わかりやすく〈伝える〉技術の活用
著者 池上彰
出版社 株式会社 講談社
分類 ビジネス書、実用書
出版日 2009/7/20
読みやすさ ☆☆★読みやすい
スピーチにプレゼン、普段の仕事の報告や書類作成に役に立つ伝える技術。
話す、書くそれぞれのノウハウがわかりやすく紹介されています。
お話や文章の「リード」を作ることが伝えやすい話になる理由
話の地図「リード」
私は、わかりやすい説明とは、相手に「地図」を渡すようなものだと考えています。説明のための「地図」。それを放送業界では「リード」と呼んでいます。
中略)
例えば、発表するとき、「これから○○分間、何々についてお話しします。私が言いたいのはこういうことです」と言ってから、「そもそも………」と続けてはどうでしょう。
聞き手はみな「結論はそこに行くんだな」と目的地がわかりますから、途中のルートについてと一生懸命聞く気になります。それがないまま話が始まってしまうと、途中で迷路に連れ込まれるような気がします。
p18-19 第1章 まず「話の地図」を相手に示そう
「リード」文はブログで記事を書かれている方には聞いたことがある言葉でもありますよね。
私はブログではあまり意識していませんが、「こんなお話です」と話や文章で本題を伝える前に簡単なまとめを伝える方法でもあります。
講演会などで、難しい話を突然始める講師の方もいますが、「リード」がないと集中力のない私は途中で「今話のどの部分?」と迷子になってしまいます。
リードを書こうとすることで、内容がまとまる
情報を伝える相手に「地図」を渡すためには、その地図を描かなければなりません。そのためには、現地の全体像な頭に入っていなければなりませんね。つまり、内容がまとまってこそ、「地図」を渡せるのです。
p23 第1章 まず「話の地図」を相手に示そう
この「リード」を準備する効果は、お話を聞く側の方や文章を読む側の方だけにいいわけではありません。
話す側、書く側も自分の話したいことや書きたい内容を自分で整理することもできます。
内容を箇条書きにしてみる
あなたが人前で話をするときには、たいていの場合、メモを用意するのではないかと思います。ここまで述べた「話の相手にリードという地図を渡す」ことは、このメモ作りに生かせます。
中略)
1 話すべき内容をまず箇条書きにしてみましょう。
2 その箇条書きにもとづいてリードを作りましょう。
3 今度は箇条書きの内容がそのリード通りになっているかを検討しましょう。
4 リードにふさわしくないところが出てきたら、順番を変えたり削除したり付け加えたりしましょう。
p30 第1章 まず「話の地図」を相手に示そう
いったいどうやったら「リード」を準備することができるようになるのかは、ここに書いたとおりになります。
①箇条書きにする
②箇条書きの内容にそってリードを書いてみる
③箇条書きと照らし合わせる
④「リード」の内容を自分で添削する
実際に私がプレゼンテーションをするときにも「リード」を作成して取り組んでみました。
私の場合はプレゼン時間は3分から15分ですが、時間に関わらずプレゼンの話し始めにスムーズに入れる事と、途中で内容を誤ったり脱線してしまわない効果がありましたよ。
発表の3段階
まずは具体化
わかりやすい説明とは、常に具体的でなければいけない。これが大原則です。
講演会でもプレゼンテーションでも、つかみから結論まで抽象的な話に終始すると、「では具体的にはどういうこと?」と聞き手は欲求不満になります。
P162 第7章 すぐ応用できる わかりやすく〈伝える〉ためのコツ
プレゼンでは「物事の成果」であったり、「実体験」などのエピソードを準備する必要があります。
このエピソードが「具体化」になります。
まず、プレゼンテーションの大原則でもありますが事実を伝えることで聞く側の方に物事を知ってもらう必要があると池上彰さんも言っています。
次に抽象化
一方で、具体的な話だけで終わってもいけません。具体的な話ばかりですと聞いているときは面白いのですが、終わったあとで、「で、何を言いたかったのかな」という欲求不満が残るからです。
中略)
「抽象化」という言葉は「一般化」と言い換えてもいいでしょう。聞いている人は、単に具体的なエピソードだけではなく、それを抽象化・一般化してまとめた内容も聞くことによって、「大事なことを聞いた」とか「新しいヒントを得た」という気持ちになれるからです。
P162 第7章 すぐ応用できる わかりやすく〈伝える〉ためのコツ
そして、先程の具体的なエピソードを抽象化することで聞く側の方に「自分に関係すること」として覚えてもらえる効果もあります。
抽象化の方法は「物事の成果」が今後どのような役に立つか、「実体験」を聞く側の方に身近な例えで置き換えて伝える方法です。
例を上げると、「インフルエンザの予防にはマスクをつけて飛沫感染を防ぐ事が大切」という話題では「マスクの繊維の隙間が5ミクロン、飛沫感染で飛ぶウイルスの塊は5ミクロン以上であるためマスクの繊維に絡まり感染を防ぐことができる」という結果があるとします。
聞いていると「へ~」と思うかもしれませんが、ミクロンが何なのかもイメージしづらいですよね。
このような話しではいかがでしょう?
風に乗って飛んでくる1粒の砂をウイルス、マスクを網戸と思い浮かべて下さい。
砂が風に乗って飛んでくる場合が空気感染です、これはマスクの網戸では防ぐことができません。
ですが、飛沫感染の砂は水分と混ざって泥はねのように塊になって飛んできます、飛んできた泥はねは網戸に引っかかり家の中にまで入ってくることはほとんどありません。
私が思いついた例えなので上手ではないかもしれませんね。
さいごにまとめ
先の「三つのルール」に従って話の内容を多きく三つに分けたなら、それぞれに具体的な例を紹介し、それぞれのまとめで一段、抽象化を行いましょう。
そして、その三つのブロックの後で、最後に全体の大きなまとめをします。
P162 第7章 すぐ応用できる わかりやすく〈伝える〉ためのコツ
ここでいう「三つのルール」は「3点ルール」や「3の魔術」など、物事を3つに分けて伝えることで相手に伝わりやすいといわれることです。
3つのテーマ→分解して 1つのテーマ=①具体化②抽象化③まとめ
で構成し、最後に大きなまとめを行うことで「リード」で触れた最も伝えたかったことを再確認する効果があります。
実用的な3分間スライドの作り方
発表の原則
3分間プレゼンの場合はテーマは1つでしょう。
発表のスライドでは原則があります。
プレゼンに慣れている方はすでに当然になっているかもしれませんね。
①文にしない
②読み上げない
③パッと見て理解しやすい図解を活用
この3つの原則をふまえた上で大切なことは、3つの項目に分けることです。
1項目はリードで「プレゼンの目的」を伝えます。
リードの効果は先ほどお話しした通りですね。
2項目では問題点を解決したい場合「現状」をまとめた報告になります。
そして最後の3項目が問題点をまとめた「結論」、もしくは「提案」で新しいアイデアのもたらす効果を示します。
発表時間
次にどのように発表時間の割り振りをするかです。
3分間から冒頭と結論の後の挨拶を差し引くと、おおよそ2分半の150秒です。
先ほど3つの項目に分けたので1つの項目は50秒になります。
落ち着いた話し方でゆっくり伝えると効果的と言われています。
スライドの切り替えや「話の間」も入れると1つの項目で40秒が妥当な時間になります。
スライドの枚数
今さらお伝えしなくても伝わってしまっていたら、私も少しは「わかりやすく伝える」ことができているのでしょうか?
1つのテーマを3つの項目に分けて、1つの項目は40秒で発表するとなると、必要なスライドは3枚になります。
ただし、情報の詰め込みは禁物ですよ。
発表の3つの原則に照らし合わせてスライドの構成を考えてみましょう。
まとめ
池上彰さんのわかりやすく〈伝える〉技術はいかがでしたか?
ここで、かっこよくまとめれたら私も一流のブロガーに近づけるのですが、残念ながら3.5流です。
そんな私でもプレゼンを勉強することができるわかりやすく〈伝える〉技術はお勧めの1冊です。
日本国内のプレゼン向けですぐに応用でき実用的といえます。
それを情報のエキスパートである池上彰さんが書いているのですから、もちろん信頼性はありますよね。
そして新書サイズで、図解や実例があり読みやすい1冊です。
さっそく明日からのプレゼンを見直すのに読んでみませんか?
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www.yu-hanami.com
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