戦争犯罪の定義と新しい提案
民間人の被害が増えているウクライナ危機。
侵略戦争を受けたウクライナと世界各国からは、ロシアの行動が戦争犯罪に当たると非難されています。
今回は、本を参考に戦争犯罪についてまとめてみました。
また、私的に新しく付け加えたほうがいい戦争犯罪d項-幸せに対する罪(英:crime against happiness)も提案させていただきます。
- 戦争犯罪の定義と新しい提案
国家による戦争犯罪とは?
戦争犯罪(英:war crimes)とは、戦時国際法・国際人道法(英: international humanitarian law, IHL)に違反した軍事的行動です。
第2次大戦後に適用された国際軍事裁判所条例という国際規約の中で、a・b・cの3つが国家による戦争犯罪として定められています。
a項-平和に対する罪(英:crime against peace)
b項-戦争犯罪(英:war crimes,ジェノサイドの罪)
c項-人道に対する罪(英:crime against humanity)
参照:戦後の裁判 | ホロコースト百科事典
a項-平和に対する罪(英:crime against peace)
定義 「侵略戦争または国際条約・協定・保障に違反する戦争の計画・準備・開始および遂行、もしくはこれらの行為を達成するための共同の計画や謀議に参画した行為」
戦争犯罪a項は平和に対する罪、つまり海外の平和を脅かす戦争を始めた大統領や総理大臣、軍隊の高官が責任を問われます。
第二次大戦では、日本国内の総理大臣や旧日本軍の幹部がA級戦犯として極東裁判で裁かれました。
ウクライナ危機を決断し命令を下したウラジミール・プーチン大統領、裁かれる可能性が高い戦争犯罪はa項-平和に対する罪(英:crime against peace)といわれています。
b項-戦争犯罪(英:war crimes,ジェノサイドの罪)
捕虜の虐待や民間人への攻撃、国際条約で禁止されている残酷な兵器を使うことが当てはまります。
第二次大戦後の日本国内では、BC旧戦犯とひとまとめで裁かれることになりました。
ウクライナへの侵攻に参加しているロシア軍の人は、b項-戦争犯罪(英:war crimes,ジェノサイドの罪)で裁かれる可能性が高いとされています。
c項-人道に対する罪(英:crime against humanity)
定義 「国家もしくは集団によって一般の国民に対してなされた謀殺、絶滅を目的とした大量殺人、奴隷化、追放その他の非人道的行為」
戦争犯罪c項は、人道に対する罪です。
侵攻先の住民に強制労働を行わせたり、強制収容所のような場所に監禁し虐待・虐殺した責任者が罪に問われます。
第二次大戦では、旧日本軍に適用されたことはほとんどなく、旧ドイツのナチス政権が行ったユダヤ人に対する行為が対象になりました。
今後、ウクライナ危機が激化し、ロシア軍がウクライナ国民を強制収容所に連行したりすれば、責任者はc項-人道に対する罪(英:crime against humanity)で裁かれることになるでしょう。
国家による戦争犯罪の刑罰は?
戦争に参加した軍人は、戦後b項-戦争犯罪(英:war crimes,ジェノサイドの罪)で極刑から懲役刑まで行った戦争犯罪によって刑罰が科せられました。
それでは、軍人に命令をして戦争を始める立場にあった政権や軍の高官はどのような罪に問われたのでしょうか?
旧日本軍のA級戦犯は7/28名が死刑
第2次大戦後に行われた極東軍事裁判では、当時の大日本帝国の閣僚、旧日本軍の高官がa項-平和に対する罪で起訴されています。
a項に違反したためA級戦犯と呼ばれ、28人が起訴され7名が死刑となりました。
旧ナチスドイツのa項・c項戦犯は12/22名が死刑
同じ第2次大戦後のドイツでは、ナチス政権時代の閣僚や軍の高官が裁かれています。
ユダヤ系市民へのジェノサイド(大量殺人)が行われたため、c項-人道に対する罪が適用され、12名が死刑になっています。
ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦の司令官は終身刑
冷戦終了後の戦争では、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦で戦争犯罪の裁判が行われています。
市民へのジェノサイド(大量殺人)の罪が問われた軍の司令官は、現地では最も重い終身刑が下されています。
適用が狭く刑罰が軽すぎる
戦争犯罪は、多くの国の犯罪に対する刑罰に比べると死刑や終身刑がほとんどなのですが、厳罰主義の花水由宇(hanami yu)は思うんです。
「刑罰が軽すぎる」
大統領・総理大臣や軍隊の高官の自己保身、間違った判断で何千人もの命が奪われても、償う側は命1つ。
戦争犯罪の被害と犯罪者の刑罰がつり合いません。
そして、「適用が狭い」ことも問題です。
戦争で苦しむのは、政権の間違いで命を失う国民なんです。
戦争犯罪につけけ加えるなら「d項-幸せに対する罪(英:crime against happiness)」
「刑罰が軽すぎる」
「適用が狭い」
戦争犯罪に問われる侵略戦争が起こらないことが1番大切なのですが、罪の軽さも適用が狭いことも問題です。
そこで、侵略戦争を始めると「世界で1番重い罪に問われますよ」という意味も込めて、付け加えてほしい項目があります。
d項-幸せに対する罪(英:crime against happiness)
d項-幸せに対する罪(英:crime against happiness)の定義
定義 「侵略戦争をはじめた国家もしくは集団による、一般国民への平和と穏やかな暮らしを妨げる非人道的行為」
d項-幸せに対する罪(英:crime against happiness)の条件は、「侵略戦争を始める」こと、「一般国民の暮らしを妨げる」ことの2つです。
市街地を空爆しても「誤爆でした」、一般の国民を攻撃しても「テロリストが紛れていました」という言い訳は通用しません。
侵略戦争をはじめて、暮らしている人の暮らしを奪った場合、必ず適用されます。
d項-幸せに対する罪の刑罰
穏やかに過ごしたい人の暮らしを奪った側の責任者には、人として存在したことを許さない重い刑罰が必要です。
「生き物の暮らす営みからの永久の追放、罪人の存在を否定するため、5つの刑罰を科す」
・[葬祭の禁止]
~信仰する宗教・風習におけるいかなる葬儀・祭儀を禁ずる
・[存在の抹消]
~遺骨・遺灰等は遺伝情報が残らない形で処分する
・[氏名の剥奪]
~犯罪人の氏名の呼称・記載を禁じ、「幸せに対する罪人○○」とする
・[肖像の剥奪]
~肖像に対し「幸せに対する罪人○○」と記載を義務付ける
・[善意の剥奪]
~犯罪人の善意・中立的な発言と行為の記録情報を処分する
d項-幸せに対する罪(英:crime against happiness)が適用された戦争犯罪人は、おそらく他の罪で極刑となっているかと思いますが、天寿を全うされたとしても死後「永久に追放」されることになります。
自分のものは何も残らず、名前の代わりに「幸せに対する罪人○○」と呼ばれ後世まで非難を受け続けるでしょう。
侵略戦争を行うまで慈善事業をしていたとしても、記録は削除され、ただ侵略戦争を行った人物とだけ記録されます。
d項-幸せに対する罪(英:crime against happiness)は、厳罰主義の花水(hanami)が考えた中でも最も重たい罪です。
この案が採用されることは、きっとないと思います。
ただ、世界の人々の記憶には、侵略戦争を行った人物は忘れられることのない残酷な存在として残り続けるでしょう。
参考にした本
『危機にこそぼくらは蘇る 新書版 ぼくらの真実』青山繁晴
身近に迫っていた日本の危機、「国民を助けても良い」権利は今の日本にはないのかも? - 本当に本が読みたくなる読書のブログ