考えることとは何か?
著者 池上彰
出版社 プレジデント社
分類 ビジネス書 ビジネス実用書
出版日 2016/10/3
今回は、テレビでも有名な池上彰さんの著書『考える力がつく本』を紹介します。
私は池上彰さんの書いた本も、解説者として出演するテレビも大好きですよ。
ですが、国内外の政治情勢を扱う池上彰さんの仕事以上、読む方の好き嫌いはあるのではないかと思います。
今回は池上彰さんの信条は抜きにして、1人の優秀な読書家として書いた本の紹介を読んでいただければ幸いです。
考えるということ
「そもそも、考えるとはどういうことなのでしょう?」
池上彰さんの言葉を借りさせていただくと、こういう切り出し方になりますよね。
考えるって?
そもそも「考える」とは、自分の中にある情報(インプット)をもとに、自分なりの結論(アウトプット)を導き出す作業です。質の高いアウトプットをするためには、まずはインプットが不可欠なのです。p14 第1章 「考える力」とは何か
考えることについては奥が深いのひと言ですよね。
世の中には元々、論理的に考える力に長けた人もいれば、視覚的に図にしてまとめるのが上手い人もいます。
こればかりは、人間の脳みその性能にもよるので仕方のないこともあると思います。
ですが、鍛えることはできるそうです。
多くのビジネス書で考え方が紹介されていて、自分でも取り入れている方法もあります。
ビジネスマンの方なんかは、ビジネス書を参考にされる方は多いのではないでしょうか?
「考える力」その鍛え方は、まず読むことにあります。
池上彰さんでさえ、本を相当読むそうです。
こんなことを言っている私は、学生時代は勉強は大嫌いでした。
ですが、大人になってビジネス書や実用書と出会ってからは勉強も好きになりましたよ。
学校でも難しい古典ばかりではなく、現実的な本を教科書にしてインプットを鍛えて教えてくれれば、「なぜ勉強しなければならないのか?」などの答えは学生が自然にアウトプットで考えれそうになると思うのですが…。
少し本の紹介からは脱線してしまいましたね。
わかるって?
「わかる」とは、自分がこれまで持っているバラバラの知識がひとつの理論の下にまとまったときです。いわば、知識と知識の関係を示す補助線を引くということです。p47 第1章 「わかる」とはどういう状態なのか
「わかった状態」についての解説もありますよ。
ただ1つのことを説明できただけでは、「知っている」だけで「わかっている」ことではないんですね。
「わかった」状態は1つのことと、別の何かのことをつなげて説明できる状態にあることになるそうです。
例えば、最近は静かですが某国のミサイル問題。
一時期は、友好国が空母の軍団を近づけて牽制していました。
友好国に届きもしない某国のミサイルになぜ空母の軍団が出てくるのでしょうか?
それは某国の理由には
①某国が核保有国の独裁国家
②友好国に届くミサイルの開発を進めている
ことでしょう。
そして友好国の理由には
❶自分の国と国民が最も大切
❷今はまだ自分の国に届かない
ことです。
この出来事は友好国側から動いた形になっていますので、❶自分の国と国民が最も大切な友好国は、①核保有国の某国の反撃で被害を出したくないことは当然ですね。
そのために❷今はまだ自分の国に届かないため大きな被害は出ないうちに、②開発をやめさせてミサイルが届かないようにしようという目的があるのではないでしょうか?
このような感じになります。
結果、友好条約を結ぶ約束をすることで問題は一時的に収まりました。
この時に某国のミサイルの性能を知っていても、今回の出来事が「わかった」状態ではないわけなんですね。
図にして考えること
考える方法の1つで、池上彰さんがおすすめしている方法が「図」にして考えることです。
頭の中で言葉だけで考えがまとまる人は、そう多くはないのではないでしょうか?
私も、大事なことはメモ書きに図や矢印を書いて考えるとまとまりやすいこともあります。
何でも図にしてみる理由
ただ単に、図解は自分が何かを理解するときの助けになる。そうすることで、難問が氷解していき、理解ができるようになると思って図式化していました。複雑に絡み合った問題を解きほぐすときにも、図解は強力な味方になってくれることを本川先生(東京工業大学 本川達雄教授)は教えてくださいました。p50 第2章 何でも図にして考える癖をつけよう
私も、難しい事を考える時に図や絵にして書くことが大好きです。
理由は自分でも分かりやすく、そのまま誰かに見せて説明もしやすいからです。
何より、頭で考えていても考えている内に忘れてしまったり、考えがこんがらかって答えにならなかったりするからです。
その点、図にすると記録に残りますし整理もしやすい。
私のように、頭で考えることが苦手な人には最適な方法ですね。
そこで、池上彰さんの例えの例を借りて、代表的な図を紹介しますね。
重なり合う物事を分かりやすくするベン図
ベン図は2〜3個のお互い重なり合っている物事を説明する時に便利です。
例えば先程の話題のミサイル問題、そのミサイルって何かをベン図を使って説明してみます。
ミサイルの技術は実はロケットと同じ仕組みです。
燃料を燃やして進む推進装置と、行き先を変えれる誘導装置を持ったものがロケットと呼ばれています。
この中で頭の部分に火薬などの兵器を積んだ軍事用のものがミサイルになります。
さらにミサイルの中で高い高度を逆Uの字に飛ぶものが、今問題になっている弾道ミサイルと呼ばれるものになります。
物事の位置関係を分かりやすく座標軸
座標軸と呼ばれる図は、タテ軸とヨコ軸の中に物事を当てはめている図です。
これは、2つの特徴の中で物事がどこに位置するのかを考える時に便利といわれておます。
先ほどは物騒な話題だったので、柔らかい話題にしましょう。
例えば、食べ物を『辛い』と『甘い』、『食事』と『おやつ』で位置づけしてみます。
『辛い』食べ物で、『食事』として食べる物はカレーがあります。
逆に、『甘い』食べ物で『おやつ』として食べる物にチョコレートがありますね。
おはぎの位置づけは微妙ですが、私の住む地域では食卓に上がることが多いので『甘い』食べ物で少し『食事』よりにしてみました。
何だか、知らない人に何かを伝えなければならない時に便利そうですね。
すみません、少し池上彰さんになったつもりでいてしまいました。
ちなみに私は「本の紹介」を書くときの、文章の表現の程度を考えるときに参考にしていますよ。
www.yu-hanami.com
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読むということ
本や活字とは、つまりは「情報」や「知識」のことです。生きるために必要な情報の中には、漠然とニュース番組を眺めているだけでは手に入らないものもあります。もし手に入るとしても、自分から情報を掴みに行こう、世界を知ろうという気持ちで読書を続けている人と比べれば、はるかに差がついてしまうでしょう。そのわずかな遅れが後々になって響いてくるのもまた、人生なのです。p3 はじめに
読書もただ読むだけでは身になりませんよね。
何かを身につけたい読書をする時には、自分から必要な情報を選び、手に入れていかなければなりません。
私より頭が良くて、私より本を読んでいる池上彰さんが言っているので、間違いはないことなのでしょう。
今回は第1章と第2章の考え方についての紹介でした。
実は池上彰さんの『考える力がつく本』が実用的なのは、実際の本の読み方やネットやニュースも含めた情報の探し方の方法を書いているからです。
本の読み方
『考える力がつく本』では、読書で本と向き合うポイントも紹介されています。
ビジネス小説からも経験を学べる
読んでいるうちにどんどん引き込まれて、自分が主人公だったらどう考えるか、いかに行動するか、といったことを考えながら読み進める。いろいろな登場人物に自分を投影させて読むことで、実に様々な体験をすることができるのです。のちに実際に体験することになったときには、大いにヒントになるはずです。p114 第6章 本の読み方・選び方
ビジネス小説の中でも池井戸潤さんの小説を話題にあげていました。
私はビジネス小説に限らず、現実的な世界を描いた小説は世の中を知るのに役に立つと思っています。
SF小説の中でも、世界観は現実とは異なりますが登場人物たちの『人と人の関係』は現実の世の中でもあり得ることですよね。
ある時は主人公目線だったり、読み返すと主人公のサポート役だったり、ライバル役だったりします。
ノウハウが書かれた書籍だけではなく、小説からも『生きていく術』を学べるのは本当のことではないでしょうか?
現代の教養
では、"現代の教養"とはどんなものか。人によって答えは様々だと思います。私なりに「現代の自由七科」を考えてみました。
それは、次のようなものです。①宗教、②歴史、③宇宙、④人類の旅路、⑤人間と病気、⑥経済学、⑦日本と日本人。
こういう分野の基礎的なストックの知識を持っていれば、日々のニュースもより深く理解できると思うのです。p118 第6章 本の読み方・選び方
この項目は少し難しくもありました。
海外で活躍するビジネスマンは学生時代に『自由七科』という知識を身につけているそうです。
自由七科は①文法、②修辞学、③論理学、④算術、⑤幾何学、⑥天文学、⑦音楽だそうです。
日本人には身近ではない学問もあるため、池上彰さんが現代版の教養として現実的な知識を上げてくれています。
それは、①宗教、②歴史、③宇宙、④人類の旅路、⑤人間と病気、⑥経済学、⑦日本と日本人だそうです。
『考える力がつく本』の中には、それぞれの知識を身につけるのに役に立つ教科書的な本の紹介があります。
私は世界と渡り合っている生き方もしていませんが、例えば経済学を身につけておくと、これから世の中にとんでもない不興が起きた時にも生き残れる術を思い浮かべることができるのかなと思います。
紹介されている本はぜひ読んでみたいですね。
新聞の見方
さらに、その新聞に入っている情報量は、朝刊は文字にしてざっと20万文字。これは書籍にすれば新書2冊分の文字量に相当します。
新聞を毎日読み続けていれば、知らずしらずのうちに膨大な情報量と接していることになり、その情報量が、やがて大きな威力を発揮するのです。p69 第3章 新聞の読み方
私も新聞は大好きです。
元々活字が好きなこともありますが、読んでていろんな分野の話題があって面白いんです。
新書2冊分の文字量ということを初めて知り驚きました。
新聞を全ては読みませんが、「新聞ばかり読んで」いる人にはそれだけの情報が集まっているんですね。
新聞は書き方も本職の記者の方が書いた記事から、地域の方の投稿記事まであって、その日の気分で読みたい内容を選べるのが新聞の良いところではないかと思いますよ。
ネットやテレビの見方
池上彰さんというと、どうしても勉強や新聞を読むことをおすすめしている方とイメージしてしまいます。
実は、インターネットでの情報収集もおすすめされていますよ。
池上流ネット検索
「"○○"」をつければ、言葉を区切らず1つのワードとして検索されるため、よけいな検索結果を出さなくて済むということです。p90 第4章 雑誌・ネット・テレビの見方
本の中では池上彰さんのYahooやGoogleを活用した情報の収集の仕方も紹介されています。
この「"○○"」の検索の仕方も初めて知りました。
単に私が物事を知らなすぎなだけかもしれませんが………。
必要な情報を的を絞って探す術は、ネットを駆使している私たちに必要な技術ですよね。
優れたブロガーを見つける
私が、多くの中からどうやって信頼できるブロガーを見つけるかと言えば、たとえば経済関係のブログなら、その人が書いた過去の記事(アーカイブ)を読んで、見通しが正確だったかどうかを確認します。p92 第4章 雑誌・ネット・テレビの見方
最後の紹介はまさにブログをやっている私たちに必要な内容ですね。
私もブログをやっていて知らないことは、他の方のブログを参考にさせてもらうことも多いです。
私のような初心者ブロガーは置いておいて、優れたブロガーさんを探して参考にする方法を有名な方も行っているのはブログを書く側の励みにもなりますよね。
池上彰さんはネットやテレビなどのデジタル情報を否定はしていませんよ。
あれだけご自身がデジタルの世界に関わっているので、当然ではありますよね。
ただ、情報を得る方法として、アナログの本や新聞とデジタルのネットやテレビを上手く使いこなしましょうと言っているのは確かです。
考える力のまとめ
今回紹介させていただいた、『考える力がつく本』は1回の読み返しでは、まだ内容を深く身につけることはできていません。
ですが、書いてある内容は暮らしていくのにすぐに役に立つことなのは確かです。
書いていても不十分な紹介記事ですが、早く読んで頂きたくて今回取り上げさせてもらいました。
私も含めたブログで読み書きをする、多くの方の参考書になればと思います。