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クリスマスが近づく12月の東京が舞台の小説 『キャロリング』有川浩

キャロリング有川浩

キャロリング (幻冬舎文庫)

著者 有川浩
出版社 株式会社幻冬舎
分類 小説
出版日 2017/12/10(単行本2014/10/23)
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい

今月は、物語の舞台が12月の東京を描いた有川浩さんの『キャロリング』を紹介させていただきます。
実は昨年の12月に読んでから、物語の世界と同じ12月に紹介しようと思っていた作品なんですよ。

素適な読書ブログが集まるグループです↑

キャロリング』の登場人物


キャロリング』は、有川浩さんの描く人間味あふれる6人の登場人物が「すぐ隣にいそうな」日々を過ごしています。
読者さんは、誰の目線で物語の世界を訪れてみますか?

大和俊介(やまと しゅんすけ)

大学のアルバイトの頃から出入りしていたエンジェル・メーカーの西山英代を慕い、卒業は営業担当として採用された32歳。
一見無愛想で好き嫌いのハッキリしている反面、気がつかない手間を惜しまない努力家でもある。


折原柊子(おりはら とうこ)

大和の3年後輩のデザイナーで、大和と同じ32歳の女性。
大学進学とともに新潟から上京し、男の子向けのシンプルなデザインを得意としている。
知らない相手にも気づかいを欠かさず、気持ちと価値観が込められた正直な言葉で年齢を問わず相手に慕われている。


西山英代(にしやま ひでよ)

ショッピングモールの一角にあった子供服店を、夫ともにエンジェル・メーカーを人気子供服メーカーに成長させた経営者。
アルバイトから入社した大和とは、彼が物心がつく前から実の子供のように接していた。
四捨五入すると還暦ながら、可愛らしいファッションセンスと裏表のない目線で少女のような道徳の印象を持たれている。


朝倉恵那(あさくら えな)

エンジェル・メーカーに中途就職した、33歳の社内一番の新顔。
営業から事務までこなす美人で高学歴の「できる女性」の一面と、きつい毒舌の僻み屋の2つの顔を持っている。


佐々木勉(ささき つとむ)

エンジェル・メーカーのデザイナーで、社内では「ベンさん」と親しまれる一番の古株。
ふくよかな体格と39歳には似つかわしくない童顔が印象的な、年齢不詳の不思議な男性。
子供服らしいフリルやレースを駆使した、ふわふわ系のデザインを得意としている。


田所航平(たどころ こうへい)

エンジェル・メーカーの学童保育に通う小学6年生。
いわゆるキャリアの母親 圭子、別居中の父親 祐二と過ごしていた頃を懐かしみながら、希望と現実の間で揺れ動く日々を過ごしていた。




年越しを迎えられない会社


東京都月島に事務所を置く『エンジェル・メーカー』は、セミオーダー服がファンを集め、不況の中でもひと目おかれる人気子供服メーカーだった。
3年前から事務所内で始めた学童保育も、働く女性の多い地域柄、保護者の信頼を得て軌道に乗り始めた矢先、社長を含め5人の社員にとって穏やかな年末とはほど遠い状況が訪れていた。
昨今の不況で大型量販店が閉店した影響で、取引先を失ったエンジェル・メーカーは、年越しを迎えることなく倒産が決まってた……。


物語の舞台は12月の東京


物語の舞台は、鮮やかな飾り付けが夜を照らす12月の東京都内。
イベントが楽しみなカップル、年末の2つのお祝いが楽しみな子供たち、年の瀬の季節感に哀愁を持つ世代。
街のあちこちに、1年の中でも季節感の色濃い冬が訪れていた。




ひとつの終わりは、何かの始まり?


年内の倒産が決まったエンジェル・メーカーでは、残務処理が手につかないほど過ごした日々を懐かしく語り、社長の西山英代とデザイナーの佐々木勉の提案で忘年会の計画が進められていた。
仕事に出会いに、希望を抱いて集った5人の会社員にとって、集いの場が終わろうとしている。
営業を続ける学童保育には、両親の関係で揺れ動く田所航平が秘めた思いを語れずに時間が過ぎようとしていた。
ひとつの終わりは、何かの始まりになるのだろうか……?
有川浩さんの描く人間模様が素敵な、冬の季節にぴったりの物語のゆくへは……。




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