第41回吉川英治文学新人賞候補作
2月の読書のイベントコーナーは、吉川英治文学新人賞です。
対象が若手作家さんということもあり、読書好きの方でもはじめて見かける作家さんも多いはず。
今回は、ノミネート6作品と作家さんをそれぞれ紹介させていただきますね。
吉川英治文学新人賞の知名度は?
吉川英治文学新人賞は、株式会社講談社出版の後援で開催される文学賞です。
吉川英治文学賞新人賞候補作6作品
それではいよいよ、第41回吉川英治文学賞新人賞のノミネート作品を紹介させていただきますね。
今回は、相沢沙呼さん・伊岡 瞬さん・呉 勝浩さんのミステリ小説、今村翔吾さんの時代小説、 凪良ゆうさんの恋愛小説、ロスジェネ世代の男性の物語を描いた平岡陽明さんの小説、合わせて6作品がノミネート。
ジャンルが幅広いのも吉川英治文学新人賞の面白さでもあります。
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』 相沢沙呼
著者の相沢沙呼(あいざわ さこ)さんは、2009年に『午前零時のサンドリヨン』が第19回鮎川哲也賞を受賞したことでデビューされた推理小説作家さん。
今回のノミネート作品『medium 霊媒探偵城塚翡翠』は、「このミステリーがすごい!」大賞、「本格ミステリ・ベスト10」1位、「2019年ベストブック」1位を達成した作品です。
名探偵の主人公 香月史郎は、証拠を一切残さない連続殺人犯を追っている際に霊媒師の女性 城塚翡翠と出会う。
現場を確実に抑えていても、法廷では証拠能力のない霊能力。
名探偵 香月は城塚の霊能力でどんな証拠を犯人に突きつけるのか…。
『不審者』 伊岡 瞬
ミステリ作品の『代償』で知られている井岡瞬さんの新作がノミネートされました。
東京都内で暮らす3世代家族、ある日夫が連れ帰った不審な居候。
居候が訪れてから家庭の中で起きる不可解な出来事は………。
『八本目の槍』今村翔吾
2018年、『童の神』が直木三十五賞にノミネートしたことで知られるようになった今村翔吾さん。
今作『八本目の槍』は、歴史認識で評価の差が激しい石田三成が主人公の時代小説。
八本目の槍とは、賤ヶ岳の戦いで活躍した石田三成の同期生7人。
戦の表舞台に立たず裏方に徹していた三成の姿を知るのも、ライバルの同期生たちなのかもしれませんね。
『スワン』 呉 勝浩
数十人の死者を出した銃撃事件を生き延びた高校生のいずみ。
同級生の衝撃の告発で、いずみは犯人の共犯と雑誌に書かれてしまい、悲劇のヒロインから一転して世の中の非難の的に………招待状で集められた被害者が語る事件の真相とは………。
第162回直木賞候補作らしいストーリーの展開の速さと、ハラハラ感が右に左に揺さぶられる物語でした。
『流浪の月』 凪良ゆう
凪良ゆうさんは、2007年に『花嫁はマリッジブルー』でデビューされた作家さんです。
恋愛小説作家 凪良ゆうさんの新作『流浪の月』 は、再会すべきだったのか?再会しなかった方が良かったのか?2人の主人公の目線で描かれ、読み手を作品の世界に引き込んでしまう心の描写が印象的な1冊。
2020年本屋大賞にもノミネートされている、今年注目の恋愛小説です。
『ロス男』 平岡陽明
40代のフリーランスライター、正社員経験なしで未婚のロスジェネ世代の男性が主人公の『ロス男』。
唯一の肉親の母との死別、かつての同僚との再会がきっかけで「今まで」ではなく「これから」を考えて生きる真面目でほどほどにゆるい男性の物語。
著者の平岡陽明さんは、出版社で働かれた後2013年に『松田さんの181日』でデビューを果たした作家さんです。