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第41回吉川英治文学新人賞特集〜注目の作品は…?

第41回吉川英治文学新人賞候補作


2月の読書のイベントコーナーは、吉川英治文学新人賞です。

対象が若手作家さんということもあり、読書好きの方でもはじめて見かける作家さんも多いはず。

今回は、ノミネート6作品と作家さんをそれぞれ紹介させていただきますね。

吉川英治文学新人賞知名度は?


吉川英治文学新人賞は、株式会社講談社出版の後援で開催される文学賞です。

大衆文学作品を対象にした文学賞ですが、芥川賞直木賞本屋大賞に比べてあまり目立つことがないともいえます。


吉川英治文学新人賞とは?

元々は、吉川英治文学賞という1つの文学賞でした。

その後、受賞作品や作家さんの変化に合わせ、「最も将来性のある新人作家」を選ぶために1980年(昭和55年)に新しく吉川英治文学新人賞が設けられました。

新人賞といっても、作家さんのデビュー作品だけが対象ではなく、出版した本が何冊かある若手作家さんが受賞する傾向にあります。


吉川英治文学新人賞の認知度は本好きで6割

吉川英治文学新人賞を含む、吉川英治文学賞をご存知の方はどのくらいなのでしょう。

Twitterで普段小説を読む方に向け、アンケートを行ってみました。





結果は、「毎年発表を楽しみにしている」6%、「名前は知っている」56%、「はじめて聞いた」38%でした。

小説を読む方では、6割の方が知っているようですね。

ただ、はじめて名前を聞いた方も38%です。

普段本を読まない方では、半分以上は吉川英治文学賞を知らないのではないでしょうか?



吉川英治文学賞新人賞候補作6作品


それではいよいよ、第41回吉川英治文学賞新人賞のノミネート作品を紹介させていただきますね。

今回は、相沢沙呼さん・伊岡 瞬さん・呉 勝浩さんのミステリ小説、今村翔吾さんの時代小説、 凪良ゆうさんの恋愛小説、ロスジェネ世代の男性の物語を描いた平岡陽明さんの小説、合わせて6作品がノミネート。

ジャンルが幅広いのも吉川英治文学新人賞の面白さでもあります。

参照:吉川英治文学新人賞 | 講談社


『medium 霊媒探偵城塚翡翠相沢沙呼

著者の相沢沙呼(あいざわ さこ)さんは、2009年に『午前零時のサンドリヨン』が第19回鮎川哲也賞を受賞したことでデビューされた推理小説作家さん。

今回のノミネート作品『medium 霊媒探偵城塚翡翠』は、「このミステリーがすごい!」大賞、「本格ミステリ・ベスト10」1位、「2019年ベストブック」1位を達成した作品です。

名探偵の主人公 香月史郎は、証拠を一切残さない連続殺人犯を追っている際に霊媒師の女性 城塚翡翠と出会う。

現場を確実に抑えていても、法廷では証拠能力のない霊能力。

名探偵 香月は城塚の霊能力でどんな証拠を犯人に突きつけるのか…。


『不審者』 伊岡 瞬

ミステリ作品の『代償』で知られている井岡瞬さんの新作がノミネートされました。

東京都内で暮らす3世代家族、ある日夫が連れ帰った不審な居候。

居候が訪れてから家庭の中で起きる不可解な出来事は………。


『八本目の槍』今村翔吾

2018年、『童の神』が直木三十五賞にノミネートしたことで知られるようになった今村翔吾さん。

今作『八本目の槍』は、歴史認識で評価の差が激しい石田三成が主人公の時代小説。

八本目の槍とは、賤ヶ岳の戦いで活躍した石田三成の同期生7人。

戦の表舞台に立たず裏方に徹していた三成の姿を知るのも、ライバルの同期生たちなのかもしれませんね。


『スワン』 呉 勝浩

数十人の死者を出した銃撃事件を生き延びた高校生のいずみ。

同級生の衝撃の告発で、いずみは犯人の共犯と雑誌に書かれてしまい、悲劇のヒロインから一転して世の中の非難の的に………招待状で集められた被害者が語る事件の真相とは………。

第162回直木賞候補作らしいストーリーの展開の速さと、ハラハラ感が右に左に揺さぶられる物語でした。

『流浪の月』 凪良ゆう

凪良ゆうさんは、2007年に『花嫁はマリッジブルー』でデビューされた作家さんです。

恋愛小説作家 凪良ゆうさんの新作『流浪の月』 は、再会すべきだったのか?再会しなかった方が良かったのか?2人の主人公の目線で描かれ、読み手を作品の世界に引き込んでしまう心の描写が印象的な1冊。

2020年本屋大賞にもノミネートされている、今年注目の恋愛小説です。


『ロス男』 平岡陽明

40代のフリーランスライター、正社員経験なしで未婚のロスジェネ世代の男性が主人公の『ロス男』。

唯一の肉親の母との死別、かつての同僚との再会がきっかけで「今まで」ではなく「これから」を考えて生きる真面目でほどほどにゆるい男性の物語。

著者の平岡陽明さんは、出版社で働かれた後2013年に『松田さんの181日』でデビューを果たした作家さんです。



注目の作品は『medium 霊媒探偵城塚翡翠相沢沙呼


平岡陽明さんの『ロス男』の日常的な雰囲気を除いて、どの作品もインパクトの強い世界観で描かれています。

吉川英治文学新人賞の「最も将来性のある新人作家」という選考基準に当てはめるなら、本屋大賞にノミネートされている凪良ゆうさんの『流浪の月』、第162回直木賞候補作の『スワン』呉 勝浩さんに勢いがあるのではないでしょうか?

花水(hanami)個人的には、霊能力とミステリを組み合わせた相沢沙呼さんの『medium 霊媒探偵城塚翡翠』が注目の1冊です。


吉川英治文学賞の関連リンク


吉川英治文学賞
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吉川英治文学新人賞
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文学賞のまとめ
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大衆文学の7つの文学賞
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