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本の出版と印刷技術の歴史

本と活版印刷の歴史

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本と読書の歴史をテーマに、「本の歴史と未来」シリーズを更新させていただきます。

本が世の中に広まるのに欠かせないのが、印刷技術の発展。

今回は、本が今のように世界中に広まる理由にもなった印刷技術と日本の出版事情にふれてみます。

本の出版と活版印刷

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歴史の授業で聞いていても、「活版印刷ってどんな印刷?」と聞かれても何となくしか答えれられないこともあります。

そこで、一度おさらいしてみますね。


活版印刷とは?

活版印刷(かっぱんいんさつ)は、印刷の方法の1つです。

四角い印鑑のような活字を1つ1つ並べ、出来上がった組版(くみばん)と呼ばれる文章で紙に文字を刷る方法です。

バラバラの活字を組み合わせて組版を作る方法は、西暦1041〜48年頃に中国で始まったとされています。

ヨーロッパでは1445年頃、ドイツ人のヨハネス・グーテンベルク活版印刷術を発明したとされ、こちらの方が世界的には知られています。


木版印刷

活版印刷よりも歴史が古い印刷技術は、木版印刷と呼ばれる方法です。

木版印刷は、1枚の木の板に文字を掘って版画のように印刷します。

木版印刷の始まりは古く、記録が定かではないものが多く残っています。

1番古い印刷物は、770年の日本で印刷された『百万塔陀羅尼』 というお経があります。

他にも、近い年代の868年の中国で印刷された『金剛般若波羅蜜経』があり、こちらもお経です。

発祥は中国ですが、しっかり記録が残っているのは日本の印刷物なんですね。



活版印刷が日本の出版に与えた影響

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本の出版史には欠かせない活版印刷

日本の本の出版には、どんな影響があったのでしょうか?


日本で活版印刷の普及が遅れた理由

活版印刷は、バラバラの印鑑のような活字を組み合わせて組版を作ります。

ヨーロッパで活版印刷が発明されたのは1445年頃ですが、その後すぐに普及しています。

一方、日本に1200年頃に伝わった活版印刷が普及したのは、600年後の幕末の時代です。

その理由は、文字の数にあるといわれています。

ヨーロッパで使われていたアルファベットは24文字、組み合わせで多くの単語が作れます。

一方、日本や中国などのアジアでは漢字文化圏と呼ばれ数万文字の漢字があります。

さらに日本では、漢字と仮名文字を混ぜた文章が書かれていることも大きな理由です。


日本で活版印刷が主流になったのは幕末の時代

江戸時代の瓦版(かわらばん)のように、1枚の木の板から印刷された木版印刷が使われてきた日本でも、幕末になって活版印刷が普及し始めます。

1860年代から、日本語の出版物も活版印刷が使われるようになりました。

紙型(しけい)と呼ばれる活版を何個も複製する道具が発明され、出版数を増やせるようになったからです。

こうして本は、今のように庶民が手軽に購入できる娯楽として広がってゆくことになります。


活版印刷の普及前から日本の出版数は高かった

別の見方では、活版印刷が普及する前の木版印刷が主流だった江戸時代から、日本の出版数はヨーロッパを越えていたことはあまり知られていません。

ですが、木版印刷は大量の印刷には向かず、江戸時代の新聞 瓦版を始め、本の種類が多かったことが理由でもあります。

1つの本が何万部も印刷され、日本全国で同じ本が読まれていたわけではないようですね。



本と活版印刷の歴史

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印刷技術が発展する前は、本は1つ1つ手書きで写し書きされた貴重なものでした。

ヨーロッパで発明された活版印刷の技術は、文字の種類が多い日本で普及するのは活字を複製できるようになった幕末からでした。

江戸時代の日本は、それまで普及していた木版印刷で多くの種類の本が出版され、出版数ではヨーロッパを越えていたといわれています。

同じ本を数多く印刷できる活版印刷は、1つの本が大量に庶民の間に広まることにつながります。

印刷技術は、その後輪転機やプリンターへと更に発展を続け、図解やイラスト入りのわかりやすい本が読まれるようになった現代が訪れます。

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