『頭が良くなる思考術』
著者 白取春彦
出版社 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
分類 実用書、考え方の本
出版日 2005/10/10
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
今月の本は、哲学者 白取春彦さんの『頭が良くなる思考術』です。
ヨーロッパの哲学、東洋哲学、さまざまな世界中の宗教から暮らしに役に立つ考え方を集めた「考え方の教科書」といえる1冊。
今回は、世の中を不安にさせている新型コロナウイルスと向き合うための「クリアな頭」をつくる方法をテーマにしてみます。
考え方の教科書を探して
生き方のヒントが書かれた「考え方の教科書」探し、花水(hanami)の本探しのテーマでもあります。
人生の教科書ともいえる幸田露伴の現代語訳『超訳 努力論』、仏教の考え方の本では『超訳 仏教の言葉』があります。
1度、海外の思想や哲学も含めた広い考え方の本が読みたいと思い、『頭が良くなる思考術』を手に取りました。
白取春彦さんの紹介
『頭が良くなる思考術』の著者は、哲学者としても有名な白取春彦さんです。
隙間時間で読める読みやすさ
『頭が良くなる思考術』は、1〜2ページに1つのキーワードで文章もわかりやすく書かれています。
通勤通学の時間や休憩時間など、「隙間時間」に読みやすい本です。
見開き2ページに1つのキーワード
・はじめに
・Ⅰ「答えを出せる」頭をつくる p12〜p42
・Ⅱ「迷わない」頭をつくる p44〜p73
・Ⅲ「楽しく生きる」頭をつくる p76〜p96
・Ⅳ「クリアな」頭をつくる p98〜p126
『頭が良くなる思考術』は、考え方をテーマに「答えを出す考え方」「迷わない考え方」「楽しく生きる考え方」、その考え方をいつでもできる「クリアな頭のつくり方」を4つの章でまとめられています。
それぞれの章には、1〜2ページに1つのキーワードが解説されています。
6つの種類の考える
1.利己的選択の思考
2.経験の反省にもとづいた思考
3.感情的混乱の妄想
4.知識の連絡による思考
5.本質把握のための思考
6.論理的思考
・はじめに
心理学を学ばれたり、メンタルヘルスに携わる方はご存知と思いますが、「考える」ことにはいくつかの種類があります。
自分にとっての損得で考える「利己的選択の思考」。
個人的な経験と周りの習慣から結果を予想する「経験の反省にもとづいた思考」。
マイナス思考の私が陥る、事実と想像が混ざり合った「感情的混乱の妄想」。
文章やデータから状況を理解する「知識の連絡による思考」。
何がもっとも大切なことなのかを、信頼できる資料や経験から導き出す「本質把握のための思考」。
抽象的思考とも呼ばれる、分析と考察のみ冷静に行う「論理的思考」。
白取春彦さんによると、この中から思考の方法を選ぶのではなく、2〜3個の思考を組み合わせて私たちは物事を考えているようです。
例えば、こうしてWebページを書いている花水(hanami)は、最近の話題に合わせて記事の内容を「経験の反省にもとづいた思考」で考えながら、本の中の情報を「知識の連絡による思考」で考えてるはずです。
暗い話題ばかりの今役に立つ考え方
最近は、新型コロナウイルスに感染される方も増え、不安になることもあります。
そこで、考え方の本の教科書でもある『頭が良くなる思考術』に書かれていたヒントを選んでみました。
俯瞰する眼
「近視眼的」といつ言葉がある。自分のすぐ目の前にある事柄ばかりを見ているから、その場だけの見方、狭い判断しかしていないという意味だ。
中略)
もう一つ必要な眼は、全体的に見渡す眼だ。今自分が関わっていることが、あるいは自分のやり方が全体の中でどの位置にあって、どのような役割を果たしているのかという見方をする眼である。
中略)
さらに、もう一つの目がある。これは時間的にも空間的にも広く俯瞰する眼である。その眼で自分があたかも他人であるかのように遠くから眺めるのである。
・Ⅱ「迷わない」頭をつくる p59〜p60
虫の眼、鳥の眼、魚の眼という物事の見方はご存知の方もおられると思います。
虫の眼は、ミクロの視点とも呼ばれ物事を細かく見ることをいいます。
鳥の眼は、マクロの視点と呼ばれ物事の全体像を把握する見方です。
そして、魚の眼はトレンドの視点と呼ばれることもあり、魚が潮の流れや他の魚の群れを見るように時代の流れを把握する見方です。
白取春彦さんのいわれる俯瞰する目は、今起こっていることは世の中でどう見られているのか?
そして今の世の中の流れから、今後はどんな方向に進むのかを予想しながら物事を見る視点を持ちましょうということです。
正しい知識
聖書には、「あなたがたも神のようになりなさい」という言葉がある。
確かに、聖書にはその一文はある。しかしそれは、人が神のようになれという意味ではない。「あなたがたも神のように深く愛する人になりなさい」という意味なのである。
こういうふうに、半端な知識と勝手な解釈によって、大きな誤解が生まれる。
中略)
結果、起こってくるのは差別、排斥、障碍、戦争である。
・Ⅱ「迷わない」頭をつくる p71〜p72
誤解が生まれることの理由の1つに、誤解した方が正確な知識を持っていないことが上げられます。
この情報は、もちろん正しい情報です。
ですが、情報の1つでしかありません。
新型コロナウイルスは、くしゃみや咳などの飛沫で感染るためマスクは確かに効果があります。
もう1つは、感染した方が口や鼻を触った手から感染る接触感染があるといわれています。
「新型コロナウイルスの予防方法の1つにマスクがある」
という情報が、「マスクをしていれば大丈夫」と解釈され他のことが見落としがちになる。
その結果、マスクの品切れや感染症専門家の方が指摘されたようにクルーズ船内で感染予防が徹底されていない誤解を招き、次々と感染が広まってしまったのではないでしょうか?
頭を休める
子供に段ボール箱を与えてみるといい。子供は段ボール箱の中に体を入れて、全く穏やかになってしまう。安心と休息を得るのである。
中略)
子供に段ボールを与えても長時間そこにうずくまっているわけではない。ほんの十分もたたないうちに箱から出て、新たな遊びを始めるのがふつうである。
それと同じように、私たちの脳も、肉体が必要とする長い休息よりもずっと短い時間の休息で復活するようにつくられているのである。
・Ⅳ「クリアな」頭をつくる p100〜p101
身体を休めるように、頭も休めることは大切。
これは、かつて常に身体と頭をフル回転させて働いていた私が実感していることでもあります。
20代で体力もあった頃には、少しくらいの睡眠不足や疲れは気にならないものでした。
ですが、イライラする時も気分が沈む時も多くありました。
ほんのひと時、頭を休める時間を作っていたら良かったんですね。
お仕事なら昼休みの一服でも、おやつタイムでも、10分間の昼寝もあります。
家に帰ってからは、お風呂の時間、トイレの時間、寝る前のほんの少しの時間。
頭が「何もしていない」時間を作ってあげてはいかがでしょうか?
頭をクリアにして世の中と向き合う
白取春彦さんの本の中から、頭をクリアにする方法を取り上げてみました。
世の中は誰かの思惑で成り立っている
1つは、世の中は誰かの思惑で成り立っていること。
身近なことでは、会社員の方が働かれている会社員は経営者や関連企業の思惑で仕事が生まれます。
最近、世の中を不安にさせている新型コロナウイルスの報道にも当てはまるのかもしれません。
頭をクリアにして冷静に考えたい
世の中に広まる情報が、誰かの思惑で広められているとするなら。
どの情報の背景にどんな理由があるのか?深く考えていかなければならなくなります。
そんなとき、頭をクリアにして冷静に物事と向き合える考え方が必要です。
『頭が良くなる思考術』には、頭をクリアにする方法がたくさん書かれていましたよ。
今回は、情報が入り乱れる新型コロナウイルスとの向き合い方に役立つ考え方を取り上げてみました。
次回は、また別の視点の考え方を取り上げてみたいと思います。