『アウトドアテクニック図鑑』寒川一
著者 寒川一(さんがわはじめ)
出版社 株式会社池田書店
分類 実用書、アウトドア
出版日 2019/4/18
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
今回は、キャンプ界の伝説 寒川一さんが書かれた、はじめてのキャンプをされる方にもベテランキャンパーの方にもおすすめのキャンプの本を紹介させていただきます。
キャンプ歴40年のキャンプ界の伝説 寒川一さん
著者の寒川一さんは、アウトドアライフアドバイザーの肩書を持つキャンプ歴40年の大ベテランキャンパーです。
奥さまの寒川せつこさんは、北欧ソト料理家としてアウトドア料理を専門に研究され、ご夫婦ともにキャンプ界の伝説として多くのキャンパーに影響を与え続けています。
寒川一さんの経歴
1963年に香川県で生まれた寒川一さんは、大手玩具メーカーで商品企画を約10年務められていました。
バブルが近づき、労働時間と収入が伸び続けたある日の通勤中、反対のホームから出かけるレジャー客に出くわしたことがアウトドアに興味を持つきっかけになったと語られています。
その後、体験したアウトドアを通して、日常から非日常へ出かける開放感を多くの方に伝えたいと感じた寒川一さんは、2012年に神奈川県を拠点にSTEP CAMP(ステップ・キャンプ)を立ち上げます。
2015年には、STEP CAMPを法人化しアウトドアのノウハウを伝える活動を始められます。
また、東日本大震災を機にキャンプの技術を防災の備えに役立つ『防災キャンプ』を提唱、アウトドアライフ企業「UPI OUTDOOR PRODUCTS」のアドバイザーとしてキャンプ教室や配信、メディアへの出演でアウトドアの素晴らしさを伝え続けています。
本の構成と読みやすさ
今回紹介させていただく『アウトドアテクニック図鑑』は、全てのページで画像とイラストつきで、Webサイトを読むように読み進めることができます。
『アウトドアテクニック図鑑』本の構成
はじめに p8〜p9
PART1 基本と準備 p13〜p36
PART2 住空間の工夫 p37〜p54
PART3 焚き火をしよう p55〜p78
PART4 焚き火料理 p79〜p108
PART5 刃物を使いこなす p109〜p128
PART6 ウッドクラフト p129〜p140
PART7 ロープワーク p141〜p162
PART8 冒険に出かけよう p163〜p181
スカンジナビアアウトドアの魅力 p182〜p191
本の内容は、キャンプの基本が書かれたPART1から、シーン毎のアウトドアの計画づくりを具体的にまとめたPART8までの8章で構成されています。
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
具体的なアウトドアテクニックの紹介は、全て画像つきで解説され、普段読書をされない方でもとても読みやすいキャンプの教科書でしたよ。
キャンプの全てが書かれた本が読みたい
花水(hanami)が読書と同じくらい、季節によってはそれ以上に楽しみなことがキャンプなんです。
キャンプでわからないことややってみたいことは、キャンプ芸人さんの番組やWebサイトで調べていますが、手元にあってさっと読める本を探していました。
見つけた1冊が、アウトドアライフアドバイザー寒川一さんの『アウトドアテクニック図鑑』でした。
キャンプの心構えから焚き火、刃物を使ったブッシュクラフトやロープの使い方まで画像とともに教えてくれるキャンプの教科書といえるはず。
キャンプに関するノウハウは、別の機会にさせていただき、本に書かれている寒川一さんのキャンプ観を取り上げさせていただきますね。
キャンプの楽しみ方は?
それではいよいよ、キャンプ歴40年の寒川一さんが見つけたキャンプの楽しみ方に迫らせていただきます。
不便を楽しむとは?
手間とはなんだろう。
手間とは手と手の間、手と時間ともとれる。手をかけず、時間をかけずに得たものはなんだろうか。そして失ったものってなんなんだろうか。
今、アウトドアの世界も例外ではない。手間を省き、時間を短縮するような便利なもので溢れている。でももしそれがなくなったら……。
PART1 基本と準備 p18
こうしてブログを更新している花水(hanami)の手にはスマホ、家の中には当たり前のように夜でも明るいライト、真夏でも快適に過ごせるエアコンがあります。
数年前に経験した数日間停電では、キャンプ用のライトで薄暗い夜を過ごし、毎日温度が下がる冷凍庫から傷みやすい食べ物から、少しでも無駄にしないように大切に食べていました。
キャンプでは、ライトはテントと手元を照らし、捜し物をするときには何度も動かさなければなりません。
不便ではありますが、「どうしたら」「なにができるか」を常に考えることができ、集まる虫を見て、「明かりが欲しいのは人だけじゃあないんだなぁ」と他の生き物の存在を感じることができる。
寒川さんが書かれた「不便を楽しむ」ことは、「気づく体験」をさせてくれることなのかもしれないと私は思います。
焚き火で感じる時間の流れ
焚き火には不思議な力がある。炎を眺めていると気分が落ち着き、心も体もリラックス。そして、揺れる炎に吸い込まれるように時は過ぎてゆく。
PART3 焚き火をしよう p56
キャンプで焚き火を経験された方は実感されたかと思いますが、ゆらゆら煌めく炎は何故か安心感を与えてくれます。
暖まることができ、調理した料理を食べることができる安心感を私たちの体が覚えているからなのかもしれませんよね。
与えられたものに感謝
一晩の暖と調理のための熱源を与えてくれた焚き火。その場を撤収する際には、感謝の意を表し、丁寧に後始末をして元通りにしよう。
PART3 焚き火をしよう p76
キャンプは楽しくても、帰る時間には「もう過ぎてしまった」と時間が進む儚さを感じます。
片付けや後始末は「面倒なこと」ではなく、自然が与えてくれたものに対する感謝を思い返す時間なのかもしれないですよね。
良いも悪いも天気
アウトドアは天候の影響をモロに受ける環境にある。悪天候でも無事に戻ってこられるように、計画には避難ルートもきちんと盛り込んで対策しよう。
PART8 冒険に出かけよう p174
元々雨や雪が嫌いな花水(hanami)は、キャンプで天気が悪くなると「早く晴れないかな」と天気が良くなることばかり考えています。
アウトドアは自然とともに過ごす時間、自然は人の思い通りにはならないものです。
自然だけではなく、自分の思い通りになることの方が、この世界では少ない、ほとんどないのかもしれません。
天気が悪いなら、そうなったときに何をするかを考えて予定をたてる。
出かける前の心の準備をしておくことが、キャンプを楽しむ秘訣ということなんですね。
自然に感謝して、来たときよりも綺麗に
本の中にそのままの言葉が書かれてはいませんが、読み終えた後に今までのキャンプを思い起こして大切にしたいと感じたことがあります。
それは、「自然に感謝して、来たときよりも綺麗に」ということ。
キャンプ場から帰る時には、後片付けを終えたあとサイトを見回り、燃え残りやゴミがないかを点検してから撤収しています。
それでも、忘れ物をしてしまうことも……。
改めて、楽しい時間を過ごさせてくれた自然に感謝して、挨拶の意味を込めて来たときよりも綺麗にしてから帰るように心がけたいものです。
『アウトドアテクニック図鑑』がお勧めの理由
2023年の今もキャンプブームは続いていて、花水(hanami)がキャンプをはじめた頃よりも楽しみ方の種類もキャンパーも増えているのかなぁと実感しています。
『アウトドアテクニック図鑑』は、これからキャンプを始めようと思われている方、元々他の趣味があって外出制限を期にキャンプをはじめた方へ、おすすめのキャンプの教科書とおすすめできる1冊ですよ。
キャンプの経験が暮らしにも活かせる
この世には自分でコントロールできることとできないことがある。自己の最良の道具と知識と経験に加えてこの精神をもてば、大抵の状況を乗り越えることができる。創意工夫と臨機応変はまさに魔法の言葉だ。
スカンジナビアアウトドアの魅力 p190
キャンプやアウトドアは、普段の暮らしを離れた時間を体験する素敵な楽しみだと思います。
キャンプのために身に着けた技術は、そのまま防災にも役立つことは花水(hanami)も停電で実感することができました。
寒川一さんも書かれている工夫のアイデアが次々と生まれる創意工夫、目線を切り替える臨機応変は普段の暮らしにも役立つ考え方でもありますよね。
キャンプを始めようか、どう続けようか迷う方へ
便利でカッコいい道具に囲まれたキャンプもいいけれど、ベーシック(基本的)でプリミティブ(原始的)なキャンプも魅力的です。それはキャンプシーンのみならず日常生活にも必要なものであります。本書ではそうした知恵や技術を、はじめて体験する子どもに教えるかのようにやさしくていねいにまとめました。
はじめに p9
花水(hanami)は、今もこれからもキャンプを楽しみ続けます。
キャンプブームが終わったとしても、密かな趣味として続けているはずです。
これからキャンプを始めようか迷われている方、元々の趣味ができるようになり、キャンプをどう続けようか迷われている方もいらっしゃるかと思います。
『アウトドアテクニック図鑑』は、キャンプに興味のある方にとって、正しい知識と豊かな技術を教えてくれる教科書になってくれるはずですよ。
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