プレゼン、仕事、Webに役立つ池上彰の「伝える3部作」
名解説者 池上彰さんの本の中でも、社会人の方の仕事にも学生さんの授業やレポート作成にも役に立つ本が「伝える3部作」です。
池上彰の「伝える3部作」というもの
池上彰さんの著書の中には、NHKキャスター、フリーのジャーナリスト、番組の解説者の経験から考えや体験を誰かに「伝える」ことの技術を紹介する本があります。
この「伝える」技術をテーマに書かれた本は、最初に書かれた『伝える力 (PHPビジネス新書)』、続編の『伝える力 2 もっと役立つ! 「話す」「書く」「聞く」技術 (PHPビジネス新書)』、『わかりやすく〈伝える〉技術 (講談社現代新書)』の3つです。
ちょうど3つの本があるため、花水(hanami)は勝手に池上彰の「伝える3部作」と呼んで、プレゼンテーションや仕事、ブログなどのWebで文章を書くことに活用しています。
池上彰の「伝える3部作」はプレゼン、仕事、暮らしの中で役に立つ
プレゼンテーションに必須
仕事の種類によっては、プレゼンテーションは必須の技術といわれることもあります。
プレゼンテーションというと、スティーブ・ジョブズのように壇上で華々しくスピーチをするイメージがありますよね。
そこまで大きなプレゼンテーションではなくても、仕事や暮らしの中でプレゼンをすることは身近にあるのではないでしょうか?
商品をお客さんに説明するとき、新しい企画を発表するとき、お得な家事や料理の方法を仲間内で紹介するとき、子育ての相談を専門の方に打ち明けるとき。
暮らしの中にある身近なプレゼンの場面で役に立つ技術が、「伝える3部作」には書かれています。
仕事でも役に立つ
ビジネスの実用書として書かれた「伝える3部作」。
『伝える力」『伝える力2』『わかりやすく〈伝える〉技術』 のどの箇所にも、仕事に役立つ内容が盛り込まれています。
中でも、報告書や日報、ビジネスメールで役に立つ「要点を短くまとめる」方法が、仕事の種類を問わずに活用できる方法なのではないかと思いますよ。
池上彰の「伝える3部作」おすすめの理由
池上彰さんの確かな信頼性
池上彰さんはフリージャーナリストとして、解説番組で日本国内の多くの方にわかりやすく物事を伝えている実績は知られています。
その池上彰さんにも、お若いときの下積み時代はあったようです。
NHKで記者として「情報の集め方と分析」、「番組記事の書き方」を身に付けた後は、キャスターとしてテレビの前の方に向けた「伝え方」を身につけてきたそうです。
現在は名城大学で大学生の講義を担当しており、「情報を集めて分析する方法」「伝える方法」そして「教える方法」の経験が豊富な池上彰さんの「伝える3部作」は信頼性が十分にある本だと思いますよ。
取り組みやすい実用性
『伝える力』は、伝える技術の具体例の後に実践的に取り組める自主トレーニングのような取り組みの例が紹介されています。
伝え方のテキストといっていい1冊です。
『伝える力2』では、芸能人や政治家の方の伝える方法の具体例をあげることで、実際の人物を真似て「伝える力」を身につけることができます。
『わかりやすく〈伝える〉技術』では、プレゼンテーションを例に上げて、発表の準備段階から資料作成の方法までを図解入りで学べる教科書のような1冊です。
池上彰の「伝える3部作」の活用例
プレゼンテーションで活用できる3つの方法
プレゼンテーションにすぐ活用できる内容は、『わかりやすく〈伝える〉技術』 にある3つの方法です。
それは、①話の地図「リード」を書く、②具体化→抽象化→まとめの発表の3段階、③3分間スライドの作り方の3つの方法。
①話の地図「リード」を書く
私は、わかりやすい説明とは、相手に「地図」を渡すようなものだと考えています。説明のための「地図」。それを放送業界では「リード」と呼んでいます。
中略)
例えば、発表するとき、「これから○○分間、何々についてお話しします。私が言いたいのはこういうことです」と言ってから、「そもそも………」と続けてはどうでしょう。
聞き手はみな「結論はそこに行くんだな」と目的地がわかりますから、途中のルートについてと一生懸命聞く気になります。それがないまま話が始まってしまうと、途中で迷路に連れ込まれるような気がします。『わかりやすく〈伝える〉技術』 p18-19 第1章 まず「話の地図」を相手に示そう
「リード」は文章を書かれたことがある方には身近な用語なのではないでしょうか?
文章全体を短く簡潔にまとめた説明書きのリード、池上彰さんは「話の地図」と表現しています。
文章を読んでもらえるか?伝わるか?は実は最初のリードでほとんど決まっているといわれています。
②具体化→抽象化→まとめの発表の3段階
わかりやすい説明とは、常に具体的でなければいけない。これが大原則です。
『わかりやすく〈伝える〉技術』 P162 第7章 すぐ応用できる わかりやすく〈伝える〉ためのコツ
「抽象化」という言葉は「一般化」と言い換えてもいいでしょう。聞いている人は、単に具体的なエピソードだけではなく、それを抽象化・一般化してまとめた内容も聞くことによって、「大事なことを聞いた」とか「新しいヒントを得た」という気持ちになれるからです。
『わかりやすく〈伝える〉技術』P162 第7章 すぐ応用できる わかりやすく〈伝える〉ためのコツ
次に文章がテーマに沿って、抽象化→具体化→まとめの流れを持っているかが大切です。
抽象化は、全体像や例えでテーマを広く説明する段階です。
具体化は、言葉の通りエピソードや実例で細かな方法を紹介する段階。
そして、「お話の全体は〜で、その結果〜ができました」というまとめの流れを持っているかが大切といわれています。
③3分間スライドの作り方
『わかりやすく〈伝える〉技術』では、リードと抽象化→具体化→まとめの流れにそった「3分間スピーチ」の方法が紹介されています。
私も作成した、3分間スピーチはこちらに詳しく書いてありますよ。
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仕事で役に立つ3つの方法
①Twitterの140文字でまとめる
限られた文字数で文章を書くには、思考を整理し、必要なことを過不足なく盛り込まなくてはいけません。ダラダラと要領を得ない書き方をしていると、字数がすぐにオーバーしています。
『伝える力2』p116 第4章 もっとわかりやすく伝える方法1 38.Twitterの一四〇字で「伝える力」を磨く
Twitterが上手になることが、なぜ仕事につながるのでしょう?
140文字となると、「ちょっとしたひと言」です。
これが何の役に立つのでしょう?
それは、「ちょっとしたひと言」は進捗報告であったり、メモ書きなどの伝言に近い文字数です。
進捗報告やメモ書きが、数秒で聞いて理解したり、読んで覚えてられるほど伝わりやすいと、職場でのコミュニケーションも円滑になるのではないでしょうか?
②A4用紙1枚にまとめる
日頃、ツイッターやブログに書き込む際も、コンパクトに過不足なく伝えることを意識すると、企画書や提案書を書く力も少しずつ向上していくように思います。
『伝える力2』p119 第4章 もっとわかりやすく伝える方法1 39.企画書はA4用紙1枚にまとめる
A4用紙1枚に報告書をまとめる技術、最近では「A4 1枚でまとまる○○」というフレーズをよく見かけるようになりました。
ビジネス書や実用書でも取り上げられているように、会議のために膨大な資料を書き上げる古い風習は改められつつあります。
私が社会人になりたての頃の先輩の会話では、先輩方は「資料はとにかく量」「読まれなくても沢山書くことが大切」「いずれ役に立つときがくる」と教わっていたようです。
現在とは、真逆ですね。
お話が脱線しましたが、仕事に必要な企画書や報告書。
池上彰さんもNHK記者の時代から積み重ねた、要点がまとまってあり伝わりやすいA4用紙1枚にまとめる方法が取り上げられています。
③1文を短くする
話すとき、一文が長い人がいますよね。文章を書くときにもいえることですが、話すときには、一文は短いほうが相手にはわかりやすいものです。
『伝える力2』p127 第5章 もっとわかりやすく伝える方法2 42.報告は完結に、一文を短く
これは、私自身が文章を書くときに気をつけていることでもあります。
今でも注意していないと、句読点が何回も繰り返す長い文章を書いてしまいます。
会話する場面でも、短く簡潔に話せた方が相手に伝わりやすいですよね。
仕事の役に立つ3つの方法は、『伝える力2』の紹介で詳しく書いておきました。
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Webライティングに役立つ2つの方法
私がブログの記事作成や、Webライティングに活用した内容は文章の書き方です。
中でも2つの方法が、取り組みやすく長続きする方法だと思います。
それは、「冒頭の工夫」「フォーマットを持つ」ことです。
①冒頭の工夫で読んでもらえる文章になる
大きなニュースは、誰もが関心があるから、記事に特別な工夫をしなくても多くの人が読んでくれます。
しかし、切り口が問われる連載記事はそうはいきません。読んでもらうための“仕掛け”が必要になります。
中略)
注意して読むとわかりますが、こうした連載記事は、出だしを「○×・・・・・・」と会話文から始めていたり、「□▽さんは驚いた」などというフレーズで始めていたりします。読者の興味を喚起するため、いろいろ工夫しているのです。
『伝える力』p48 第2章 相手を惹きつける 13.(1)映画や連載記事に学ぶ“つかみ”方
プレゼンテーションでの活用のお話で取り上げた、話の地図「リード」がいかにまとまっているかが重要とお伝えした話題とほとんど同じです。
同じではありますが、プレゼンテーションとWebは明らかに異なっている点が1つあります。
それは、情報を聴く側・読む側が好きなときにWebを閉じて情報を遮断できること。
もちろんプレゼンテーションの場面でも、面白くないお話は席を離れたりはします。
ですが、周りの目もある会場では「よほど面白くないお話」のときぐらいですよね。
Webの場合はおそらく、「ちょっとでも面白くないお話」はWebページをすぐに閉じられてしまうでしょう。
そのため、冒頭を工夫することがWebページの文章を読んでもらえるか?もらえないか?に大きく関わります。
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② 文章を書く力を養うにはフォーマットを持つ
報告書などをまとめる場合には、まず自社のフォーマットを知り、それに沿って文書を作成することが求められます。それだけで、ある程度の文書は書けるようになるものです。
『伝える力』p106 第4章 ビジネス文書を書く 34.(1)フォーマットを身につける
文章のフォーマットを持つことで、数日間に渡ってに書いたWebページでも伝わりやすさがブレずらくなります。
また、文章のフォーマットはブレづらくなる一貫性だけではなく、書く速さを上げることができます。
私が『伝える力』を活用した、文章のフォーマットの記事はこちらに詳しく書いておきましたよ。
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一般的なこと、それだけで上手くいくの?
一般的なことではあります
わかりやすいこと、それは誰もが知っている「一般的」なことでもあります。
そして、実用的なこと、それはすぐに取り組める「簡単なこと」でもあります。
この「一般的」で「簡単なこと」を身につけた先に、技術の上達はあるのではないでしょうか?
プレゼン、仕事、Webライティングには「伝える3部作」がお勧め
池上彰さんの「伝える3部作」のお話、いかがでしたか?
『伝える力』『伝える力2』『わかりやすく〈伝える〉技術』の3冊は、仕事、暮らしの中でのプレゼンテーション、Webで文章を書くときの役に立つ3冊です。
確かな信頼性がある池上彰さんの書かれた、「伝える3部作」はすぐに取り組める実用性がある3冊。
話し方の自主トレーニングのような取り組みの例、プレゼンテーションの流れを準備段階から詳しく解説してある教科書のような本。
仕事、プレゼンテーション、暮らし、Webで文章を書くときにぜひ活用してみてくださいね。
まとめ記事のため、かなり長く読むのに時間がかかったかと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
文章力の本の関連リンク
『マジ文章書けないんだけど』前田安正
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『残念ながら、その文章では伝わりません』山口拓朗
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『伝える力』池上彰
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『伝える力2』池上彰
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『伝える技術』池上彰
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