『ぼくたちのアリウープ』五十嵐貴久
著者 五十嵐貴久
出版社 株式会社PHP研究所
分類 青春小説
出版日 2015/5/22
読みやすさ ☆☆☆とても読みやすい
七色のジャンルを執筆する小説家 五十嵐貴久〜紹介とおすすめ作品 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ
今月の本は、五十嵐貴久さんの青春小説『ぼくたちのアリウープ』の紹介です。
バスケットボール好きの方、熱かった「あの頃」を振り返りたい方、そして青春の時間の中を過ごす方におすすめの小説ですよ。
素適な読書ブログが集まるグループです↑
『ぼくたちのアリウープ』の登場人物
『ぼくたちのアリウープ』は、青春をバスケットボールに傾けた高校生が活躍する物語。
物語の中心になる新入生を取り上げてみると、バスケットボールのチームの人数のような……。
斉藤順平
バスケットボールの強豪、私立国分学園高校での活躍を夢見る高校1年生。
愛称は、呼びやすさと雰囲気ですぐに決まるジュンペー。
身長179cmと中学校の部活の中では大きい方で、直感の判断を活かしたラフなオフェンス力が自慢。
元々の勉強嫌いが災いして、バカ王と呼ばれることも……。
鶴田学
身長185cmで、1年生の中でもオフェンスもディフェンスも技術力が高い。
愛称は名字のツル。
スポーツ推薦で入学しても勉強を疎かにせず、優等生でもある。
坂田隆盛
大阪から1人で上京した、好奇心旺盛で陽気な1年生。
170cmのスピード自慢で、モンキーの愛称の通り猿の身のこなしのような機敏なドリブルが自慢。
野川靖
180cmの長身にメガネをかけた、一見すると知的な雰囲気の1年生。
運動部未経験ながらも、とある理由でバスケ部入部を志すことになる。
宇藤公平
ドッポに引けを取らない190cmの長身と、恵まれた体格を持つ1年生。
チームのシックスマンとして、ジュンペーたちとともにバスケットボールに励むことになる。
新入生の春とともに始まる物語の始まり
都立中学校でバスケットボール漬けの3年間を終えた主人公ジュンペーは、何かの偶然が重なって文武両道の強豪校 私立国分学園高校への入学を果たしていた。
生徒全員が部活動に加わる国分学園では、運動部も文化部に続々と入部届が提出される季節になっていた。
念願のバスケ部に入部届を提出したジュンペーは、説明のために集められた職員室でバスケ部に関する、とある事実を告げられることに……。
バスケットボールの試合展開そのものの世界観
『ぼくたちのアリウープ』の舞台は、2000年代から2010年代前半の東京都内の高校。
強豪校での活躍を公言する主人公ジュンペーの目の前に起こる出来事は、バスケットボールの試合のようにスピーディーに流れていた。
青春真っ盛りの高校生から汗のように溢れる情熱、突き進むエネルギーが行き交う世界観が魅力の作品です。
キーワードは希望
希望を抱くと、叶わないかもしれない不安、妨害をしてくる出来事や人物への憤り。
いっそ諦めたほうが楽なのに、現実ではそう思ってしまい、そうした方が過ごしやすいこともありますよね。
反対にしてみると、希望は突き進むエネルギーにもなり、立ちはだかる壁は挑戦したくなるミッションにも見えてきます。
希望を信じて進むこと、大人になってからも振り返りたい青春が作品の中で描かれています。
主人公目線で目まぐるしく過ぎる展開、まっすぐなに駆け巡る展五十嵐ワールド全開の物語が『ぼくたちのアリウープ』のいちばんの魅力です。
一気読みしたくなる青春小説です。