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リアルな登場人物とは?キャラクターづくりに細かな設定が必要な理由

小説の登場人物には細かな設定が必要

読書の豆知識


リアルな登場人物とは?

本好きでもあり、私的に小説を書いている花水由宇(hanami yu)は作品づくりの勉強も兼ねて、リアルな登場人物を描くポイントをまとめています。

第1回は、小説家の五十嵐貴久さん、出版業界で編集に携わる新井久之の本を元に「登場人物に細かな設定が必要な理由」をまとめてみましたよ。

なぜ、登場人物に細かな設定が必要?

リアルな登場人物とは?


小説家の方の書かれた「小説の書き方」の本やコラムでは、小説の登場人物には細かな設定が必要とされています。
ONE PIECE』の作者 尾田栄一郎先生は、漫画の中では描かなくても、ルフィやゾロの目玉焼きの焼き加減から入浴の頻度まで細かなキャラクター設定をされていることが明かされています。
なぜ、物語に書かないことまで登場人物の設定が必要なのでしょうか?


実在の人物をどうやって知るか?


私たちは、友達や同僚のような「会ったことがある人」、芸能人やアスリートのような「会ったことはない人」のどちらも知っています。

初対面の人は自己紹介から

私たちが初対面の方と会うと、あいさつを交わし簡単な自己紹介をしていますよね。
学生さんなら、「どこに住んでいる」のか、「部活や趣味」は何か、「家族」は何人か、「彼氏や彼女はいる」かなどでしょう。
ビジネスの場面では、「勤務先と所属」「担当の仕事」などをやり取りするはずです。
会ったことはない人は、年齢やプロフィール、アスリートの方なら実績も確認するでしょう。


その人の趣味や出身地などで深堀り

初対面のあいさつと自己紹介を終えたら、趣味や出身地など失礼のない程度で相手を深堀りしていますよね。
会ったことはない人では、さらに知りたいことはネットの情報で調べています。


ビジネスなら履歴書

就職や転職では、履歴書や職務経歴書で事前に必要な情報を交わしています。
履歴書には、生年月日や出身校、資格や趣味を書く欄があります。
職務経歴書には、実際に取り組んだ仕事内容を細かく書き出します。


情報を知ることは、人物像を把握するため

自己紹介や深堀り、履歴書を交わして情報を知ることは、相手の「人物像を把握」するためです。
プライベートなら、相手と仲良く慣れそうなのか、関わらない方がいいのか、おおよそのことがわかるはずです。
ビジネスでは、就職したあとどんな仕事が合っていそうなのかの手がかりになります。
人物像を把握することは、友好的な関係が築けるか、仕事で利益をもたらしてくれるかに必要なことといえます。




小説の登場人物に人物像は必要?


実在の人なら、自分の暮らしや仕事に影響が出たり、活躍を知るために人物像を知る必要はあります。
架空の小説や漫画の登場人物なら、キャラクターの人物像を知る必要はあるのでしょうか?
答えは、必要なはず。
私たちが物語に惹かれるのは、「ストーリー」「舞台設定」「世界観」と好みや小説のジャンルで違いはありますが、中でも「登場人物の魅力」は大きな割合を占めているからです。


登場人物を紹介するための履歴書


小説を書く側の目線で、登場人物の人物像を知る細かな設定が必要な理由を小説家の五十嵐貴久さん、出版業界で編集に携わる新井久之の本には「履歴書」という例えで解説されています。

履歴書

名は体を表すと昔から言いますけど、小説というジャンルにおいてもそれは言えます。
日本人の場合、名字で出身地がある程度わかりますから、それも考慮しておく必要があります。
これは世界共通かもしれませんが、出身地はある程度性格に影響します。
それは性格だけではなく、言葉(方言やアクセント)、使用する単語、あるいは色の好み、スポーツ、趣味、その他さまざまな部分に関わってきます。
履歴書を作れ、とまでは言いませんが、主要人物の大ざっぱな経歴ぐらいは、作っておいてもいいでしょう。
『超・戦略的!作家デビューマニュアル』五十嵐貴久、p204〜p208

五十嵐貴久さんは、小説家を目指す方向けの本の中で、「主要登場人物の大ざっぱな経歴」は作っておいてもいいと書かれています。


履歴書

人物の背景はきちんと用意しつつ、それらすべてをべったり書くことはしない。そのバランスが必要になる。
しっかり背景を持った人物と、特に何も考えていない人物とでは、同じ行動をとっても不思議と説得力が変わってくる。作中に説明がなくても、だ。
書く前に登場人物の履歴書みたいなものを作っておく、という作家の話も聞いたことがある。子供の頃から、どういう経験を重ねて大人になったかまで、書く予定がないこともふくめて、可能な限り準備しておくのだそうだ。
『書きたい人のためのミステリ入門』新井久幸、p141〜p146

編集に携わる新井久之さんの本にも、実在の作家さんのお話を紹介されています。
お2人の本の内容の共通点は、「書かないことも含めて」おおまかなキャラクターの経歴を作るということです。




登場人物の履歴書を作り、別の登場人物に語ってもらう


そこで、実際にとある人物像を経歴書でまとめてみました。

1.名前 Bさん
2.年齢 23歳
3.性別 男性
4.職業 建設業ドライバー
5.最終学歴 高校卒業
6.出身地 埼玉県
7.趣味 飲み会
8.身長 170cm
9.体重 80kg
10.髪型 マッシュルームカット
11.飲酒喫煙 あり、あり
12.性格 お調子者

登場人物のBさんは、主人公の高校の同級生で、流行りのキャンプに誘われ、同じ同級生Cさんとともに合流し、現地で知り合ったキャンパーと焚火料理をするというシーンで紹介してみます。

「お待たせしました!本日のメインゲストの登場です」

大きなお腹の前(9.体重)に手を当て、中世の紳士のように腰を曲げたBが到着したのは、火起こしが終わりテーブルに食材が広げられてからだった。

「この男はBで(1.名前、3.性別)、埼玉の高校(6.出身地)の同級生なんですよ」

「そういうわけなわで、よろしくです」

そう言いながら流行りのマッシュルームカットをなびかせ、空いている椅子に腰を下ろすと、近くにある缶ビールを空けタバコに火を点けていた(11.飲酒喫煙)。

「B、初対面の人いるからタバコは向こう行って吸えよな」

「いやぁ、ごめんごめん。ダンプのドライバーってワンオペだから、吸ってしまう(4.職業)んだよな」

と、ここまでで12個のプロフィールのうち6個を紹介することができ、Bさんが少々お調子者(12.性格)という印象を持ってもらうことができたのではないでしょうか?




登場人物に細かな設定が必要な理由

登場人物に細かな設定が必要な理由


登場人物に細かなキャラクター設定が必要なのは、このような理由からでした。

「登場人物の魅力」は大きい
「人物像を把握」してもらう
「書かないこと」も含めて
「主要登場人物の大ざっぱな経歴」を書く


小説の書き方の本の紹介ページ


『プロだけが知っている小説の書き方』森沢明夫
www.yu-hanami.com

『超・戦略的! 作家デビューマニュアル』五十嵐貴久
www.yu-hanami.com

『書きたい人のためのミステリ入門』新井久幸
www.yu-hanami.com

『「9マス」で 悩まず書ける文章術』山口拓朗
www.yu-hanami.com



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