小説野生時代新人賞のお話
ノンジャンル小説を募集する新人文学賞特集、第1回は新人小説家の方の登竜門と呼ばれている小説野生時代新人賞です。
過去3年間の受賞作品と選考委員の書評から、どんな作風の小説が生まれたのかをまとめてみましたよ。
小説野生時代新人賞とは
これまでにない新ジャンルを築き上げるエンターテインメント作品を広く募集する〈小説 野性時代新人賞〉。
前回募集時に〈野性時代フロンティア文学賞〉から改称し、新たなスタートを切りました。
本誌は1974年に創刊された伝統を踏まえ、文芸誌としての役割を果たすべく、才能の発掘に努めて参ります。
読む者の心を揺さぶる、将来性豊かな、希代のストーリーテラーの登場を期待しています!
出典: 第13回 小説 野性時代 新人賞|KADOKAWA
小説野生時代新人賞は、ノンジャンルの大衆文学作品を50年間も支えている雑誌『小説野生時代』が新人作家さんの作品を募集する文学賞です。
対象と募集要項
対象:広義のエンターテインメント小説(ジャンルは問わず)
主催: 株式会社KADOKAWA
選考:冲方 丁、辻村深月、森見登美彦
締切:2021年8月31日
発表:2022年5月 小説「野生時代」誌上
原稿規定:400字詰め原稿用紙換算200枚~400枚
賞金:新人賞 正賞、副賞100万円
書籍化:あり、出版後は規定の金額の支払い
公式サイト: 第13回 小説 野性時代 新人賞|KADOKAWA
小説野生時代新人賞では、原稿用紙換算で200枚~400枚の中編小説を募集しています。
新人賞受賞作品は、株式会社KADOKAWAから単行本で出版され、著者には印税も支払われることが発表されています。
選考委員には『天地明察』で本屋大賞を受賞し、SF小説とサスペンス、時代小説まで幅広く執筆されている冲方 丁さん。
人気作品『ツナグ』『かがみの孤城』で有名な、登場人物の心に深く迫る辻村深月さん。
『ペンギン・ハイウェイ』『熱帯』がいくつもの文学賞候補にノミネートされ、ファンタジーからシリアスな世界観の作品が人気の森見登美彦さんの3人が選考委員に選ばれています。
過去の小説野生時代新人賞受賞作品
執筆作品のジャンルが広い冲方 丁さん、登場人物に惹かれるストーリーの辻村深月さん、舞台設定に惹き込まれる森見登美彦さんが選考委員でもあり、受賞作品には作品の個性的な一面が評価される傾向にあります。
過去3年間の受賞作品は、ノンジャンル小説2作品、時代小説1作品でした。
舞台設定が独創的で惹き込まれるようなストーリーの作品が選ばれていました。
第12回/2021年『水平線は回転する』君嶋彼方
15歳の夏に体が入れ替わったまま、15年を過ごした主婦水村まなみと同級生の佐文陸。
1年に1度、同じ場所でお互いしか知らない秘密を共有する2人。
家族や友人をやり過ごし生きる別の人生。
15年の時は、どんな未来へとつながるのか…。
書籍化が楽しみな作品ですね。
小説野生時代新人賞の特徴
・大衆文学作家さんの登竜門
・毎年2~3作品が受賞
・過去3年間の受賞作品はノンジャンル小説2作品、時代小説1作品
・受賞作品の作風は独創的な舞台設定と惹き込まれるようなストーリー
大衆文学作家さんの登竜門と呼ばれている小説野生自体新人賞には、毎年2~3作品が選ばれています。
過去3年間の受賞作品にはノンジャンルの2作品、入れ替わりがテーマの『水平線は回転する』、過去を巡る謎解きが魅力の『永遠についての証明』、江戸時代の仕事感をテーマにした時代小説『化け者心中』が選ばれています。
受賞作品の種類は、ファンタジー小説やSF作品のように、完全な空想の世界ではなく、現実と合わさりながらも、どこかありえない設定のある舞台設定でした。
選考委員の作家さんの個性も、受賞作品からも感じることができます。
『ペンギン・ハイウェイ』や『熱帯』のように、ファンタジー小説からシリアスな作品が魅力の森見登美彦さんの世界観は、蝉谷めぐ実さんの『化け者心中』のような独創的な舞台設定で垣間見ることができます。
辻村深月さんの登場人物の心に深く迫るようなストーリーは、抱え込みすぎな主人公の変化を描いた『永遠についての証明』からも感じることができます。
小説野生時代新人賞の作風をひと言でまとめるなら、「独創的な舞台設定と惹き込まれるようなストーリー」なのではないでしょうか。
小説野生時代新人賞のまとめ
辻村深月ら人気作家さんが選考委員をされている小説野生時代新人賞は、大衆文学の登竜門と呼ばれるほど歴史のある新人文学賞です。
受賞作品の特徴は、独創的な舞台設定の中でストーリーが進むノンジャンル小説が多く、舞台設定の描き方が得意な新人作家さんは挑戦したいですね。