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七色のジャンルを執筆する小説家 五十嵐貴久〜紹介とおすすめ作品

五十嵐貴久さんの紹介


今回の作家さん紹介は、代表作のサスペンス小説から、ほっこり笑わせてくれるコメディ小説、気持ちが熱くなる青春小説まで幅広いジャンルを執筆される五十嵐貴久さんの紹介です。

作品を読んだことはなくても、本屋さんを訪れたらズラッと棚に並ぶほど執筆数の多い小説家の方です。

ファンの方から、まだ作品を読んだことがない方のために、おすすめ小説も交えて紹介させていただきますね。

五十嵐貴久さんの来歴

TVJ (文春文庫)


・1985年 出版会社 扶桑社に入社、編集部と販売部を経験され、小説家デビューまで勤務される
・2001年 『TVJ』で第18回サントリーミステリー大賞優秀作品賞受賞、『リカ』(『黒髪の沼』)が第2回ホラーサスペンス大賞を受賞
・2003年 『交渉人』が出版され、「交渉人シリーズ」が始まる。『1985年の奇跡』が出版、後に「青春三部作」と呼ばれる
・2007年 『シャーロック・ホームズと賢者の石』が第30回日本シャーロック・ホームズ大賞を受賞
・2008年 『相棒』が出版され、2022年に『幕末相棒伝』として放送される
・2009年 『パパとムスメの7日間』が出版
・2013年 リカシリーズ2作目の『リターン』が出版
・2015年 『炎の塔』が出版され「消防士・神谷夏美シリーズ」の物語が始まる
・2016年 『スイム!スイム!スイム!』が出版
・2017年 『超・戦略的!作家デビューマニュアル』を小説家を目指す方のために執筆される


大型書店はもちろん、街の本屋さんでも「必ず見かける場所」に作品が並ぶ五十嵐貴久さん。

執筆数は、文庫本だけでも70作品を超え毎年2〜3作品以上の新刊を出版されています。

五十嵐貴久さんは、ご自身の作品の舞台になることも多い1980年代に出版会社 扶桑社に就職され、販売部門と編集部門で経験を積まれながらご自身でも小説を執筆され続けていました。

五十嵐貴久さんのデビュー作品は、第2回ホラーサスペンス大賞を受賞した『リカ』と紹介されています。

実は、同じ年に第18回サントリーミステリー大賞で優秀作品賞に残った『TVJ』がきっかけでと著書に書かれています。
作家になりたい人に必要なマニュアル『超・戦略的!作家デビューマニュアル』 - 本当に本が読みたくなる読書のブログ

文学賞の選考がきっかけで小説の執筆を知った出版社の同僚に読んでもらった『リカ』の原作は、第2回ホラーサスペンス大賞に輝き、念願の小説家デビューへと続いたそうです。




五十嵐貴久さんに迫る〜「七色のジャンル」と「五十嵐ステージ」で読者を楽しませてくれる小説家


五十嵐貴久さんの小説の魅力は、何といってもジャンルの多さ、そして登場人物目線で楽しめる小説の世界の疑似体験です。

七色のジャンル以上?ジャンルで変わる五十嵐貴久さんの作風

作風に触れさせていただく前に、五十嵐貴久さんならではの特徴があります。

それは、小説のジャンルの多さです。

私が読ませていただいた作品だけでも、7つのジャンルがありました。

「リカシリーズ」 ホラー小説、サスペンス小説
『1985年の奇跡』 青春小説
パパとムスメの7日間』 コメディ小説
『相棒』 時代小説
『スイム!スイム!スイム!』 スポーツ小説
『1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター』 芸術家小説(音楽)
「消防士・神谷夏美シリーズ」 パニック小説

有名作家さんの中でも、際立ってジャンルが多いはずです。

例えば、ミステリ作家の伊坂幸太郎さんなら、登場人物が10代の青春ミステリの作品を書かれることはあってもスポーツ小説を書かれたことはありませんし、ミステリ小説からファンタジー小説までジャンルの豊富な辻村深月さんも時代小説の作品はなかったはずです。

WBCで活躍されたパドレスダルビッシュ有投手は、「七色の変化球」の異名があります。

五十嵐貴久さんは、「七色のジャンル」を執筆されるだけではなく、ジャンルによって細かな作風も変えられ、私たち読者を楽しませてくれる作家さんですよね。


登場人物が物語を駆け巡る「五十嵐ステージ」

五十嵐貴久さんの作品の中で、私がサスペンス小説・パニック小説や青春小説を好んで読ませていただいていることもあり、登場人物が物語の世界を駆け巡りながら、出来事や風景を実際に体験している錯覚を楽しんでいます。

読者の代わりに登場人物が物語を駆け巡って、疑似体験をさせてくれる世界観を「五十嵐ステージ」と呼ばせていただくことにしています。


物語に没頭させる「スピード感」と「驚き」

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ジャンルの豊富な作品の中でも、サスペンス小説やパニック小説ではストーリーに没頭しついついページを読み進めてゆく「スピード感」も五十嵐貴久さんならではの作風です。

読み進める速さがどんどん速くなったタイミングのどこかで、「驚き」のイベントが起こりついつい手を止めてしまうほど、ストーリーの流れを楽しめる作品ばかりです。




もう1度振り返りたい五十嵐貴久さんのおすすめ代表作


執筆数の多い五十嵐貴久さんの小説は、続編や舞台設定の近い作品毎に「○○シリーズ」と呼ばれています。

本屋さんに並ぶことが多い小説はリカシリーズなのですが、私が読んだ作品では「青春小説三部作」「消防士・神谷夏美シリーズ」の2つのシリーズもおすすめの小説ですよ。

青春小説三部作

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『1985年の奇跡』『2005年のロケットボーイズ』『1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター』は、「青春小説三部作」と呼ばれています。

青春小説らしい登場人物の清々しいやり取りと、思わぬどんでん返しで楽しませてもらえるシリーズです。

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個人的には、『スイム!スイム!スイム!』『セブンズ!』『ぼくたちのアリウープ』も合わせて「青春小説六部作」と呼ばせていただきたいものです。


五十嵐貴久さんの代名詞「リカシリーズ」

リカ

五十嵐貴久さんのデビュー作品で、代名詞的な作品といえば多くの読者さんは『リカ』を思い浮かべるのではないでしょうか?

日常の誘惑から、マッチングアプリ(当時の出会い系サイト)を利用した会社員を追い詰める狂気の女性 雨宮リカ。

常軌を逸したリカのストーカー行為に、つい身の回りを振り返りたくなりながらも読み進めてしまうホラー小説です。


熱い物語「消防士・神谷夏美シリーズ」

炎の塔 (祥伝社文庫)

2015年から続く「消防士・神谷夏美シリーズ」は、若手女性消防士の神谷夏美の活躍を描いたパニック小説です。

第1作『炎の塔』では、オープニングセレモニーで賑わう地上100階の超高層タワーで起きた火災を、現場の消防士視点で描いた物語です。

取り残された数100人の観客と、限られた時間・資材……。

真面目で熱意あふれる主人公 神谷夏美から伝わる不安と覚悟、超人や天才ではない等身大の姿に惹かれる物語です。

消防士以外の登場人物にも、素適なドラマがあるシリーズですよ。




迷わず読みたい五十嵐貴久さんの小説


今回の作家さん紹介は、「リカシリーズ」で有名な五十嵐貴久さんでした。

「最初に何を読めばいい?」

五十嵐貴久さんは、きっとこう言われるはずです。

「迷わず読みなよ」

実は、Twitterでコメントをいただける数少ない作家さんの1人でもあります。

Twitterを利用されている方は、小説の感想を投稿されてはいかがでしょうか?

もしかしたら、コメントがいただけることも、あるかもしれませんよ。

ちなみに、「最初に何を読めばいい?」と聞かれた時の私のおすすめは、スポーツ小説の『スイム!スイム!スイム!』と青春小説の『1985年の奇跡』、「消防士・神谷夏美シリーズ」の第1作『炎の塔』です。

小説のストーリーに引き込まれて、思わずイッキ読みしてしまう作品ですよ。


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