お客様第一主義を改めること
日本のおもてなしが称賛される一方で、悪質なクレーマーに悩まされたり、なかなか上がらない収入に不安を感じる日々。
海外観光客が少なくなったコロナ禍では、お客様第一主義も見直しが必要なのではないでしょうか?
お客様第一主義とは?
お客様第一主義、顧客第一主義は企業の経営理念の1つで、「顧客の利益を第一に考える」方針です。
はじまりは、1970~80年代の高度成長時代に「作りたい商品を作って販売すれば勝手に売れる」という「売り手第一主義」の反動から生まれたものとされています。
参照:「お客様第一」がスローガンの会社は、なぜ「お客様第一」でないのか:こだわりバカ(2/5 ページ) - ITmedia ビジネスオンライン
世界から「日本のおもてなし」と称賛を受け人気を集めていますが、「お客様は神様です」と何でも言うとおりにしてしまうなど過度な方針に傾いたまま、多くの問題を生んでしまいました。
お客様第一主義の弊害
海外から称賛されている「日本のおもてなし」。
日本の文化と日本人の人となりが映る言葉ですが、良い面だけではありません。
価格競争
販売する商品が安いほどお客様が喜ぶから、私のような一般的な暮らしをおくる消費者にとって、安さは魅力的です。
同じ品質なら、より安い商品が選ばれるのも自然です。
「隣町の店より安く」
「それならウチはもっと安く」
チップの習慣ない日本では、提供するサービスも含めた商品の価格を下げすぎてしまった結果、利益が僅かしか出ないほど価格競争は進んでしまいました。
過剰サービスとクレーマー
消費者目線では、お客様第一主義が一般常識のようになり、日本国内ならどこへ行っても最高のサービスが受けられると思ってしまった私たち。
笑顔を絶やさず、敬語を一字一句誤らず、お客様の気分を損ねたら謝ることが求められる過剰サービス。
高級旅館とコンビニで同じ質のサービスが求められ、些細な言い間違いでも「店長を呼べ!」と言うクレーマーが現れます。
お客様第一主義であることが当たり前の世の中では、働いている従業員の方の苦労も絶えません。
中には、利用していない人が「お客様のふり」をしてクレームだけ言うこともあります。
そもそも、お客様ですらない人はクレームを言う権利もないのですが……。
「制服姿でサボるな」 休憩中の配達員にクレーム頻発、あり得ない不寛容さから見える没落日本のリアル | Merkmal(メルクマール)
お客様第一主義は世界的には間違っている
日本の「おもてなし」は、なぜ海外から称賛されているのでしょう?
それは、お客様第一主義は「当たり前ではない」からです。
世界:接客の質と料金は同じ価値
海外では、接客の質と料金は同じ価値があります。
特に欧米では、サービス料、チップを支払う習慣があります。
高級レストランのホールの方が「本日のメインになります」と丁寧に料理を運び、何も言わなくてもグラスに水を注いでくれたなら、高額のサービス料を支払います。
日本:接客の質が高くても料金は低い
一方で日本国内では、接客の質が高くても料金は低いことが当たり前のように思われています。
10分ほどで食事を終える方が多いファストフード店でも、高級レストラン並の気づかいを当たり前のように受けています。
サービス料は支払わないのに…。
お客様はどこかの従業員
お客様第一主義の「お客様」の中で、高級料理を注文しMade in Japanのブランド品を購入してくれる海外セレブの方は、ほんの僅かです。
お客様とは?
それは、同じように暮らしていて隣のお店で働いている「どこかの従業員」の方、そして私たち国内で普通の暮らしをしている人々。
お客様第一主義を改めると…
お客様が神様なら、私たちは神様なのでしょうか?
たぶん、違うはずです。
ただただ敬って大切にするだけではなく、お客様の方もお店や従業員の方に寄り添う。
なぜなら、自分もそうしてもらえるようになるから。
だから、経営者の方はお客様よりも従業員
をまず大切に考えてはいかがでしょう?
過度なサービスを改めて価格相応の簡素な対応にしてもいいですし、利益を上げて従業員に還元するため値上げをしてもいいでしょう。
なぜなら、その利益が巡ってくるのは、自分のお店や商品。
循環型社会というのは、そういうことなのではないかな?と最近思います。