ち主』
著者 瀬尾まいこ
出版社 株式会社 文藝春秋
分類 エンタメ小説
出版日 2009/5/10
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
2017年に映画化された『僕らのごはんは明日で待ってる』、原作の著者 瀬尾まいこさんをご存知の方もいらっしゃるのでは?
『強運の持ち主』は、元営業マンのOLルイーズ吉田が始めた占い店で「運」を巡って起こる物語です。
登場人物
『強運の持ち主』は、ある意味ビジネスライクな主人公ルイーズ吉田と、個性的な登場人物の織り成す物語。
占い師ルイーズ吉田
OL時代の特技「営業トーク」を駆使して占い店を繁盛させるルイーズ吉田。
占い師でありながら、あまり「運勢」に頼った占いをせずお客さんと接する。
ショッピングセンターの中の占い店は、人生相談所のような人の悩みを語る場に。
強運の持ち主 道彦
市役所に勤める、ルイーズ吉田の恋人道彦。
マンションで一緒に暮らす「こだわり」のない道彦の作る夕ご飯は、あり得ないものが入っている料理ばかり。
休日のデートは近所のスーパー。
お互いに気負いがなく、それぞれを大切にする2人の行方は…
占いの師匠ジュリエ青柳
間食を欠かさない、膨よかな占い師ジュリエ青柳。
ルイーズ吉田が占い店を営むキッカケになった師匠のような存在。
彼女の占いは「ほんもの」のようです。
「終わり」が見える大学生 武田
ルイーズ吉田の占い店をふと訪れた、不思議な大学生。
関西弁で誰にもフレンドリーに接する彼には、「その人の終わりが見える」力が………
占い師になった単純なきっかけ?
人と仕事をすることに疲れ、自分だけで働く仕事を探し、見つけたのは占い師。
ショッピングセンターの一角で女子高生や若い奥さんらをお客さんに、恋の相談、進路の相談、家庭のこととさまざまな悩みに応えるルイーズ吉田。
占い店を訪れる人が求めるものは、決断のちょっとした後押し。
巧みな話術で悩み事に応じる占い師と、悩みを抱えるお客さんの物語。
ショッピングセンターという身近な空間
ショッピングセンターという身近な空間で営まれる占い店。
占い師もまた人間。
「星」や「姓名診断」で応えるルイーズ吉田、決して占いの結果だけではなく、お客さんの悩みに向き合ったアドバイスをする。
お客さんは占いの結果ではなく、そんなルイーズ吉田のアドバイスを求めているのかもしれない…
キーワードは「運」、テーマは「未来」?
占い師の日常を描いた『強運の持ち主』、キーワードは「運」。
人は生まれ年で決まる「星」、生年月日と姓名で決まっている「運勢」を持っている。
そして、生きていく時間の中で変化する「運勢」は、その人の「未来」も変化させる。
例えば食事で「塩分」を取りすぎることで、「高血圧」になる人は多く、さまざまな「病気」を引き起こしてしまう。
運勢は、変化させることもできる。
高血圧を治すために塩分を控えるように。
それなら、「未来」はいい方向に変えることができるのでは……?