吉川英治文学新人賞の特徴と対象作品
吉川英治文学賞と吉川英治文学新人賞、名前がそっくりで主催・発表日まで同じ2つの文学賞。
今年から「吉川英治文学新人賞特集」をはじめさせていただくまえに、この2つの文学賞の違いに迫ります。
吉川英治文学賞新人賞
公益財団法人吉川英治国民文化振興会は、日本の典型的な国民文学作家として、広く読者に親しまれ尊敬されてきた、故吉川英治の偉業を記念して設立されたもので、故人が生前ひそかに希い続けていた遺志をうけて、昭和42年以来「吉川英治文学賞」と「吉川英治文化賞」を設定してきました。この2賞に加えて、昭和55年より「吉川英治文学新人賞」、平成28年より「吉川英治文庫賞」を新たに設けました。
出典: 吉川英治文学新人賞 | 講談社
吉川英治文学賞は、吉川英治国民文化振興会が主催する大衆文学の文学賞です。
元々、1967年(昭和42年)から開催されていた吉川英治文学賞は1980年(昭和55年)に吉川英治文学新人賞、2016年(平成28年)に吉川英治文庫賞という2つの文学賞が開催されるようになります。
対象
新聞、雑誌、単行本等に優秀な小説を発表した作家の中から、最も将来性のある新人作家に贈呈します。
・正賞 賞牌
・副賞 金100万円
・期間 1月1日〜12月31日
出典: 吉川英治文学新人賞 | 講談社
吉川英治文学新人賞は、単行本や新聞・雑誌に掲載された作品を対象にしています。
作品の内容ももちろん審査対象ですが、「最も将来性のある新人作家」とあるように作家さんに贈られる文学賞でもあります。
募集期間は元々の吉川英治文学賞と同じで、副賞の賞金は下になります。
候補作家の選出に遺漏のないよう、作家、画家、批評家、および各出版社の編集長、新聞社学芸部長・文化部長、ラジオ・テレビ・映画関係者、一般文化人等数百名の方々に文章で推薦を依頼します。
出典: 吉川英治文学新人賞 | 講談社
審査は、作家さんや出版の方だけではなく、画家や批評家など芸術関係の方、メディア関係の方、一般の方も加わり対象作品と作家さんの推薦がおこなわれます。
発表
発表は、3月上旬。
ここ数年は、3月1週目の最初の平日に発表される傾向にあります。
吉川英治文学賞新人賞の特徴
理由の1つに、対象になる作家さんの経歴があります。
大衆文学の文学賞とはいっても、設立当初の吉川英治文学賞は晩年の作家さんの功績を称えて贈られる場合が多く、どちらかというと名誉的な文学賞でした。
そこで、新人〜中堅作家の中から実力で受賞者を選ぶ吉川英治文学賞新人賞が設けられました。
過去の受賞作品を振り返っても、中堅作家さんの受賞がほとんどで、作家さん同士のバトルロワイヤルのような実力主義の文学賞でもあります。